前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑧「ルー・タン」(フランス紙)『インドシナ通信ー日本の新聞、隠者の王国(朝鮮人の性格)』

      2021/05/01

 

『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史

日中韓のパーセプションギャップの研究』⑧

 


以下は中国紙『申報』ではないが、「ルー・タン」(フランス紙)

が日中韓の対立関係をフランスの視点から論評しており、興味深いので紹介する。

  生まれたばかりの日本の新聞は厳しい法統制の下に置かれ,ごく小さな違反,政治的な批判をしただけで新聞は発行停止となり,有罪とみなされた記者は監獄へと送られる。

   日本政府はヨーロッパから,科学的な発見やすぐれた防衛技術を借用することには意欲的だが、その思想をも受け入れようとは思っていない。

  な中国は日本に対してあからさまな敵対の構えをとり続けている。この列強の中の一等国は,日本領土内の保持する砲艦は無防備地点を砲撃するには十分だ。朝鮮状況は常に緊迫しており,特にそれぞれの名目で駐留中の日中両国部隊間には緊張感が高まっている。

   2年前に朝鮮の首都ソウルで起きたような虐殺事件(壬午事変)がもう1度でも起きれば,2国間に直ちに戦争が勃発するだろう。

  朝鮮人の性格は日本人よりも中国人に近いようだ。正直という言葉を知らないように思える。また,女に関してはひどく嫉妬深い。

 

1883(明治16)年56日付「ルー・タン」(フランス紙)

 

『インドシナ通信ーー日本の新聞-隠者の王国(朝鮮の風土、

人々の暮らしぶり)』

 

 

日本については,久しく語るべきことがほとんどなかった。この朝日と菊の国は,いくつかの些細な騒動を除けば無事平穏を保っていたからだ。しかし,この平穏が決して自然に生まれたものではないことを断っておかなくてはならない。専制的あるいは合法的な発行禁止によって現地新聞のほとんどが姿を消し.また,165人を下らない自由党の演説家が投獄されているために,政治的な論議もあがらない状態なのだ。

 

 先日,岡山の劇場で自由党の集会が開かれた。演説者の1人フタイ氏が話し始めて数分もたたないうちに,警察署長が会場に配した部下に,氏と他の演説予定者数人の逮捕を命じ、抵抗したフクイ氏と同志1人とは,巡査の刀によって重傷を負った。

 

 50人が逮捕されたが.警察は33人を釈放した。残る17人は岡山裁判所に召喚されたが,簡単な予審の後に免訴処分となった。

 このような厳しい状況の下で、日本の新聞は非常に不安定な立場にあり、純粋な愛国心を支えとするのでなければ,存続も危ういと思われる。ヨーロッパの一部の新聞が生き長らえるためにとる姑息な手段,つまり,スキャンダルをネタにし,芸術・学問・政治各界の有名人を.口汚い言葉を使うためにしばしばラテン語の偽名に隠れて卑怯なやり方で侮辱.攻撃するということは日本では見られない。

 

罪にならない程度に私生活をほじくったり,つまらない伝説に難癖をつけて,時間を稼ぐこともしない。

日本の新聞はすでに政治を論じる自由を失い.その命も長くはないと思われる。愛国者に残された唯一の手段は,政治集会における発言権だが.これもおそらくは完全に剥奪されるだろう。

 板垣,後藤という首領が訪欧中である自由党は.天皇によって国会開設の時期が1890年と定められたことに不満を抱いている。

一方,元首には計画を変更するつもりは全くない様子だ。新聞は厳しい法統制

の下に置かれ,ごく小さな違反,ほんのわずかな独立精神の兆が表れただけで発行停止となり,有罪とみなされた記者は監獄へと送られる。

拘留期間も想像以上に長く,その中で生涯を終えるという不幸な例さえ見られる。軌こわが同僚の1人である扶桑新誌の編集者は石川の監獄に長いこと留置されていたが,最近そこで死亡したのだ。

 

 日本政府はヨーロッパから,科学的な発見やすぐれた防衛技術を借用することには意欲的だが、その思想をも受け入れようとは思っていない。出版の自由であろうが議会制であろうが,とにかく国民が絶対的な指導者なしに行動し得ることを示すようなものは一切好まないのだ。

この点では,日本政府に不快なたとえかもしれないが.中国政府に似ていると言えよう。

 

 天皇とその閣僚たちは現在,政治や改革以外にも心配事を抱えていることをよく認識しなければならない。

その最たるものが国家の安全問題だ。なにしろ中国は日本に対してあからさまな敵対の構えをとり続けている。この列強の中の一等国は,日本領土内に上陸できるだけの軍隊こそないものの.保持する砲艦は無防備地点を砲撃するには十分だ。今のところ.攻撃の口実がつかめないでいるが.朝鮮状況は常に緊迫しており,特にそれぞれの名目で駐留中の日中両国部隊間には緊張感が高まっている。

 2年前に朝鮮の首都ソウルで起きたような虐殺事件(壬午事変)がもう1度でも起きれば,2国間に直ちに戦争が勃発するだろう。

 

 朝鮮に関しても,多くのことが知られていくようになるだろう。ヨーロッパで「隠者の王国」と呼ばれるこの国についての興味深い手紙の抜粋を紹介しよう。イギリスの友人からのもので,彼は日本人の服装で変装してこの国の内陸に入り込むことができた。

 「朝鮮に着くとまず,東莱府に行かなくてはならなかった。途中はずっと山がちで不毛な土地が続き,木々を目にすることもほとんどない。この町を後にし,馬山に向かって南下するにつれ,周囲の景色は変わり,土壌も肥えているのか緑に覆われた丘が姿を見せ始める。元山付近では作物も豊富に取れる。だが.朝鮮の繁栄が農産物よりも鉱山資源に頼っているという意見は正しいようだ。

これに関しては次の手紙で詳しく述べよう。朝鮮政府は.国内の金鉱の1つを50万テールで中国政府に譲渡したらしい。この金は.ソウルで起きた日本大使館襲撃事件の賠償金に充てられるということだ。

 ここの気候は.南日本よりも過ごしやすい。馬山では8月に入るともう朝晩は涼しくなる。9月ともなればひどく寒くて,日本の商人が長崎からスイカを持ってさてもさっぱり売れない。釜山は緯度は東京とほぼ同じだが,冬の寒さは厳しく.3日ごとに天気が変わる。暖かな日が3日間続いたかと思うと.次の3日間は気温が氷点下まで下がる。

 

ワインは溶かして飲まなくてはならないし.ペン先のインクもしょっちゅう凍ってしまう。山脈が国を南北に分けており.ソウル.仁川,Ghinzen【元山?】は北にあるので,よけいに寒さが厳しい。

 

 現地人は,背が高くてたくましい。南に住む日本人,特に薩摩人に似ている。女もがっしりとして背が高い。性格は日本人よりも中国人に近いようだ。正直という言葉を知らないように思える。また,女に関してはひどく嫉妬深い。子供と年寄り以外の女は外国人と話すこともできない。ヨーロッパ人と見ると逃げ出すのだが,避けようがないときは顔を隠す。これはどうやら外国人そのものより同国人の目を恐れているためらしい。

 

マグパイ号に乗っているとき馬山に調査で寄ったことがあった。ある日友人と島に上陸すると.畑で働いていた2人の女がわれわれのところへやってきて長いことわれわれを眺めまわしてから話しかけてきた。もっとも何を言っているのかは全くわからなかったが。そのとき突然.近くに朝鮮人の男が現れた。

 

途端に女たちは逃げていってしまったのだ。ここに来から,美しい女には1人も会っていない。

 朝鮮人はとても礼儀正しく,へつらっているようにさえ思えるほどだ。元気かと聞くと必ずこう答える。「そのようにお尋ねくださったおかげで.とても元気です」。

 

病人なら病人で訪問客にこう言う。「いらしていただいたので『この偉大なお方を失って悲しみに耐えません』。たとえ,故人を全く知らなくても同じことをするのだ。

 - IT・マスコミ論 , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
★『奥田正行/イタリア料理のスーパーシェフの世界を変えるパスタゆで方と鍋のふり方」の秘伝一挙全公開(40分間)「厨房設備機器展2019」のマルゼンブースでのスーパースチームでの実演デモはスゴイよ!

日本の最先端技術「見える化」チャンネル 厨房設備機器展2019(2/20、東京ビ …

「Z世代のためのウクライナ戦争講座」★「ウクライナ戦争は120年前の日露戦争と全く同じというニュース⑧」『開戦1ゕ月前の「独フランクフルター・ツワイトゥング」の報道』ー「ドイツの日露戦争の見方』★『『ヨーロッパ列強のダブルスタンダードー自国のアジアでの利権(植民地の権益)に関係なければ、他国の戦争には関与せず』★『フランスは80年代の中東に,中国に対する軍事行動を公式の宣戦布告なしで行ったし,ヨーロッパのすべての列強は,3年前,中国の首都北京を占領したとき(北支事変)に,一緒に同じことをしてきた』』

2017/01/09  / 『日本戦争外交史の研究』記事再録 …

人気リクエスト記事再録『百歳学入門(196)』-『超高齢社会日本』のシンボル・『クリエイティブ長寿思想家』の徳富蘇峰(94)に学ぶ②』★『蘇峰先生の日常―78歳・壮者を凌ぐ精励ぶり』★『午後3時、いつもきまって紅茶』★『英書購読、記憶魔、博覧強記!、古書マニア、英国流のガーデニアン』

『百歳学入門(196)』 『長寿思想家』の徳富蘇峰(94)に学ぶ② <以下は『日 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(108)高速増殖炉-原発再稼働どころか、核燃料サイクル 計画も破綻(2/26)

  池田龍夫のマスコミ時評(108)   高速増殖 …

★『時代を超えたスーパー・ジャパニーズ』◎『192,30年代に『花のパリ』でラブロマンス/芸術/パトロンの賛沢三昧に遊楽して約600億円を使い果たした空前絶後のコスモポリタン「バロン・サツマ」(薩摩治郎八)の華麗な生涯』★『1905年、日露戦争の完全勝利に驚嘆したフラン人は、日本人を見るとキス攻めにしたほどの日本ブームが起きた』

コスモポリタン「バロン・サツマ」(薩摩治郎八)の花の生涯(上) http://w

no image
世界/日本リーダーパワー史(963)ー2019年は『地政学的不況』の深刻化で「世界的不況」に突入するのか』②『米中貿易戦争は軍事衝突に発展する可能性はないのか?・』

 世界/日本リーダーパワー史(963) 米中貿易戦争は軍事衝突に発展す …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(115)「国の借金」、過去最大の1024兆9568億円(8/14)●「雇われ日本人、ベトナム戦争で犠牲に」 (8/11)

 池田龍夫のマスコミ時評(115)   ◎「国の借金」、過去 …

『Z世代のための世界現代史入門講座』(23年4月20日まで)ー『混迷する世界と「チャットGPT」●『トランプ前米大統領の裁判』●『プ―チン氏の戦争犯罪』●『習近平氏と台湾有事』●『日本の話題はWBCと大谷選手に集中』★「チャットGPT」が日本の救うのか』

  混迷する世界と「チャットGPT」   『米国+NATO+ …

『オンライン/世界史の中の日本史』オープン原典講座』★『近代日本の父・福沢諭吉が<親の敵(かたき)でござる>とした徳川時代の差別構造(現在以上の超格差社会)の実態(身分差別/男女差別/上下関係/経済格差)を告発した『旧藩情』(全文現代訳9回連載)を一挙公開します(上)』

    2021/05/01 記事転載再編集 『オ …

『鎌倉釣りバカ人生30年/回想動画録』⑲★『コロナパニックなど吹き飛ばせ』★『10年前の鎌倉沖は豊饒の海だった』「釣れない・恋れない・釣りバカ日記③」 ★ 『自然に帰れ』―母なる海に抱かれて、魚と戯れる、また楽しからずや」 『鎌倉沖プライベート・シーで、同窓会ラブを思い出したよ』

  2010/07/03  「釣れない・ …