前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(81)◎「講和条約記念式典 「4月28日」は、沖縄屈辱の日』

   

 池田龍夫のマスコミ時評(81)

 

◎「講和条約記念式典 「428日」は、

沖縄屈辱の日』

ジャーナリスト 池田龍夫 

 

 政府は428日、「サンフランシスコ講和条約が発効した1952428日を記念する式典」を東京千代田区で開いた。天皇、皇后両陛下ら400人が出席。一方「沖縄屈辱の日」と抗議していた仲井真弘多知事は参加しなかった。

 

        講和後も米軍政下に置かれた沖縄など3

 

安倍晋三政権が「428日」を「主権回復の日」と称して政府主催の式典を開いたことに、多くの国民から批判の声が高まっている。61年前の428日に講和条約が締結されたが、沖縄、奄美、小笠原の3島は、その後も米国の軍政下にあり、自由を奪われた状態が続いた。

 奄美は1952210日本本土に復帰、小笠原も1968626日に復帰したが、軍事戦略拠点の沖縄県には米軍が駐留。本土復帰を果たしたのは1972年5月15日だった。その後も米軍は基地に止まって、現在に至っている。基地専用に限れば、人口約180万人の島に、74%の基地が存在するというイビツな配置に驚く。その間、米兵の犯罪などトラブルが続出して今なお沖縄県民の苦悩が続いている。この事実を無視して「式典」開催を強行した安倍政権に反発するのは、当然の成り行きといえよう。

 

そもそも同会議には、日本がアジア・太平洋戦争で侵略した中国や韓国は招待されず、当時のソ連などは調印を拒否し、全面講和ではなかった。また領土不拡大の原則に反して、2条C項では千島列島のソ連の占領を認め、3条では沖縄、奄美、小笠原3島を米国の施政権下に置くなど、「日本国の主権回復」とは程遠いものだった。沖縄県民らは、この日を「屈辱の日」と反発。怒りの底流には、在日米軍に裁判権などで特権を与えた不平等な日米地位協定に苦しめられ、本土復帰した今も主権を制限され続けているとの思いがある。

 本土と沖縄の歴史認識の差異で片付けず、日本全体が抱える今の課題をそこに読み取るべきだ。

        「式典開催」を狙っていた自民党

 

日経新聞428日付社説は、「政府内には講和条約締結60年だった2年前から祝賀行事を開いてはどうかという声があったが、民主党政権下で日米関係がぎくしゃくして見送りになった。野党だった自民党は衆院選の公約に式典開催を明記、政権復帰で強行に踏み切った。気になるのは行事の前史だ。1997年に『主権回復の日』の政府式典開催を求める学者らが集会を開いた。

 

趣意書には『占領軍即席の憲法』との表現がある。参加したのは、先の戦争は聖戦で、東京裁判は不当な断罪と考える人たちが多かった。そもそも日本はなぜ主権を失ったのか。正義は日本にあったが、力及ばず負けたからなのか。

 

そうではなく、日本が誤った道を選んだことこそ原因ではないのか。日本は戦争責任がどこにあるかを曖昧にしてきた。それが歴史認識の食い違いを生み、戦後68年を経てもときに周辺国とあつれきを生む一因になっている。61年前の主権回復の枠外に置かれた沖縄では「我々を見捨てた日を祝うのか」との反発が出ている」と、厳しく批判していた。

 

       不平等な「日米地位協定」改定に取り組め

 毎日新聞426日付朝刊「記者の目」が、「沖縄屈辱の日 地位協定再考の契機に」と指摘した問題意識に共感した。その要旨を紹介すると……。「沖縄では、この日を『屈辱の日』と呼んでいる。怒りの底流には、在日米軍に裁判権などで特権を与えた不平等な『日米地位協定』に苦しめられ、本土復帰した今も主権を制限され続けてとの思いがある。

本土と沖縄の歴史認識の差で片付けず、日本全体が抱える今の課題をそこに読み取るべきだ。今年の『428』は、主権回復の意味と、地位協定の在り方を改めて問い直す契機としたい。…安倍首相は憲法改正の必要性を強調するが、議論が待ったなしなのは地位協定改定ではないのか。自民党の沖縄県議も安倍首相は『戦後レジームからの脱却』を掲げたが、地位協定はまさに戦後レジームのはずだ。

協定改定に手が付けられない現実に対し、沖縄の怒りや悲しみがあることに気付いているのだろうか」と困惑する。専門家の中には、協定改定が実現できないのは日本側の長年の対米追従姿勢が原因との指摘があるが、『改定が必要』との認識が国民に共有されていないのも一因だと思う。今こそ、全国的な議論が必要だ」との主張は歯切れがいい。

         沖縄へ米軍基地を押しつけ

 
朝日新聞427日付夕刊は、「沖縄県には、国内の米軍基地(専用施設)の738%がある。面積は約23000㌶で、JR山手線内側の約35倍。このうち約4分の3は普天間飛行場(宜野湾市)など米海兵隊基地が占めている。敗戦後、海兵隊がやってきたのは沖縄ではなく、山梨、神奈川、岐阜、大阪、奈良など本土だった。講和条約が発効した1952年前後、米軍基地面積の割合は本土が9、沖縄が1だった。

しかし、各地で反基地運動が活発化したのを背景に、55年ごろから海兵隊は米軍統治下の沖縄へ次々と移った。50年代、本土の基地面積は4分の1に減る一方、沖縄は2倍に。60年代には本土と沖縄の割合は半々になった。さらに関東地方などの基地が一気に縮小されるなどして、70年代前半には4分の3の基地が沖縄に集中する現在の構図が固まった」と、沖縄への基地押しつけの実態をリアルに報じていた。

 地位協定第3条は、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護、及び管理のための必要な全ての措置を執ることができる」と定めている。これが「排他的管理権」と呼ばれるもので、沖縄を米軍の治外法権下に縛り付けている「地位協定」改定に、日本政府は立ち上がらなければならない。

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 - IT・マスコミ論 , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
<公開読書>2千年前から日本人はどう旅行したか<その答えを一挙公開>『日本旅行史ー古代、中世、近代、明治まで』

<公開読書>2千年前から日本人はどう旅行したか   <その答えを一挙公 …

★『オンライン天才養成講座/エジソンの発明術を学ぶ』➂ 』★『発明発見・健康長寿・仕事成功11ヵ条」★『私たちは失敗から多くを学ぶ。特にその失敗が私たちの 全知全能力を傾けた努力の結果であるならば』★『臨終の言葉――「将来に信仰を持ちなさい。前進しなさい。私は人々のためにするだけのことはした。もう思い残すことはない。ブルーに輝いた美しい国の人々が待っている。さようなら」』

2018/11/23  百歳学入門(96)再録 「史上最高の …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(113)従軍慰安婦問題、いぜん続く日本・韓国の対立を憂える(6/27)

   池田龍夫のマスコミ時評(113)   &nb …

『画狂老人・葛飾北斎(89)の不老長寿物語』★『70、80洟垂れ小僧、洟垂れ娘に与える』★『クリエイティブ/熱狂人間は年など忘れて不老長寿になる』★『画業三昧で時間に追わて描きまくり、気がつけば百歳』

2025年12月23日午前7時「なぎさ橋珈琲店テラスより富士山を拝みながら<不老 …

『Z世代のための旧統一教会復習講座』★『日本の冬の陣―安倍国葬と旧統一教会』★『●「旧統一教会」は「カルトビジネス(悪徳商法)」「コングロマリッド」(総資産約8千億円)』(22年11月15日までの情報です)

    2022/12/03 の記事再録 日本の冬 …

『オンライン中継/1ヵ月後の九州豪雨の被害状況』★『熊本県球磨村の現場を取材する(2020/8/9am9)ー大雨では谷全体が川となり、水位計も壊れてしまっており正確にはわから ないが、場所によっては国道219線から5,6メートルの高さまで水がきたと考えれる.

 『熊本県球磨村の現場を取材する(2020/8/9am9) 8月9日朝 …

Kamakura Sea Biting Video Lecture” ★ “Kayak Fishing Stupid Diary – Enjoying ‘Sardine Nabura’ in the sea of ​​Seisei Wakiizuru, Harris No. 1, I caught a huge mackerel (about 40 cm). Thrilling and exciting!

  2012/05/21  <エンジョイ・カヤック・スタンドアップボー …

『オンライン・鎌倉武士の魂の動画講座』/鎌倉古寺/仁王像巡礼の旅へ』★『鎌倉古寺の一番おすすめは「妙法寺、苔の石段(歴史の道)が「夏草や兵どもが夢の跡」じゃ』

『鎌倉時代の武士をみたいのなら妙法寺に往けー   2 ★5鎌 …

no image
天才経営者列伝①本田宗一郎の名言、烈言、金言ピカイチ『成功は失敗の回数に比例する』★『得手に帆を上けよ』

               2009、08,15 天才経営者列伝①本田宗一郎の …

no image
『オンライン講座/バイデン氏当選、トランプ大統領往生際の悪さの研究(下)(2020年11月15日までの経過)』★『1月20日以後はトランプ氏は脱税容疑などで逮捕か、自己恩赦か!?』★『波乱万丈の裸の王様物語」のおわり』

 、トランプ大統領往生際の悪さの研究(下)     前坂 俊之(ジャー …