『タイの新型コロナウイルス(COVID-19)の防止策(周辺国も含めて)についての最新レポート(4/18)公表』★『世界各地から危機感が薄いと言われている日本ですが、確かに海外から見ると、その様に見えます』★『マレーシアのLockdown、インドネシアの大規模行動制限が延長されました(4/25』
2020/04/24
タイの新型コロナウイルス(COVID-19)の防止策(周辺国も含めて)、について、4月18日、タイ在住の日本企業の友人から以下のレポートが送られてきましたので、掲載いたします。
前坂俊之(静岡県立大名誉教授)
-
「タイの状況について」
タイは現在、全土でロックダウンを行っております。ただし、マレーシア等と比べるとまだ緩やかで、農業や工業の経済活動は継続しております。
「ロックダウン」の主な内容としては、
・レストラン、小売店(日常生活に必要な物以外)、アミューズメント施設(バー、マッサージ、映画館、競馬等のスタジアム等、公園の閉鎖。
・夜間の外出禁止。
・旅客機の発着禁止。
・県を越境した移動の禁止。
・高齢者、子どもの外出自粛勧告。
最初に、アミューズメント施設等の閉鎖が3/17に発令され、翌日3/18日から実施。
レストラン等の外食禁止、小売店の閉鎖は3/21に発令、翌3/22から実施。
と、日本では考えられないスピードで進められました。
旅行は当然のことながら、県を越境した移動の禁止(ただし、バンコク近郊の県では禁止されていません)により、3月18日以降、出稼ぎ労働者がタイの田舎に帰りましたが、現状、再びバンコクに戻る事ができなくなってます(飛行機、バスは動いておらず、車は検問により通過できず)。
ビル、工場、スーパーマーケット等への入場の際には、検温、マスク着用、手の消毒は必須で、37.5度以上あると、入場できません。感染者が発生した場合、ビルにより差はありますが、同じフロアは2週間以上の閉鎖。厳しいところは、ビル一棟が丸々閉鎖となっております。
病院では、申請すればPCR検査が可能です。検査費用は4~5千バーツ(学卒初任給が2万バーツ)の為、かなり高額です。検査結果が出るまで4~5日かかるようです。
タイではCOVID-19の感染者が増加し始めた2月頃、COVID19保険ができ、タイ人は一口200バーツで申し込みでき、もし感染した場合は50,000バーツ支払われるという保険です。数社で同様の保険を取扱いしたため、いくつもこの種の保険に申し込み、わざと新型肺炎に感染し保険料を受け取った猛者?が現れたため、この保険の申し込みはできなくなりました(現時点での申し込み可否は確認取れておりません)。
タイ人は、COVID-19に対しとてもナーバスになっており、一緒に働くスタッフは、来客者を嫌がります。
オフィスの入るビルや、生活しているマンションのエレベーターでは、壁を向いて立つよう、エレベーターの床に指示が書かれてます(参考の写真を添付します。ネットで拾いました)。
また、市バスでは、片側2席の内、通路側の席は使用禁止で、窓側のみを座るようになってます(ネットで記事を見掛けましたが、参考となる写真は見付けられませんでした)。
タイ政府も後手後手と言われてましたが、このような対策の結果、ピーク時は日当たり100人以上の新規感染者発生が2週間ほど続きましたが、現在は落ち着いてきて、ここ10日余りは新規感染者が2桁で推移してます。
日本政府よりも強い権力を持っているようで(最悪の場合、軍隊を出動させ封鎖等も可能なので)、国民に有無を言わせず対策を推し進められるので、何とか収束するのでは?との期待も出てきました。それでも月内は今のロックダウンは継続されますし、場合によっては、来月以降も延長される可能性すらあります。
世界各地から危機感が薄いと言われている日本ですが、確かに海外から見ると、その様に見えるのは理解できます。
赴任者及び家族についてですが、赴任者で日本に帰国した話は聞こえてきません。居るのかもしれませんが、聞こえてこないほど、少数だと思われます。1度、タイから出ると戻るのに苦労するためでもありますが、日本にいるよりもタイにいる方が安全であり、制限はあるものの、日常生活は問題無いという話を聞きます。
実際、生活で不便な面もありますが、野放し(に見える)な日本よりも、管理する意欲の強いタイの方が安全な気はします。
赴任者家族も同様で、あまり帰った話は聞きません。同じ会社で家族同伴者も、やはり帰国しておりません。
ただし、インドネシアでは、カーメーカーの駐在者の多くが日本に帰国しているようです(ある日系カーメーカーは、TOPの日本人社長のみを残し、全ての日本人が帰国しているとの事です)。
現状、タイ国民は落ち着いているように見えますが、先月半ばから強制閉鎖された店の従業員は収入が『0』となり、いつまでこの状態が続くのか不透明な事から、治安の悪化も懸念されております。
タイ政府は、COVID-19の感染対策として3/18以降、店の休業による失業者(社会保険未加入者のみ)への現金給付を決め、300万人分の予算を確保し、3/28から申請を開始しました。
インターネットでの申請ですが、余りに多くの申請が殺到したため、サーバーがダウンしたとか、フリーズしたような話も出ました。また、政府はあまりの申請者の多さに、受付枠を300万人→900万人に増やし、予算枠を拡大しました。
結果、全国民の40%にあたる約2,700万人が申請し、168万人は審査を通り、既に現金給付が始まってます。金額は5,000バーツ×3か月です。
政府見込みより申請者が多くなったのは、給付対象外の農家や社会保険加入者も申請をしたためで、既に不正受給者が出ており、SNSで発信の結果、逮捕者も出たとか。逮捕者は禁錮3年以下、6万バーツの罰金の両刑が科される為、61万人が申請を取り下げました。
-
「近隣諸国(マレーシア、インドネシア、ミヤンマー、ラオス)の状況について」
4/13時点の情報がネットニュースで数字がまとめられてました。タイ保健省等の発表をまとめたものです。
・マレーシアは最も早くロックダウンを開始し既に1か月が経過しております。
ロックダウンの内容としてはタイよりも厳しく、生活に必須な物資以外の生産、販売が禁止されてます(私の勤める自動車関係についても工場は完全休止です)。
その割に、連日まだ数十人の感染者が出ており、人口比で見るとまだまだ多いと思われます。
そして、マレーシア、インドネシアはイスラム教徒が多く、4/24からラマダンが始まります。1か月後のラマダン明けは、通常1週間程度の休みとなり、パーティーや旅行、里帰りをしますので、この間でまた感染拡大が懸念されています。
・ミャンマー、ラオスは最も遅く、感染者が出ました。
これは、タイでのロックダウンにより、出稼ぎ労働者が一時帰国し、ウイルスを持ち込んだのでは?と、言われています。当初からそれは懸念されており、出稼ぎ労働者にたいする帰国反対の声も出ていたとの事です。
ASEAN諸国の中でも最も貧しいと言われるミャンマー、ラオスは医療レベルも他のASEAN諸国より劣るため、
オーバーシュートした場合どうなってしまうのか?想像がつきません。
既に、シンガポール、インドネシア、ラオスも外国人の入国を禁止しております。
日本はその点でも、まだまだ緩く感じます。
当然、新型肺炎の感染だけでなく、経済面の心配もあります。治療薬もない中でいつまでこの状況が続くのか見えませんが、まずは感染者のコントロールができない事には、
日本も商店や工場休止等が始まり、経済活動も停滞し始めましたので、一つずつ対処するしかないのでは、と思われます。
<4月25日の追伸です>
マレーシアのLockdown、インドネシアの大規模行動制限が延長されました。
これは、イスラム教のラマダンと、ハリダヤ(マレーシアのラマダン明けの連休)やレバラン(インドネシアのラマダン明けの連休)で、家族や親せき、友人での会食が増え、連休ではお祭り騒ぎとなり、実家に帰省や旅行等の移動が増える事による、COVID-19の蔓延を危惧しての措置と言われております。
そのため、最終的にはラマダン、ハリダヤが終わる来月いっぱいまではLockdownと大規模行動制限が延長される、と言うのが大方の見方です。
タイも今月いっぱいは規制されており、月末での開放を楽しみにしておりますが、恐らくそうは行かないだろうと考えてます。
タイ政府は、地域を3つに分類し、
1.COVID19の感染者が出ていない地域
2.感染者は出たが過去2週間の新規感染者が発生していない地域
3.それ以外
で順次、規制を緩くしていく事を検討中のようです。
また、規制対象の商業店舗にしても、適切な距離を確保できた上で、
外食施設等からOPENし、段階的に種類を増やし
バーやマッサージ店等は 、最後の最後に許可が出るのでは?
と言われております。
バーは良いのですが、体のあちこちが痛いので、タイマッサージに行きたく、早い店舗再開を強く望んでおります。
以上です。
関連記事
-
-
<日中韓三国志・新聞資料編>『韓国併合』(1910年)を外国新聞はどう報道したか①』<『北朝鮮問題』を考える参考記事>
<日中韓三国志・新聞資料編> 『韓国併合』(1910年)を外国新聞 …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(125) 『安保法案「国民をバカにしないで下さい」』大学4年生の訴え(9/21)
池田龍夫のマスコミ時評(125) 『安保法案「国民をバカにしない …
-
-
『 地球の未来/世界の明日はどうなる』< 世界、日本メルトダウン(1041)> 『トランプ大統領の就任100日間(4/29日)が突破した』③『注目された米中会談(4/6,7)の内容とその結果は?・』★『朝鮮半島クライシス!』『トランプの北朝鮮威嚇で中国が高笑いの理由―ー北朝鮮をどんな形でもコントロールできる中国』●『朝鮮半島有事で日本に大量に「難民」が流入するの?』★『北朝鮮が中国を名指し批判――中国の反応は?』
『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 世界、日本メルトダウン(1041) …
-
-
日本リーダーパワー史(39)『日本敗戦の日、森近衛師団長の遺言<なぜ日本は敗れたのかー日本降伏の原因>
日本リーダーパワー史(39) 『日本敗戦の日、斬殺された森近衛師団長の遺言 &n …
-
-
『オンライン講座/ウクライナ戦争と日露戦争を比較する①』★『本史最大の国難・日露戦争で自ら地位を2階級(大臣→ 参謀次長)降下して、 陸軍を全指揮した最強トップ リーダー・児玉源太郎がいなければ、日露戦争の勝利はなかったのだ。 ーいまの政治家にその叡智・胆識・決断力・国難突破力の持ち主がいるのか?』
2021/08/31『オンライン講座/日本 …
-
-
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑦1903(明治36)年4月30日『英ノース・チヤイナ・ヘラルド』 『ロシアは満州撤退せず』『ロシアと日本』
『日本戦争外交史の研究』/ 『世界史の中の日露戦争』⑦ 1903(明治3 …
-
-
『Z世代のための百歳女性学入門」★「女性芸術家の長寿/晩晴学」★『日本舞踊家の武原はん(95歳)は日本の代表的美人』★『「心で舞う」「思い出の心で舞う」『百歳まで踊りたい。舞いとすじを極めたい。踊りに完成はありません。死ぬまで厳しい稽古です』
武原はんは(1903明治36-1998、平成10年)の95歳。日本舞踊家山村流地 …
-
-
<書評>高齢化社会を読み解く最良のテキスト「日本長寿の記録」(内田 啓明著、善本社)
「日本長寿の記録」(内田 啓明著、善本社、550P …
-
-
日本メルトダウン(545)チャイナリスクの深淵>●「中国との終わりなき軍拡競争に突入する日本」● 「米国を戦略的に出し抜く中国
日本メルトダウンの脱出法(545) <チャ …
