池田龍夫のマスコミ時評⑭ 普天「核密約」裏づける新資料が続々,<佐藤・ニクソン極秘文書が私邸に隠匿>
ジャーナリスト 池田龍夫(元毎日新聞記者)
まさに第一級資料であり、歴代自民党政権が隠蔽し続けたベールが完全に剥がされたと言える。折から鳩山由紀夫・民主党政権のもとで、外務省の「密約調査・有識者委員会」が作業中であり、その波紋は各方面に広がっている。
しかし、日本を含む極東諸国を防衛するという、米国が負っている国際的責任を効果的に遂行するためには、米国政府は、重大な緊急事態が起きた際、日本政府との事前協議を経て、核兵器の沖縄への再持ち込みと沖縄を通過させる権利を必要とするであろう。米国政府はその場合に好意的な回答を受けられるものと期待する。米国政府はまた、沖縄に現存する核貯蔵施設の所在地である嘉手納、那覇、辺野古及びナイキ・ハーキュリーズ基地を、いつでも使用可能な状態で維持し、重大な緊急事態の際には実際に使用できるよう求める。
―当初から、「核持ち込み」をカムフラージュする意図があったことを明白に裏づける証言である。米国の軍事戦略に「ノー」と言えない日本政府が、姑息な〝言い逃れ〟で糊塗し、ウソの上塗りをして国民を欺いてきた戦後政治の姿に、驚愕は深まるばかりだ。
各省庁には、公文書を厳重管理・保存する義務が課せられているが、大臣間の引き継ぎを含めて文書管理は恣意的で、いい加減な実態という。「由らしむベし、知らしむべからず」の〝お上意識〟がなお根強く、「探したが、文書はなかった」との隠蔽体質は目に余る。特に「情報公開法」が施行された2001年前後、外務省幹部らの指示で、一部文書が廃棄(焼却、裁断)されたといわれ、「調査検証チーム」の証拠集めは生易しくないと推察する。ただ、「核搭載艦船の寄港密約」に関する大平・ライシャワー会談などの関連文書はかなり見つかっているようで、「寄港密約」に関する証拠集めは進んでいる模様だ。
その観点に立って見れば、歴代自民党政権の欺瞞的「核密約」を清算し、戦後の日本の道標になってきた「憲法9条」と「非核3原則」を再確認することこそ肝要である。ベールを剥がされた「核密約の存在」を逆手にとって、「憲法改正」「非核3原則見直し」論が台頭するような時代状況は危険きわまりなく、国家存亡の重大事であるからだ。
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