前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(94)「汚染水の海洋流出、収束への道険し(9/30)『ジュゴンが辺野古沖に姿を見せた(9/27)

      2015/01/01

 池田龍夫のマスコミ時評(94)

 

「汚染水の海洋流出、収束への道険し(9/30

●『ジュゴンが辺野古沖に姿を見せた(9/27

 

 福島原発惨事から2年半も経つのに、汚染水漏れが深刻な事態になってきた。どう海洋への流出を防ぐか、抜本策は見当たらず収束の見通しが立っていない。憂慮すべき事態で、国際問題となる危険性を孕んでいる。

 

先ず「凍土壁」で汚染水を封じ込め

 

 地下水の流入を防ぐため、14号機の周囲の地中に凍土壁を作る計画。抜本対策の柱で、原発4基の地中を総延長1400㍍にわたって凍土で囲む遮水壁だ。建設費として320億円を国が負担し、2014年度中の運用開始を目指すという。

 

トンネル工事などで使われる手法だが、大規模な設置は前例がない。果たして実効果あるかどうか。このほかにも地下水バイパスを作って建屋下に流れ込む前に地下水を海に流す方法や護岸の地盤改良などの対策が提示されているが、決め手となる対策は確立していない。

 

とにかく、阿武隈山系からの地下水が18001000㌧も原発建屋に押し寄せるというから手に負えない水量だ。その一部が土壌に染み出し、地下水と混ざって汚染水となり、海に流れ続けているというから恐ろしい。経済産業省はその量を1300㌧と試算している。

 

       セシウムなどが大量に流れ出る恐れ

 

 東京新聞918日付朝刊は、次のようなウィーン共同電を掲載した。「気象庁気象研究所の青山道夫主任研究員は18日、国際原子力機関(IAEA)フォーラムで、原発北側の放水口から放射性物質のセシウム137とストロンチウム901日計600億ベクレル、外洋に放出されていると報告した」――セシウム137の半減期は約30年、ストロンチウム90は約29年というから、外洋流出が続くようだったら一大事。外国の研究者も驚いているに違いない。

 

       原発敷地全体を「ひとつの島」に

 

 毎日新聞924日付夕刊、専門家3人の意見を聞いて構成した特集面は非常に参考になった。京大原子炉実権所の今中哲二助教は「チェルノブイリでは事故後2年半の時点で原子炉内がどうなっているかテレビカメラで調べられたが、福島第1原発では溶けた燃料がどうなっているか把握できていない。

 

一刻も早く原子炉内の燃料の状態を確認するとともに、汚染水貯蔵タンクに水量計やアラームを付けて監視を強めるなど、やるべきことは多い」と警告している。

 

原子力コンサルタントの佐藤暁氏は「地下水の流入を食い止めるため、敷地全体をひとつの島にするのがいい。現在の計画は建屋周辺を凍土でブロックするというものだが、それよりも全体から地下水を追い出す方法を採るべきではないか」と提案する。

 

産業技術総合研究所の丸井敦尚氏も「東電は当初、建屋から一滴も汚染水を漏らさないと言っていたが、不可能なことが明らかになってきて、敷地全体の広い面で勝負しようという方向になっているはずだ」と述べていた。

 

 東京電力の隠蔽体質は相変わらずだ。政府・東電は衆知を集めて、早急に具体策を推進してほしい。

 

 

       ●『ジュゴンが辺野古沖に姿を見せた(9/13

 

 

 ジュゴンが名護市辺野古沖に戻ってきていた。オスプレイの夜間騒音に痛みつけられている沖縄県民に、ジュゴンが朗報を届けてくれたのだ。

 

 ジュゴンはイルカやアザラシ、そして人間とも同じ哺乳動物。かつては熱帯、亜熱帯に生息。沖縄の海にも姿を見せていた。ところが海洋環境の悪化で年々数が減り、世界的に絶滅が心配されている。沖縄に数頭しかいないのは、餌場が荒らされてしまったからと、推測される。

 

 そのジュゴンが沖縄海域に戻ってきたというのだからめでたい話だ。いま辺野古沖を埋め立てて飛行場にしようと、日米両政府が画策している。沖縄県民は大反対で、環境アセスメントが進められている。今年中に政府に対し回答する予定で、沖縄県知事の模索が続いている。絶滅危惧種を守る運動が世界的に広がっており、ジュゴン出現の波紋は大きく、県知事の埋め立て可否の判断に影響しそうだ。

 

各紙の報道によると、沖縄防衛局が3年ぶりにジュゴンが餌場として使っていたことを示す食跡を確認していたのにひた隠し。公表が遅れた背景には、環境アセスへの配慮に違いなく、隠蔽体質に憤りを感じる。

 

 

 - IT・マスコミ論 , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
<野口恒のインターネット江戸学連続講義①>『江戸から学ぶウェブ社会の活力①』町民社会の庶民ネットワ-ク

日本再生への独創的視点<インターネット江戸学連続講義>   『江戸から …

『Z世代のための日本風狂人列伝①』★『 日本一の天才バカボン・宮武外骨伝々』★『「予は危険人物なり」は抱腹絶倒の超オモロイ本だよ。ウソ・ホントだよ!』

  2009/07/12 、2016/03/31/記事再録編 …

no image
野口恒のインターネット江戸学講義(16)>諸国を遍歴、大仕事をした“歩くノマド”たち(下)ー90歳まで描き続けた葛飾北斎

  日本再生への独創的視点<インターネット江戸学講義(16)> &nb …

no image
日本リーダーパワー史(839)(人気記事再録)-『権力対メディアの仁義なき戦い』★『5・15事件で敢然とテロを批判した 勇気あるジャーナリスト・菊竹六鼓から学ぶ②』★『菅官房長官を狼狽させた東京新聞女性記者/望月衣塑子氏の“質問力”(動画20分)』★『ペットドック新聞記者多数の中で痛快ウオッチドック記者出現!

日本リーダーパワー史(95) 5・15事件で敢然とテロを批判した 菊竹六鼓から学 …

no image
新刊を出版しました『図説 明治の宰相』(伊藤雅人、前坂俊之編著)河出書房 1800円)明治のリーダーシップを学ぶ

新刊を出版しましたー 『図説 明治の宰相』(伊藤雅人、前坂俊之編著)河出書房 1 …

『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争④』世界史の中の『日露戦争』⑱『日露戦争-朝鮮の独立と領土保全のための戦争』『タイムズ』【開戦3週間】★『日本が朝鮮と締結した条約の全文は,英米両国は好意的にみている。』★『 日本は朝鮮の皇室の「安寧」と「朝鮮帝国の独立と領土保全」を保障している』

    2013/06/18 記事再録 &nbsp …

『Z世代のための国会開設、議会主義の理論を紹介した日本最初の民主主義者・中江兆民講座①』★『兆民、大久保利通に知られる』★『 自由民権運動の演壇に股引と印ばんてんの服装で登場』★『伊藤、大隈、山県らの元老たちを罵倒す』

逗子なぎさ橋通信、24/06/30/am700]梅雨の合間の夏空に富士山はお隠れ …

no image
戦うジャーナリスト列伝・菊竹六鼓(淳)『日本ジャーナリズムの光、リベラリストであり、ヒューマニストであった稀有の記者』★『明治末期から一貫した公娼廃止論、試験全廃論など、今から見ても非常に進歩的、先駆的な言論の数々』

  日本ジャーナリズムの光、リベラリストであり、ヒューマニストであった …

no image
日本リーダーパワー史(837)(人気記事再録)『明治維新150年』★『日露戦争勝利の秘密、ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の最強のインテジェンス(intelligence )⑨終』★『日英同盟なのに英国は日本のために働かない』●『ポーツマス講和条会議始まる』★『大統領に条約案をみせて相談、ー『償金やめて払い戻し金に』●『談判決裂を心配したル大統領―3人委員会をつくる』

  <日本最強の外交官・金子堅太郎⑨>  ―「坂の上の雲の真実」ー 『 …

「トランプ関税と戦う方法」ー「石破首相は伊藤博文の国難突破力を学べ⑧』★『日本の運命を変えた金子堅太郎の英語スピーチ②』★『ハーバード大学クラブで講演、満員の大盛況』★『時間延長して講演、拍手喝采を浴びた』★『「日露戦争は正義のための戦いで日本が滅びても構わぬ」』★『「武士道とは何か」ールーズベルトが知りたい』

1902年(明治37)年四月二十八日、これは私が八年間アメリカにいて、うち最後の …