百歳学入門⑩ <日本超高齢社会>の現実と過去と未来②
百歳学入門⑩<日本超高齢社会>の現実と過去と未来②
前坂 俊之
(静岡県立大学名誉教授)
<Q6>・・・なるほどね、元気なセントナリアンたちからのメッセージはあるんですか。
A-『ありますよ。団塊世代の還暦組にピッタリの言葉があるよ。『五十、六十,鼻たれ小僧、七十,八十、人間ざかり』という。この言葉は今や、『六十,七十鼻たれ小僧、八十、九十人間ざかり』といったほうがより適切ですね。
これは彫刻家・平櫛田中(1872-1979、107歳)が90歳代になってもかくしゃくとして、つねづね口癖にしていたのですが、百寿を迎えた際に、「六十・七十は鼻たれ小僧、男ざかりは、百から百から」といっていますね。平櫛翁は107歳で亡くなる直前までノミをふるっており、世界最長寿の芸術家といっても間違いありませんね。
平櫛翁は「いまやらねば、いつできる。わしがやらねばだれがやる」が口ぐせ。おもしろい語録もたくさんあります。90歳のときの言葉で
「実践、実践、また実践。挑戦、挑戦、また挑戦。
修練、修練、また修練。
やってやれないことはない。やらずにできるわけがない。
今やらずしていつできる。俺がやらねば誰がやる。
やってやってやり通せ」
『今日もお仕事、おまんまうまいよ、びんぼうごくらく、ながいきするよ』
『人間いたずらに多事、人生いたずらに年をとる、いまやらねばいつできる、 わしがやらねばたれがやる 』
『人間いたずらに多事、人生いたずらに年をとる、いまやらねばいつできる、 わしがやらねばたれがやる 』
『六十、七十は鼻たれ小僧、男ざかりは、百から百から、わしもこれから、これから』
百歳のときに、こんな歌も作っています。
わしもとうとう満百オ
まだまだ仕事が残ってる
朝から工房 晩めしがうまい
野菜のかきあげ小えびが二つ
葡萄酒 ぽちり粥一椀
とろりまぶたが重くなる
ベッドにごろりたかいびき
夜中に小便二、三回
あさまでぐっすり夢を見ず
死ぬこと忘れた田中団兵衛(だんべい)
松下幸之助(1894 – 1989、94歳)も長寿ですが、平櫛翁を大変尊敬しその養生法を実践していましたね。肺炎で病床についていた田中は昭和54年12月21日朝、「私はこれから旅に出ます。お供も弁当も入りません。あとをよろしくたのみます。」といってこん睡状態になり、12月30日に107歳10ヵ月)の生涯を閉じました。
-『いやはや、この気迫に恐れいりました。惰眠をむさぼっている頭を一喝!されましたね。平櫛翁の不老不死の爪の垢でも煎じて飲みたい心境だね』
A-『老い若きも、今四国88ヵ所などの巡礼が流行っていますね。四国へ行く途中の岡山県の井原市に平櫛田中美術館(〒715 井原市井原町315 電話/0866(62)8787 www.city.ibara.okayama.jp/dencyu/index.html)があります。
彼の生涯と彫刻の代表作や書画が展示されており、田中の生き方、精神の息吹を直接実感できて、生きる意欲を、元気をもらえますよ。全国各地にあるセントナリアンや、晩年長寿の達人の個人記念館など回ることは、今後の身の越し方を考えるには最もいい還暦組みにお勧めの巡礼の旅ですね。
ちなみには東京小平市には平櫛田中彫刻美術館(東京都小平市学園西町1-7-5 電話042-341-0098があります。98歳の時に建てた書院造りの住居と庭園を公開しており、こちらも必見ですね』
<Q7>・・・『「長寿の心得・・・人生は六〇から」という、こんなばかばかしい歌もあるよね。ハハハッー』
1・・七〇歳でお迎えが来た時にゃ、ただいま留守にしておりますと言え
2・・八〇歳でお迎えの来た時にゃ、まだまだ早いと追い返せ
3・・九〇歳でお迎えの来た時にゃ、そう急がずともよいと言え
4・・一〇〇歳でお迎えの来た時にゃ、こちらからボツボツ行くからと言え』
B-『「千の風になって」という歌が少し前に大ヒットしましたよね。「私は墓にはいません、眠ってなんかいません」とか何とかいう歌詞は永遠の真実を表しているとおもいますね。だから、大ヒットしたんです。
命あるものはすべて有限で、時間の長短はあれどいつかは滅び、死んで行く。肉体は滅びるが精神は消える去るわけではない。その人が書いたもの、作品、業績などの記録されたものは残りますし、回りの人たちの思い出や、記憶は引継がれていくものです。
『人の命は短く、芸術は長し』、これをもじって「芸術は短く貧乏は長し」といったのは直木三十五だっけ。人間や自然は生死を繰り返していますが、いまやメディアによって記録されて、歴史として引き継がれていく。
それが、人間の知恵であり、文化であり、他の動物と違って人間が文明を築いたゆえんは、人間の記憶を記録して、後生に伝えていくメディアとコミュニケーションの方法を編み出したことですね。
墓やピラミッドの中には骨やミイラや埋葬品はあっても、その業績、精神は人間の記憶と、記録の中にあり、それは長く残るのです。千の風となってとは、今のインターネットそのものですね。インターネットで流せば、世界中の人々に拡散することができる、新たな時代にはいいたのですね。」
関連記事
-
-
「少子超高齢社会」は「青少年残酷・老害社会」ー横井也有の<江戸の老人8歌仙と老害>で自戒する
百歳学入門(83) ▼「江戸の老人8歌仙と老害」 &n …
-
-
「Z世代のための日本宰相論」★「桂太郎首相の日露戦争、外交論の研究③」★『日露戦争勝利はロスチャイルドの外債(戦費)のおかげとして、桂首相はお礼外交に出かけたが、明治天皇崩御で途中で引き返した』
2011年日本リーダーパワー史(121)『秋山定輔の国難突破力』の記事再編集 前 …
-
-
百歳学入門(74) ●『三浦雄一郎さん、エベレスト登頂成功 史上最高齢80歳』『三浦語録』
百歳学入門(74) ●『三浦雄一郎さん、エベレスト登頂成 …
-
-
『鎌倉材木座海岸ウインドサーフィン』(2020/3/19/1600)-.20度も気温が上昇し、春の嵐の再来に怒涛の大波とたたかうサーファー勇者たち、スピード、スリル満点、見てるだけでエキサイティング
鎌倉材木座海岸ウインドサーフィン②(2020)/3/19/1600)-.20度も …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(327)★『コロナパニックなど吹き飛ばせ』★『超高齢社会日本』のシンボル・世界最長寿の彫刻家/平櫛田中翁(107歳)に学ぶ」<その気魄と禅語>『2019/10月27/日、NHKの「日曜日美術館ーわしがやらねばたれがやる~彫刻家・平櫛田中」で紹介』★『百歳になった時、わしも、これから、これから、130歳までやるぞ!』と圧倒的な気魄!
<世界のコロナパニック戦争で「長寿大国日本」の底力(長寿逆転突破力)を発揮して …
-
-
百歳学入門(34)―『百歳長寿名言』★☆『たゆまざる 歩み恐ろし カタツムリ』(彫刻家・北村西望102歳)ほか3本
百歳学入門(34)―『百歳長寿名言』 『たゆまざる 歩み恐ろし カタツムリ』(彫 …
-
-
日本リーダーパワー史(784)-「日本史の復習問題」「日清・日露戦争の勝利の秘訣は何か」明治人のリーダーパワーとリスク管理能力、外交力を現在の昭和人のそれと比較する』
日本リーダーパワー史(784) 「日本史の復習問題」 「日清、日露戦争に勝利」 …
-
-
『女性百寿者の長寿名言②』毎日を創造する気持ちで過ごす生活に飽きはこない」「生涯勉強です」
『女性百寿者の健康長寿名言②』 前坂 俊之(ジャー …
-
-
⭐︎『湘南海山ぶらぶら日記・「地球環境異変はますます深刻化」⭐︎『豊穣の鎌倉海も海生物が激減』●『米離脱後のパリ会議の行方ははどうなる』
湘南海山ぶらぶら日記 「地球環境異変はますます深刻化」 ―米離脱後のパリ会議 …
