現代史の復習問題/「延々と続く日韓衝突のルーツを訪ねるー英『タイムズ』など外国紙が報道する120年前の『日中韓戦争史④』<清国新聞『申報』<明治27年(1894)8月20日付>『日本の謀略がすでに久しいことを諭す』
2019/02/13
清国新聞『申報』<明治27年(1894)8月20日付>
『日本の謀略がすでに久しいことを諭す』
日本人はすでに10余年前から.朝鮮を占拠し,中国を擾乱することを狙っていた。
久しく中国恐るるに足らずと考え、あえて紛争の発端を開いてきたのだ。その端緒は.台湾事件において,琉球人のために報復することを口実に生蕃を征討したことにあった。
全く、琉球が中国の藩属国であり.台湾が中国の領土であり,生蕃が中国の民であることを考慮しなかったのだ。このことは.倭がすでに中国を眼中に置いていなかったことを示している。
思うに,倭はかねがね中国を軽悔し,横暴にもわが領土を侵犯するに至ったにもかかわらず,中国は寛大にこれを対処し.ついに第三国の公使の調停により,倭に50万両を支払った。これは琉球の難民に対する撫じゅつ金、および倭人が設営した施設に対する補償金であり.倭の軍事費を賠償したのではなく,わが国体を傷つけたとは言えない。
ところが倭の公使は,この件を『近国史略』に次のように記している。
「今次の事件にあたっては,政府は臨機応変に出兵を決意し.ついに外交交渉によって補償金を獲得し.かつ長く漂流民が生蕃の暴掠を受ける患いをなからしめた。なんたる知勇だろうか。これは.台湾での軍事行動にあたった西郷従道,外交交渉にあたった柳原前光,大久保利通,調停の労をとったイギリス公使ウェードの功もさることながら,何よりも中国が軍務をおろそかにし.上下とも武勇の士がなく.朝廷を挙げて堕弱に流れていたことに起因する」。
ああ.日本の史官の言たるやまことに厚顔無恥と言えよう。倭人は中国の実情を洞見していないのだろうか。思うに.倭人が台湾で自らの要求を通したことが,琉球の滅亡につながったのだ。倭がすでに琉球を滅ぼし,改めて沖縄県とした後も.わが中国は文書を送り,一片の空言をもって日本を詰問するにとどまり.ついに軍事力を行使することがなかった。
七省経略の命は下ったものの,ついに実行に移されることはなかった。以前当局者に上書して次のように述べた者があった。「中国と日本の通商は.日本にとって有利である。
1つには交易に紙幣を用いることを許している。
2つにはヨーロッパ諸国の需要がない海産物は.中国だけが販路となっている。
3つには路程が近く輸送に便利である。このように中国は日本に利益をもたらしているにもかかわらず.日本はかえって中国に野心を抱いている。なんという誤った考えだろうか。
私が考えるに.日本人がかくも頑悪であるからには.情理を尽くして弁舌をもって論じても効果はない。必ずや,まず文書により通告し.しかる後こ武力を行使すべきだ。もし今次も中国が隠忍自重すれば.日本はさらにその飽くなき野望を募らせるだろう。わが中国は使節を選派し.道理に従い問題を処断させるべきだ。
もし日本がこれに従えば.中日両国にとって幸いだが.もし従わなければ,日本に起因する問題なのだから.中国はこれを受けて立たざるを得ない。即刻駐日公使を召回し.通商を停止し.かつ次のように明言すべきだ。
「アジアの大局から見て.中日両国は,唇歯輔車のごとく相互に協力しあうべきだ。ところが貴国は以前からの友好関係を尊重せず.自ら盟を破ってわが中国の辺境を侵犯し.わが中国の藩異国を脅かし.たびたび折衝を重ねたが耳を貸そうともしない。問題の責任は貴国にある。わが中国は協議して友好関係を保とうとしたが.これに応じなかったではないか」。
現在の計策としては.長く和平を保ち.紛争を防ぐためには,相互の貿易を停止し.各々自国の領土を固く閉ざし.侵犯しあって兵端を開くことなく.互し、に疑心暗鬼にならないため.以前のように往来を断つことが最上だ。
日本との関係を断絶した後は.もとより海防を固め.軍務に努め.兵伍を督励し.軍艦を整傭し.日本の侵攻があればこれと決戦すべきだ。日本人は商務の利益を失えば.2,3年にして必ず困窮し.後悔して中国に修好を求めるだろう」。
いかんせん,中国では議論百出してらちがあかず.一定の方策が定まらぬまま,日本が中国に事を構えるに至ってしまった。10余年乗.ロシア.フランスがわが領土を侵したことに対し.わが中国は兵士を募り武器を整え,火器を備え糧食を蓄え.軍艦を購入してきた。
軍事活動が活発に行われ陸海軍はその威容を誇り軍容はきわめて盛んだった。当時費やした軍事費は莫大な額にのぼった。ところがこれを主導する者がなく,和戦両論があって一定せず、ついに実戦に当たることがなかった。
紛争が解決した後は,いっさいこれを顧ることなく.因循姑息に一時しのぎの対応を続け,旧慣に拘泥し積習に安んじ大金を投じて購入した巨砲も風雨の中に放覆され・破損するに任して意を加えずあらゆる銃器や弾丸も,あいて
いた軍庫に積み上げられたまま顧みる者もない有様だった。
また琉球問題を契機として海軍が創行されたが、官爵や費用を惜しまずこれに力を入れ、報酬を惜しまず教官を招聘し訓練したにもかかわらず,ついに一度も実戦に臨んだことがない。
ただ巡洋、哨戒、送迎、輸送に用いるのみで,その用足れりとしている。倭人は中国を訪れてこうした状況を見聞し、中国の隙をうかがい,機に乗じて行動を起こそうと考えていた。
あたかも金玉均暗殺事件が起こり.朝鮮側の処理が過酷にすぎたために,倭人は激怒し、乱党をひそかに扇動し,ついに中国と戦火を交えるに至ったのだ。あるいは.「倭はロシア,フランスと早くに密約を結んでいる。倭が朝鮮を占拠すれば.ロシアは遼東をフランスは台湾を狙おうというのだ」
と説く者もいる。この説は伝聞に基づいた、一ものであり全面的に信用することはできないが全く荒唐無稽でもないだろう。倭人は国土が小さく・国民が貧しく,兵力、軍艦とも不足していることを自覚している。故に中国と持久戦を行うことはできないが、ロシア、フランスの助力が得られれば,その憂いもなくなるのだ。
またあるいは倭は中国に勝てばもとより栄誉であるが・敗れても屈辱とするに足りず,中国はこれを寛大に処置するだろうから,敗戦とならば中国に和を請おうとしているのかもしれない。琉球の中国への返還をもって講和を求めれば中国は必ず応じるだろう。
倭は琉球を併合したがその産物は少なく,兵士・官吏の駐設の費用のみ毎年かさみ.本国の財政を圧迫するばかりで.あたかも石だらけの田地を得たような具合だ。琉球を放棄して冗費を省くに如くはないのだが、ただ騎虎の勢のあまり引き下がれないのだ。
これによって議和を求めることができれば,得策と言える。倭人の謀慮はこうかつなのだ。しかし中国は決してその術中に落ちないだろう。海上における交戦の鍵は海軍にあるが、目下中国海軍の諸艦は船体は堅牢・艦砲は優秀であり.いずれも西洋の名だたる工場の製造にかかっている。あらゆる巨砲は水面と平行に敏捷に転回し・船体・砲身ともに巨大で,鉄甲の厚さは1尺数寸にも及び.倭の軍艦とは比較にならない。
何故威海衛付近を往事するばかりで・倭の艦隊と遭遇しないのだろうか。目下倭人の通商路はすでに途絶しているが、ただ密偵が中国服を着て中国語を操って中国内地に暗躍している。必ず捜索.逮捕し容赦なく厳刑に処すべきだ。
外には倭との往来を断ち、内には慶への援助を除き沿海地方では団練を組織して.倭の侵攻があれば包囲せん滅せしめれば,数月ならずして倭は必ずや自滅し.いかにこう滑な倭人も如何ともしがたいだろう。
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クイズ『坂の上の雲』(資料)―英紙『タイムズ』が報道する『日・中・韓』三国志②
<日清戦争はなぜ起こったのか>
英国『タイムズ』1894(明治27)年11月26日付
http://maesaka-toshiyuki.com/history/593
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クイズ『坂の上の雲』―英『タイムズ』などが報道する『日・中・韓』三国志<日清戦争は
なぜ起こったのか>英国『タイムズ』(1894(明治27)年5月21日付)
http://maesaka-toshiyuki.com/history/591
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