前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

<F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(217)>『エルサレム、神殿の丘事件はアラブとイスラエルの緊張状態の実態を白日に曝しました。』★『イスラエル政府が対応を誤ると第?次中東戦争の導火線となるか、パレスチナ人の一斉蜂起(インティファーダ)に直結する、と米欧を心配させている事件です。』

   

 

https://www.meij.or.jp/kawara/2017_073.html

https://www.meij.or.jp/kawara/2017_075.html

https://www.meij.or.jp/kawara/2017_076.html

http://www.bbc.com/news/world-middle-east-40711049

<F氏コメント>

上記のURL, 上の三つは中東調査会レポート、4番目はBBCニュースです。ご存知の通り、今最もホットなテーマで、イスラエル政府が対応を誤ると第?次中東戦争の導火線となるか、パレスチナ人の一斉蜂起(インティファーダ)に直結する、と米欧を心配させている事件です。漸く日本のTVにも出始めました。JPOST紙ではトップ記事で毎日報道でした。

現在パレスチナ人を始めイスラム教徒がこの事件で、全員、かつてないほどカッカとして頭に血が上り、ユダヤ人警官、軍人を標的とした刺殺事件 stabbinngが続発しております。

米大統領、国連事務総長も動いて、ネタニャフ首相に衝突沈静化の対策を至急講ずる様、要請しておりました。

御承知の様に、1967年の第三次中東戦争で当時ヨルダン領であった東エルサレムがイスラエルの実効支配となり、主題の「神殿の丘」(temple mount)も現在イスラエルの管轄下です。

しかしながら、この神殿の丘に位置する金色屋根の聖地「岩のドーム」(紀元690年)と聖地アル=アクサー・モスク(紀元710年)は、イスラム指導者の運営管理に当初から委ねられています。「嘆きの壁」の部分は、当初からユダヤ教徒の運営管理となっています。

(御承知と思いますが、金色の岩のドームの中の「聖なる岩」は、ユダヤ教ではアブラハムやダビデ王が祭祀を行ったとされ、 イスラム教でもアブラハムが預言者の一人とされる他、ムハンマドがこの岩で昇天体験をしたとされる)

事の発端は、この丘で業務として警戒に当たっていたイスラエル警官2名がパレスチナ人に射殺され、再発防止対策としてイスラエル政府が、金属探知機、監視カメラを急遽設置した事に始まり、これにイスラム教徒側が前例がないと大反発し、参拝拒否と大規模抗議活動を始めた事です。

岩のドームそしてモスクに参拝するイスラム教徒は、イスラエル警察と軍の監視下でゲートを潜って、OKが出なければ入場できないこととなり、これが前代未聞の新たな規制、イスラム教徒の自由がユダヤ教徒によって剥奪されたと怒り心頭となった訳です。

この騒ぎを見て、イランの最高指導者ハメネイ師はすかさず、メッカ巡礼の全てのイスラム教徒はイスラエルの蛮行を非難するシュプレヒコールを唱えろとご託宣です。平和条約を結んでいるヨルダンでさえ、アンマンのイスラエル大使館で即テロ事件が発生しました。アラブ各国のイスラム教徒は「神殿の丘」が名実ともにユダヤ人・イスラエルの支配下に入ってしまうのではと、オーバーに言えば半狂乱に陥った感です。

小生も勉強不足で、「嘆きの壁」(western wallでユダヤ教徒の管理下)と神殿の丘の位置関係が、同じ構造物の地続きのものと初めて分かりました。モスクはイスラム教徒、壁はユダヤ教徒という分担だけであれば衝突は起きにくい訳ですが、岩のドームという一つの存在がこの二つの宗教の聖地としてダブっており、これの所有を巡り、歴史的に常に両派の争いの種となっている様です。

ご承知の通り、今日現在は、ネタニャフ首相が米国政府やサウジのサルマン国王、国連事務総長などからの強い要請を受けて、金属探知機や監視カメラなど今回新たに設置したものを急いで全て撤去したため、騒動は終息しつつある様です。 この措置でネタニャフ首相は、右派のユダヤ教徒などから聖都エルサレムのイスラエルへの本格的な帰属が遠のいたと猛烈に非難されています。一方トランプ政権からは善行表彰の賞賛です。

 

今回の非常事態が露呈したものは、神殿の丘にユダヤ教徒とイスラム教徒の宗教的かつ政治的争いが象徴的に凝縮されていること、神殿の丘の運営管理が現在イスラム教徒に任されていることが重要な緩衝材になりムスリムも精一杯我慢していること、神殿の丘の運営管理の動向と帰趨は全てのイスラム教徒が耳をそば立て、重大な関心事として注視し、中腰になってこと起きれば一斉蜂起する準備を行っていること、などです。

今ではこれもトーンダウンしていますが、トランプが米国大使館をテルアビブからエルサレムに移すと宣言しました。エルサレムをイスラエルの正式の首都として認めるということですが、これは神殿の丘が名実ともにイスラエルの支配下に入るということです。以前からパレスチナもエルサレムを首都とすると主張してきました。

もしこれが実行に移されれば、金属探知機設置の騒ぎどころではない、米国とイスラエルが全イスラム教徒を益々敵に回す事態となります。(トランプは選挙期間中に米国ユダヤ人協会に対し首都移転を確約しています)イスラム教徒の心中の変化をどれほど読んでいたのでしょうか?藪を突けば大蛇が出てくるのですが。 出来そうにもないことを約束しています。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『リーダーシップの世界日本近現代史』(101)記事再録/アメリカの石油王・ジョン・ロックフェラー(97歳)「私の健康長寿の8ヵ条」★「 経営の秘訣は数学 ・数学・数学・すべて数学が第一だ。いかなる場合でも』

  2015/09/10/知的巨人たちの百歳学(120)再録 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(29)「沖縄密約・文書開示」控訴審の攻防,奥平康平氏、澤地久枝氏の意見陳述書

  池田龍夫のマスコミ時評(29)   「情報公開=知る権利 …

no image
戦うジャーナリスト列伝・菊竹六鼓(淳)『日本ジャーナリズムの光、リベラリストであり、ヒューマニストであった稀有の記者』★『明治末期から一貫した公娼廃止論、試験全廃論など、今から見ても非常に進歩的、先駆的な言論の数々』

  日本ジャーナリズムの光、リベラリストであり、ヒューマニストであった …

no image
速報(279)『日本のメルトダウン』☆仏独共同の国営放送局ARTE◎「フクシマ-最悪事故の陰に潜む真実」(ビデオ)

速報(279)『日本のメルトダウン』   仏独共同の国営放送局ARTE …

no image
★『リーダーシップの日本近現代史』(77)記事再録/ 『 朝鮮宮廷(政府)の「親清派(事大党)対「朝鮮独立党(日本派)」 の争いが日清戦争へ発展!,50年後の太平洋戦争への遠因ともなった』

 2015年7月11日/終戦70年・日本敗戦史(108) <歴史とは現 …

no image
渡辺幸重の原発事故レポート③ー『最悪のシナリオから考えるー日本海溝「投棄」案の疑問点①』

渡辺幸重の原発事故レポート③   『最悪のシナリオから考えるー日本海溝 …

no image
日本一の「徳川時代の日本史」授業⑨福沢諭吉の語る「中津藩での差別構造の実態」(「旧藩情」)を読み解く⑨ 終

  日本一の「徳川時代の日本史」授業 ⑨   &n …

no image
昭和外交史③大日本帝国の最期③(03,10)

1 昭和外交史③  日本で一番長い日  昭和20年8月15日の攻防 ③ ――<大 …

no image
★『地球史上最大級か? 台風19号の勢力に世界が注目(米航空宇宙局(NASA)と海洋大気庁調べ)』★『緊急スーパー台風19号の進路速報!★【動画解説】台風19号 東海・関東に上陸の見込み(10/12/am7/09)★『10/11/am730の稲村ヶ崎ビッグサーフィン動画公開』★『地球史上最大級か? 衛星写真に騒然』

2019年9月23日、国連で開催された「国連気候行動サミット」では若者世代の代表 …

no image
日本リーダーパワー史(126)辛亥革命百年(28) 内山完造の『日中ビジネス論』「民間外交力』『前事不忘 後事之師』(2)

日本リーダーパワー史(126) 辛亥革命百年(28)内山完造(2)の『日中ビジネ …