前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

百歳学入門⑫<日本超高齢社会>の過去とは②・・・<半世紀前までは人生わずか50年だった日本>

   

百歳学入門(12)
 <日本超高齢社会>の過去は・・・
<半世紀前までは人生わずか50年だった日本>
 
                   前坂 俊之
                (静岡県立大学名誉教授)
 
Q12>・・・孔子、孟子の教えの影響も小さくないね
 
「人生50年」のもう1つの根拠は論語の「われ30にして立ち、40にして惑わず、50にして天命を知る」という孔子の有名な言葉にもあるよね。
この論語の道徳思想は広く昭和戦前期まで日本人たちの人生観を支配していましたが、ただし、孔子(BC551年‐同479年)も、いうまでもなく中国春秋時代の儒家の始祖で、今から二千五百年も前の、人生短命時代の人なんで、今に通じるのはおかしい。今のわれわれじゃ四十にしてまどわずどころか、迷いっぱなし、五十にしてやっと立つというところですよ」
 
「それあそうじゃ、孔子孟子の教えに学ぶ儒家たちはやれ礼だ、孝行だ、秩序だと堅いことばかりをいっているので、中国の民衆はこれに反発して、道教という民衆宗教が発達して、一大勢力を形成した。仙人、不老不死はこの道教からきており、この道教の始祖が老子ですね。老子は160-200歳は生きたといわれる人物ですが、真偽のほどはわからない。戦国の乱世に生きた庶民たちはもっと自由に、自然に従ってあくせくせず悠悠と生きたいという悲願、理想像が仙人となり、不老不死の探求へと発展していったのです。」
 
 
創造力は老人となると衰えるのか
 
<Q>・・ところで、中国では老人は長老、知者として尊敬の対象とされるが、日本では老いは肉体的にも精神的にも衰弱していき、醜い、弱い者とみなされています。日本は若者文化で老人が排斥されがちです。
老人には創造的な仕事はできないとも思われていますが、どうなんでしょうか。天才と老人についての論争、創造性は年齢とともに衰えていくのか、どうか。
 
『これには諸説があるんじゃないのかな。科学的な大発見は大体2,30歳の若い時分にまずそのアイディア、基本的な部分がひらめいて、それが肉付けされて理論が生まれるものです。生まれつきのとびっきりの才能や創造力を持った人間、天賦の才を持った人が天才といわれる。天才少年はいても、天才老人と言う言葉はありませんね。

フランス詩人、作家のレモン・ラディゲは早熟の天才で、『肉体の悪魔』(14歳で習作、17歳で発表)、『ドルジュル伯の舞踏会』を執筆の直後、腸チフスのために20歳で夭折した。まさしく、夭折の天才で、三島由紀夫の作品、死も大きな影響を受けていますよね』

 
『音楽界では、若き天才は山ほどいますよね。生誕250年をすぎましたが、神童・モーツアルト(1756-1791)は5歳で作曲し、6歳で宮殿に招かれマリアテレジアの前で見事な演奏を披露、13歳でザルツブルグの宮廷音楽団のコンサートマスターに就任、天才少年はその音楽的な才能を泉のごとく発揮して、30歳で代表作のオペラ『フィガロの結婚』を完成、生涯700曲以上を作っています。
 
三五歳で病をおして『魔笛』を完成した直後に亡くなっていますね。シューベルト(1797- 1828)はさらに若死にですよ。13歳で交響曲の作曲をはじめ、彼は『一日中作曲していて、完成するとまた次を書き始める』といっています。次々に曲が浮かんでくるんでしょうね、未完成交響曲、ピアノ曲、歌曲、歌劇など1200曲もの膨大な作品を31歳までに作って、急死というか、当時も平均寿命は長くなかったんですね』
 
 
『発見、発明をした年令を調べると、大体、30、40歳以下と若い年齢です。化学分野では三〇歳以下だし、多くの自然科学、数学、医学などは四〇歳以下、哲学、形而上学、音楽などの分野は四〇歳を越すものもありますが、大体「世界に影響を与える大きな仕事は、二十五から四十歳の間に行なわれている」というウィリアム・オスラー(カナダ生まれの世界的な医学教育の基礎を築いた内科医)の説があたっているんじゃないのな。
 
ただ、年齢によって創造性のすべてが衰えることはありません。人間の脳細胞は100億以上あります。年をとるごとに、1日に約十万というニュウロンが死滅していくのは確かですが脳活動のそれはわずかです。90,100歳になっても肉体の衰えとは逆に、脳活動の元気を保ち続けて、創作、創造活動は持続できるというのは、100歳以上の人の脳の調査からわかってきています』

 立花隆の話では

「立花隆もその読書論で言っていますが、百歳になると脳の機能が相当低下していると思われるでしょうが、そうではないんです。これは個人差が大きく、健康な人の脳は、六十代の脳と変わらない。もちろん老化はあります。物忘れは激しくなったり、人の名前が出てこなかったりするのはごく小さな脳硬塞が起こっているからです。

しかし、脳は精緻な構造なので小さな脳硬塞はすぐにバイパスが通って機能が保つ。使えば使うほどそういうバイパスができる仕組みで、脳はとことん使うほど、老化しないのですね。教訓は、脳は惜しまず使えって言うことですね。平櫛翁の、<実践、実践、また実践。挑戦、挑戦、また挑戦・・>ではないが、脳を使って使って、使いと倒せ、知恵をしぼって絞って、しぼりつくせというのが、知的『セントナリアン』の秘訣というところですね」

 
 
『たしかに、その要素は大きいですね。年輪を重ねることによってますます円熟する、若い天才のインスピレーションから、それをまと整理する巨大な作品は年令の積み重ねによって生まれてきます。体力は衰えても、精神力はますます熟成して、巨木になるのです。
科学分野でも、73歳でなくなったダーウィンも最大の事業「種の起源」を出版したのは50歳のとき、最後の重要な論文『ミミズの土(その土壌の改良作用』)は亡くなる1年前の72歳です。
 
78歳という長寿だったガリレオ・ガリレイは17世紀の自然科学に大きな影響を与えた地動説の『天文対話』を68歳で出版、それ以上に科学史上画期的な「新科学対話」を最晩年の74歳で発表していますね。いずれも遅咲きの天才で、条件反射で有名なパロフは八十七歳で亡くなるまで、二十代の情熱と勇気を最期まで持続させたといわれます』
 

 - 健康長寿 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『 京都古寺巡礼のぶらり旅』★5 『秀吉ゆかりの「京都醍醐寺」全動画案内30分』(9/3)―わが 『古寺巡礼』で深く心にしみた古刹、庭園、五重塔です①』

                                         …

no image
百歳学入門(24) 『画家は長生き』・奥村土牛(101歳) 「牛のあゆみ」で我が長い長い道を行く

百歳学入門(24)『画家は長生き』奥村土牛(101歳)「牛のあゆみ」で我が長い道 …

no image
クイズ<超高齢社会>・創造力は老人となると衰えるのか<創造力は年齢に関係なし>

  クイズ<超高齢社会>・創造力は老人となると衰えるのか <創造力は年 …

no image
知的巨人の百歳学(138)-『六十,七十/ボーっと生きてんじゃねーよ(炸裂!)」九十、百歳・天才老人の勉強法を見習え!』★『日本株式会社の父』渋沢栄一は83歳で関東大震災を体験、自宅、事務所は全焼した。家族は郷里に避難をすすめた。すると、渋沢は「バカなことをいうな!わしのような老人は、こういう時にこそ働かなければ申し訳ない。それを田舎に行けなど卑怯千万な!これしきの事を恐れて八十年の長い間生きてこられたと思うのか」と怒鳴りつけ、翌日から大車輪で復興の先頭に立った』

2011/05/04記事再録 生涯現役の達人・渋沢栄一(91歳)の晩年・長寿力に …

no image
生涯現役・百歳実践入門–『鎌倉で天然生活』大漁!豊漁?―カヌーフィッシングで百歳めざす

生涯現役・百歳実践入門   『鎌倉で天然生活』大漁!豊漁?―カヌーフィ …

no image
『知的巨人の長寿学』の牧野富太郎(94)に学べ<植物研究と山歩きで、世界的な植物学者になる>

『知的巨人の長寿学』の牧野富太郎(94)に学べ <植物研究と山歩きで、世界的な植 …

no image
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『 感染病を克服した明治のリーダーたち』①『『衛生行政の父』後藤新平と「日本の細菌学の父・北里柴三郎』の活躍で伝染病を一掃した』(5月13日)

 感染病を克服した明治のリーダーたち①            …

『Z世代のための明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破力講座⑬』★『杉山の「バカとアホウの壁」解説③」★『始皇帝の「バカ息子」の行動を学べというのではない。馬鹿阿房学の真の意味を理解せよ』

そこで、庵主(私)は諸君に勧めて辛棒や我慢や忍耐の好きになる方法の「馬鹿阿房学」 …

明日の台風7号の鎌倉稲村ケ崎ビッグサーフィンが楽しみだよ(23年8月9日)―この動画は台風2号通過後(6月3日)の稲村ケ崎サーフィンです。

明日の台風7号の鎌倉稲村ケ崎ビッグサーフィンが楽しみだよ(23年8月9日)―この …

no image
百歳学入門(232)ー曻地 三郎(教育家、107歳)「100歳生涯現役を楽しむ20ヵ条」★『<生涯現役>と厳(いか)めしい顔をするのではなく、 生涯現役を楽しめばよい』★『風が吹けば風になびき、苦しいことがあれば苦しさに耐え、「あの時こうすればよかった」などという後悔は何一つない』

「100歳生涯現役」を楽しむ 曻地 三郎(しょうち さぶろう) https:// …