日本リーダーパワー史(525)直面する5大国難は複雑性を増している。国民全体の熟慮と決断、断行 が求められている➁
2015/01/01
現在直面する5大国難はー
「福島原発の処理問題」「迫りくる大地震」「1000兆円突破
の国家債務」「急速に進む超高齢化・人口激減・少子化・
認知症800万人」など、国難は複雑性を増している。
リーダーと同時に国民全体の遠謀、熟慮と決断、断行
が求められている。➁
前坂 俊之(ジャーナリスト)
以下の記事は2011/07/10に書いた「 日本リーダーパワー史(172)『高橋是清の国難突破力①』『日露外債募集戦争』―奇跡的に外債募集に成功した高橋是清のインテリジェンス(1)」だが、3/11東日本大地震、福島原発事故から4ヵ月後の「国難突破」をどうするかの記事である。
現在は3/11から3年半が経過した。現在の国難は「原発問題」と同時に「迫りくる大地震」「1000兆円の国家債務問題」「急速に進む超高齢化・人口激減・少子化・認知症800万人時代」など、国難難問はさらに複雑性を増している。
リーダーと同時に国民全体の遠謀、熟慮と決断、断行が求められている。
この記事をもう一度再録して、現在から「国難」を考えて、どう対応するかの参考にしたい。
2011/07/10での執筆↓
日露戦争、太平洋戦争とくらべても、最凶、最悪の敵に対する兵力、軍備、情報は天文学的にすくない。これで勝てるわけがなく、数年後、数十年後の『静かなるガン死者続出』、死者累々という国難、戦争になるののではと危惧する。かつてのテツを絶対踏んではならない。
⑩ 古来「国、大なりといえども、戦いを好む時は必ず亡ぶ。国、平和といえども戦いを忘れた時は必ず危うし](史記)と言われる。明治以来の歴史は正にこの通リである。
日露戦争に勝って発展し、大東亜戦争で敗戦し、昭和20年から経済至上主義(GDP至上主義)の経済大国化の暴走は、1千兆円の財政赤字を増やし、原発自爆テロ(日本病―腹切り民族の特性)によって、最悪の場合、日本民族絶滅の危機にひんしている。
人類にとって最悪、最毒、最凶の放射能との、これまた人類の経験したことのない戦いが始まっているとの認識がなければ、日本は亡びるみちしかない。平和は叫ぶのではなく、戦うことによってのみ勝ち取ることができる。
⑪ そのためには、情報戦、インテリジェンス戦争に切り換えること。よく考えて、徹底して情報を集め、国際的な英知を結集し、適切な戦略、戦術を立て、IT技術を総動員し、命令指揮1本化によって人海戦術で高度技能の作業者を大量動員し、昼夜兼行で、短期決戦で当たるしかない。
⑫ 今回は日露戦争での外債募集で奇跡的に成功をおさめた高橋是清の国難突破力、インテリジェンスを参考に見て行く。『金がなくては戦(いくさ)は出来ぬ』は戦争ばかりでなく、復興にもあてはまる。原発廃炉にも当てはまる。
1000兆円に積みあがった財政赤字を無視して、この問題の解決の道筋なくしては、復興も原発暴走阻止もなにも出来ないのである。政治家は今、日本が2重、3重どころか人類が経験したことのない何重もの難問題、困難な問題を全部一度に突きつけられていることを直視する必要がある。永田町で亡国の井戸端会議などやっている場合ではない。
国家予算の4倍もの外国から借金をして日露戦争を行った。
日露戦争いうまでもなく日露の軍事的衝突だが、それは一面にすぎず、世界史的見地からいえば英、仏両金融資本の極東における争覇戦の一部であった。帝政ロシヤがその軍費をフランスから友好国・外債をあおいだのにたいし、日本はイギリスにこれを求めた。ロンドン市場での奇跡的な外債募集の成功が日本のロシヤに対する勝利を決定づけたのである。
そ日露開戦直前の明治三十六年末のわが国正貨保有額、当時日銀所有の正貨はわずか1億7500万円。そのうち日露開戦ともなれば三千五百万円は外国銀行が持ち出すことが予想され、また輸入品の代価支払いに三千万円を必要で、結局六千五百万円が海外に流出するから、日銀は差引き五千二百万円しか正貨しか残らない。しかも、これには開戦後、激増する海外発注んp軍需品代価は含まれていない状態であった。
これに対して、政府の戦費予算は四億五千万円、その三分の一、一億五千万円は正貨で外国に支払われる。日銀所有の5200万円の正貨では1億円ほどにたりない。この問題が解決されなければ開戦と同時にお手あげの事態も予測された。解決策とといってもべつに何の妙手もない、外国から金を借ること以外にないのだ。
中国もおなじように外国からあちこち借金して、その形に土地を奪われ、港をつくられ、植民地化していったのである。戦争に負ければもちろん植民地とならざるをえないし、東洋のちっぽけな島国がいきなりヨーロッパ第一の陸軍強国に戦いを挑んだのだから、ヨーロッパ人は仰天した。
しかし、戦費のない日本も外国から借金する以外に、戦費調達の方法はない。当時、日銀副総裁の高橋是清でその交渉役にえらばれたのである。井上馨、松方正義らの両元老はじめ当局者の期待をにない、高橋是清はのちの日本銀行総裁深井英五を秘書兼助手として、開戦後間もない二月二十四日渡米した。
しかし、ほとんど絶望的な困難が最初からよこたわっていた。出発前、高橋のもとに正金ロンドン支店長山川勇木からとどいた電報によれば「ロンドンで募集の見込みはない。今日正金銀行のごときはビタ一文の信用もない」という状態であったのだ。
開戦後ロジヤの戦費調達市場となったパリでのロシヤ公債の値はむしろ上がり気味なのに反し、以前に発行されていた日本のわずかの四分利付公債はロンドンで戦前の八十ポンドから、たちまち六十ポンドに暴落するありさまだった。
大島清『高橋是清』(中公新書1969年)によると、当時のアメリカの空気は、大国ロシアに小っぽけな日本がたちむかっても、所詮負けるであろうというところであったから、到底日本の公債を引きうける可能性はなかった。高橋はそうそうにアメリカを切りあげ、ロンに向かった。
ロンドンの空気も、けっして日本にとってよいものではなかった。日英同盟はあったが、これは戦争の相手が二カ国になったとき共同参戦するというもので、相手が一国の場合はあいは援助する必要がなく、イギリスは中立国の立場にあった。また王室の関係からいっても英露は近親であった。そしてまた経済上の関係からいっても日本に金を貸すことの危険は大であった。
(つづく)
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