前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

明治150年歴史の再検証『世界史を変えた北清事変③』- 『ドイツ、ロシア、フランス、イギリスらの清国侵略に民衆が立ち上がった義和団事件が勃発』★『清国侵略の西欧列強(英国、ドイツ、フランス、ロシアら)の北京公使館は孤立し、敗北の危機に陥り、日本に大部隊の出兵を再三、要請した。日本側は三国干渉の苦い教訓からなかなか出兵に応じず・』

   

 明治150年歴史の再検証『世界史を変えた北清事変③』-

7月6日、日本政府は「北清事変の出兵」の閣議決定を行なったが、その戦略的な分析、要旨は次の通りである。

 過日、北清の事変に対し閣議決する所の要旨は、我国の責任頗る重大なると、財源豊ならず軍資乏しきを以て、先づ英国、その他の各国に照会し、然る後に方針を決定しようとしたが、形勢は日に日に危機的状況となり、猶予できなくなった。

更に列国の援軍が未だ速に到着せず、北清国の形勢が益々急を告げ、列国の運命はほとんど我国の決意如何に係ることが明白になってきた段階で、我国は

①列国を助けて長駆、北京を突くか、

②又は天津連合軍の急を救い、その敗北から脱れさせるか、

の二者其択一を迫られた。

 現在、清兵は北京と盧台方面より天津を合同で攻撃しようとしており、その距離は近いが、天津にある列国連合軍は二万を超えず、孤軍で立てこもっており、その城壁、塁壁は堅牢でなく糧食も不十分のため、敵の攻撃に長く耐えられない。

そのため、英国はインドより、フランスはベトナム(安南)は、東京より、それぞれ援軍を派遣してこれを救おうとしているが、その大沽に到着するのは本月下旬より八月上旬以降のことである。

ドイツ本国からの援軍に至っては、距離的に最も遠いため早くても九月初旬となる。外からの救援はこず、内は大沽、天津の道を絶たれ、糧食、弾薬も尽きてまもなく冬がくれば、天津は遂に陥落をまぬがれないだろう。

もし天津にして陥落せば、大沽もまた守ることはできず、不幸にも全軍滅亡を見るに至るやもしれず。

もし不幸にしてこの敗北をみれば、四方の義和団の暴徒が相競って反乱を起こし、南西地方に波及すれば、その勢は各地総督の力を持ってしても制することは不可能である。

全清国を挙げての無政府状態となるであろう。この時に当っては、列国に大兵ありといえども、これを容易に鎮圧することはより困難となる。

以上を軍略上から検討すると、我国はよろしく先づ2、3個師団の兵を発して天津を救い、列国諸軍とともに道を分て北京を突き、清国政府を膺懲して反正の実を挙げるべし。

もし、結氷の時期近くになって初めて兵を出せば、北京の攻略はできないであろう、そして禍乱はいよいよ大きくばり征服は困難となる。

又、政略上よりこれを観れば、英、仏、独は皆遠く出兵はを到、多数の援軍を送ることはできない。ロシアは清国と国境を接すといえども、西シベリアを隔て、急に大兵を送る能力はない。北清地方に大軍を行る便利な国は独り我国のみである。

今や各国公使は北京にあっては危急に迫り、孤軍奮闘し天津を守っており、援軍を送ることはできない。

敵軍は優勢を以てこれに臨み、人々はかまびすしく救援を望む声が大きくなっておりて、我国は地理の便を有し、数十万の陸兵を擁し、各国の増兵できるのは数千にとどまっており、敢て出兵しなければ、内は国民の世論により政府当然の職責を怠ったとの批判を招き、外に列国は遂に我国の異図ありと疑い、又は、前年の仇(三国干渉)に報いるものとみて猜疑、と為し、猜忌(さいき、ねたましく思ってきらうこと)は永く解けず、怨を後世にのこすことを恐れる。

今や列国の援兵、未だ到らず、天津、大沽の軍敵に苦むの時にあたりて、急に大兵を以て之に赴けば、彼の地の重囲を解き、進で北京の乱を平定することができる。反乱鎮圧の巧は我国に帰し、各国は永く我国を徳とするであろう。

かつ北清の禍乱(義和団の乱)が長く鎮圧できなけらば、南清国が禍を被ることになれば、わが国民経済は過半が敗亡に帰し、財政も遂に其の累を免れることができない。

これを要するに軍略上においても、政略上においても、我国は急に出兵することが国益であり、この際、既に動員を命じたる一師団の兵は、先づ急にこれを出兵する必要を認む。

   明治三十三年七月六日閣議 

                  (総理大臣 花押)

 ついで同日、青木外相は在ロシア小村、在英松井臨時、在仏栗野、在独井上、在オーストラリア牧野、在伊大山、在米鍋島各公使宛に、次のように通知した。

  本大臣は緊急の必要に応ぜんがため、帝国政府は、直に混成一個師団を派遣することに決定せり。之を合するときは、清国派遣の帝国軍隊は総計二万二千人に上るべし。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

  関連記事

no image
『世界サッカー戦国史』➄『児玉源太郎と西野監督のリーダーシップの共通性』★『 児玉参謀次長の戦略思考と人心収攬術と西野の戦略眼、選手との対話力、コミュニケーション力が勝利の決め手になった』

  児玉源太郎と西野監督のリーダーシップの共通性            …

no image
速報(408)『日本のメルトダウン』『●『中国経済が転倒しかねない理由』●『インドは世界の強国になれるか?』

 速報(408)『日本のメルトダウン』   『中国・習近平体 …

no image
★➉外国人観光客へのおすすめベスト第1位ー「世界文化遺産.醍醐寺」のすべて―『 慶長3(1598)年の春、豊臣秀吉が開いた「醍醐の花見」を契機に 秀吉と秀頼によって金堂や三宝院、山上では開山堂や如意輪堂などが再建された。』●『三宝院の秀吉が設計した庭園。天下の名石『藤戸石』がある。』

★➉外国人観光客へのおすすめベスト第1位ー「世界文化遺産.醍醐寺」のすべて➀   …

no image
速報(76)『日本のメルトダウン』★<原発危機の最中(さなか)、組織を機能不全に陥れる不信感>ニューヨーク・タイムズ(6,12)

速報(76)『日本のメルトダウン』 ☆重要レポート『In Nuclear Cri …

no image
日本近代史の虚実「山県有朋の外交音痴と明石元二郎伝説➀」ー「安倍/プーチン/ロシア外交と100年前の山県外交との比較インテリジェンス」★『戦争に備える平和国家スウェーデンのインテリジェンス』

  「日本の政治を牛耳った山県有朋の外交音痴と明石元二郎伝説」     …

no image
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑪「中国が行っている冊封の儀と属国の国力強化について」

      『中国紙『申報』からみた『日中韓150 …

no image
日本メルトダウン脱出法(742)「世界経済:ドルの支配とその危険性 勢い失う米国の経済覇権」(英エコノミスト誌)●「ウラジーミル・プーチンの対テロ戦争」(英FT紙)

日本メルトダウン脱出法(742) VWの不正が引き起こした株安と通貨安の必然 信 …

no image
速報(110)『日本のメルトダウン』動画座談会ー『原発メルトスルー』5ヵ月後の日本の政治座談会(7月27日)

速報(110)『日本のメルトダウン』 <毎月動画座談会(3人ジャーナリストの会) …

no image
『F国際ビジネスマンのウオッチ③』“―『“新技術の行進は如何にしてソニーを素通りして行ったか“』(ニューヨーク・タイムズ4月14日)

『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ③』 <「ニューヨーク・タ …

no image
日本リーダーパワー史(551)「日露戦争での戦略情報の開祖」福島安正中佐①「シベリア単騎横断」や地球を1周した情報諜報活動こそ日露戦争必勝のインテリジェンス

 <日本リーダーパワー史(551) 「日露戦争での戦略情報の開祖」福島安正中佐① …