知的巨人たちの百歳学(113)「福沢諭吉(66)の寿量学」①人生の楽事は『一家健康】「一家団らん」』●「早老早衰は避け。活動の士となり、戸外で大いに遊べ」
2015/08/18
知的巨人たちの百歳学(113)
「日本開国の父・福沢諭吉(66)の寿量学」②
①人生の楽事とは『一家健康】「一家団らん」にある。ほかに求めると、かえって不幸を求めることになる。
②早老、早衰は憂うべきこと。活動の士となり、大いに勤め、戸外で大いに遊べばよろしい。
「人生の楽事」
人には何か楽しむ所がなくてはならない。
旅行を好む者あり、閑居をむさぼる者あり、遊芸をたしなむ者あり、書画骨董をよろこ「ぶ者あり。なおこれより以外には、財産の増殖に余念なき者もあれば、功名利達に熱心なる者もあり。
その他千種万様、限りなき人事の運動は浮世の人々がおのおのその心を楽しましめんとする働きにて、あるいはこれをその人の楽しみといい、またその人の志ともいう。
諸君にも必ず何か、楽しむ所、志す所のものあるべし。されば人生の楽しみは、上・中・下おのおのその境遇に適するところに存し、他よりこれ云々することはできないものなり。
されど、心静かにして社会普通の人情に訴え、また経世の利益のためを謀りて、人生のまさに楽しむべき楽地は、何辺にありやと尋ぬれば、形体の生計独立し、衣食の心配なく、たとえ世俗の豪奢(ぜいたく)をきそう能力がなくても、
一家健在、和色充満(なごやか、にぎやか)の家門にあることを見つけるべし。他に求むめるのは、かえって不楽を求めることになる。
「戸外に遊ぶべし」
現実の世界での活発に働いていて、あたかも千軍万馬の巷を走り回るものは一挙一動の間にも、心身を養って後れを取らない覚悟が大切だ。
したがって、遊興、娯楽の類もおのずから快活なるものを選ばないといけない。とにもかくにも、同じ遊戯、娯楽を求めるに、戸外活発の遊びをもっぱらとすれば、身心共にいよいよ健全となりて、始めて忙しい社会の実務に当たることができる。
ところが、近来紳士連中の傾向をみるに、楽しみといえば、隠居流でなけば婦女子的で、漸次活動的な気風を失いつつあるは寒心に耐えない。早老、早衰は実に憂うべきことだ。活動の士となり、大いに勤め、かつ大いに遊べばよろしい。
みだりに不活発なる戸内にこもる遊戯娯楽にふけるべからず。よろしく遊ぶには戸外で清風に当たって遊ぶべし。戸外活発の遊びを求めて、さらに大いに奮発するの努力を怠ってはならぬ。
人は勤めるに労するよりも、遊ぶに労するもの多し、その方が益も多し。
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