前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

百歳学入門(40) 昭和の傑僧、山本玄峰(95歳)の一喝!『法に深切、人に親切、自身には辛節であれ』

   

百歳学入門(40)―『百歳長寿名言』
 
     <昭和の傑僧、山本玄峰(やまもとげんぽう)95歳の一喝>
 
① 自分のために修行する
② 力をもって立つものは、力によって亡ぶ。金で立つものは、金に窮して滅び、
ただ、徳あるものは永遠に生きる。
③ 法に深切、人に親切、自身には辛節法であれ。
④ 一日不働 一日不食。(1日働かなければ、1日食わず、食わんでも死なんぞ)
 
                              前坂俊之(ジャーナリスト)
 
 
<山本玄峰(1866-1961) やまもとげんぽう九十五歳は昭和の傑僧、禅宗の老師。臨済宗妙心寺派の管長となり、後に静岡県三島の龍沢寺の住職>
 
 
和歌山県東牟婁郡本宮町で、生まれてすぐ捨て子となるが、近所の人に助けられる。字を習うこともなく、百姓の手伝いや筏流(いかだし)をして成長。眼病にかかり、医者にも失明を宣告されたため、二十二歳で願をかけて四国を裸足で計七回もお遍路に回った。
 
このとき、高知の雪寺(せっけいじ)で行き倒れとなり、「自分は目も見えず、読み書きもできないが、坊さんにしてもらえますか」と和尚に頼み込むと、「親から授かった目は年を取れば見えなくなるが、仏さまからさずかる心の目は一旦開かれれば、つぶれない。お前の心眼は修行次第じゃ」と弟子入りを許された。その後、禅僧となって全国の数々の寺院を再興して回り、臨済宗妙心寺派の管長となり、後に静岡県三島の龍沢寺(りゆうたくじ)の住職となった。
 
玄峰は思想、信条を超えて、「来るものは拒まず」で救済した。一九三一(昭和六)年、血盟団事件の右翼の黒幕・井上日召の弁護に法廷に立ったが、武装共産党のリーダー・田中清玄(その後、日本の黒幕とも呼ばれる)はこの時の玄峰の話を聞いて感激して、弟子入りした。
 
ある日、老師が「お前は何のために修行するのか」と問うと、田中は「世のため、人のためです」と答えた。「フーン」また、しばらくたって同じ質問があり、同じ答えをすると、「ばか者、わしは自分のために修行をしとる。人のためではない」と大喝した。
一九四五(昭和二十)年四月、老師は鈴木貫太郎枢密院議長(元海軍大将、侍従長)に会った。「一刻も早く戦争を終わらせなければならぬ。負けて勝つのです」と献策、鈴木は1週間後に首相に就任。八月十二日に鈴木首相の使者が訪れ、終戦の決意を伝えたのに対して、
「これからが貴下の本当のご奉公。忍び難きを忍んで、行じ難きをよく行じて、国家の再建に尽くしていただきたい」との書状を托した。
 
 
<法に深切、人に親切、自身には辛節法に探切、人に親切、
自身には辛節であれ>
<一日不働一日不食>
 
このように老師は人、国家の運命の先の先まで洞察していた禅者であった。
あるとき、寺へ、日本刀を持った暴漢が乱入して老師を殺すぞと脅した。「わしは死に味を 知らぬ。殺すのは勝手やが、いっそ、竹のノコギリで首をひいて、じわりじわりと死なしてもらいたい。じっくりと、死に味を味おうてみたいわ」とゴロリと横になった。度肝をぬかれた暴漢はあっさりと退散した。
 
 老師は誰とでもよく会い、よく飲んだ。法要では最後にどうしても酒になる。年をとれば誰でも飲めなくなるが、酒豪の老師は八十歳過ぎても日本酒を一升(「八リットル)あけてもケロッとして泰然自若、春風たい蕩であった。
 
 最晩年になっても全国の寺、霊場への伝法の旅を続けていたが、疲れが出たのか亡くなる半年前に病に伏せた。病床で断食、断水を始めて、弟子に「禅坊主の死に方を見せてやる」と別れを告げた。
 
「生きてください」と田中清玄らが涙ながらに訴えると、病人とは思えない力で、田中を殴りつけた。驚いた弟子たちが「正月早々、死なれては困ります、みなが迷惑します」と必死で止めると「そうかな。迷惑するというんなら、もう少し生きて、熱からず寒からぬ時を選んで、
人間狂言の幕を閉じよう」と断食を解いた。
 
 五月二十八日に、会いにきた田中に「これから往生する。師匠の命日じゃ」と言い放った。六月三日午前一時、当番で看病していた者にブドウ酒を頼んで、おいしそうに飲み干し、「旅に出る、着物を用意しろ」と言って十五分後に亡くなった。
      
 遺書には「正法(しょうほう)興るとき国栄え、正法廃るとき国滅ぶ」「葬儀は絶対に行なわざること」とあった。
 
 
生活禅とは・・・
 
 坐禅を行(ぎょう)ずるといっても、何もそう七面倒くさいものではない。形よりも心、心さえそれにあれば、行住坐臥、日常茶飯みなことごとく坐禅である。仏壇がなくとも、どこにも仏さまはござる、経文がなくとも、どこにも経文は満ち満ちている。
 
坐禅堂に坐るばかりが禅ではなく、床の間に向かっても坐禅、机に向かっても坐禅、汽車、電車に乗っても坐禅、そういうようにとらわれる処がなければ、寝床の上でも立派に坐禅はできる。
 
 むかしから、茶禅一味、剣禅一味などともいわれておるが、そんなものばかりではない、喫茶、喫飯皆これ禅定の手段ならざるはなく、語黙動静(どもくどうしょう)、しゃべるのも、だまるのも、うごくのも、うどかないのも皆これ禅、われわれの日常生活はすべてこの中に在る。
 
  坐禅せば四条五条の橋の上
   往き来の人もそのままに見て
                        
8時間も眠れば良い
 
 ねむりも飲食と共に、なかなか大切なもんじゃ。
それかといって、
  朝寝して 夜寝るまでに昼寝して あいまあいまに居眠りをする
 
 これじゃ、どうにもならん。一昼夜を三分して八時間働き、八時間休みというのなら、あとの八時間をゆっくり眠ればそれで十分だろう。われわれ坊主の修業ではもっともっと切りつめるが、一般人の無理のないところで、八時間労働なら、八時間睡眠で沢山。それ以上はいわゆるムサボリになる。ムサボリからよい結果が生まれる道理はない。
 腹八分というのが飲食のいましめなら、眠りの方も八分だっていいだろう。
 
 早くねて、早くおきる、夏でも冬でも、ましてや春眠、暁を覚えずで、朝寝の床は年柄年中恋しいものだが、そこを八分目に切り上げて、はね起きる。心気の爽快は、決して「朝起き三文の得」どころじゃあるまい。
 
新幹線などのるな、「鈍行列車」に限る
 
 
 忙しい忙しいで、何をそう急いでござるのだ。忙 しい忙しいは、たいてい、忙しくなるよう、前になまけたのか、手違いをおかしたのか、または性分でそう騒ぎ立てるだけのことだろう。そうでなければ、一人前の仕事以上に、あれもこれもと、人の分まで欲張って抱えこむからの報いである。
 
  忙しい忙しいで目をまわしている人も、ゆっくりゆっくりやるだけのことをやってる人も、そうそう 仕上げる仕事の分量にはかわりはないものさ。わしはなんでも、急ぐということをしないで、その代り時間をムダにせず、人手をムダにせず、物をムダにしないで、ゆっくり構えて九十何年とこの世を歩みつづけてきた。
 
 人間何もそう先を急いで、息せき切るには当たらない。鈍行列車でも、急行列車でも行き先はみな同じで、急行券の座席券のと、よけいな心配のいらないだけ鈍行の方が得、ことに「浮世列車」は何より楽しいのじゃな
 
 
「三毒」を去る
 
 ぼんのう(煩悩)というものは、それこそ数限りもない。むかしから八万四千の煩悩といい、百八の煩悩ともいっている。人間がゼイタクになるにつれて、ふえることはあっても、へることはあるまい。手っ取り早いところで、われわれには、まずいわゆる三毒の煩悩はまぬがれない。八万四千から百八、百八から大マケにマケての三毒煩悩であるが、こいつを分かりやすく分析すると、つまりは貪、、痴(どん・しん・ち)になる。
 
 それから仏教の訓えには「八正道」というのがある。正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定と申すものだ。すなわち、正理を観じて外道邪見を破ること、正理を深く観じ察すること、邪悪を行なわず正しい行ないを保つこと、清浄に自活して俗塵不潔を離れること、正道を修めて勤勉不退なることなど。いろいろとむずかしくいってあるが、要するに仏の心を心として、三毒を去り、スコヤカに生きるということである。

 - 健康長寿 , , , , , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
★『緊急スーパー台風19号の進路速報!、神奈川県逗子から②』★『逗子市の高潮警報発令で、田越川周辺の住民に自主避難所を開設(動画)』★『台風19号、静岡か関東上陸へ=7都県に大雨特別警報-1人死亡、10人重軽傷 (10/12/pm16/)』

          &nbsp …

no image
知的巨人の百歳学(131)-『石油王・出光佐三(95)の国難突破力/最強のリーダーシップ/晩年長寿力』★『『人間尊重』『つとめて困難を歩み、苦労人になれ』『順境にいて悲観し、逆境にいて楽観せよ』★『活眼を開いてしばらく眠っていよ』

2011/07/31記事再録/  日本リーダーパワー史(179) 『国 …

no image
『オンライン講座/中国交渉術の研究』★『日清戦争はなぜ起きたのかー日中韓認識ギャップから戦争へ』★『清国流の詐術にひっかかるな」と国民新聞は主張

    終戦70年・日本敗戦史(121)   &n …

no image
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー「2020年4月,米欧から遅れること1ヵ月.日本は「平時から非常時へ」,「知られざる敵との第3次世界大戦に参戦した。第2次世界大戦(太平洋戦争)の愚かな戦争ではなく、「ITデジタルスマート戦争」にする必要がある』

 コロナパニックと緊急事態法発令へ          前坂俊之(ジャー …

『Z世代のための百歳学入門』★『日本の歴史上の最長寿118歳(?)の永田徳本とは何者かー長寿の秘訣は『豪邁不羈(ごうまいふき)の奇行』★『診療の時は首に薬袋をかけて牛の背中にのり、金持ちよりも貧しい人々を対象に「甲斐の徳本、1服18文」と呼び鳴らして薬を売り歩いた』★『甲斐葡萄(ぶどう、甲州ワイン)の栽培繁殖、優良種の接枝、養育法など本草学を研究した』

2012/03/04  百歳学入門(33)記事再録再編集 医聖』-永田 …

『ベートーベン生誕250周年』★『ウイーンぶらぶら散歩でべートーベン記念博物館「ハイリゲンシュタットの遺書の家」で、デスマスクや遺書の真筆、葬儀の模様、最後の部屋のデッサンなどを見ることが出来る。

   2016年5月16日の記事再録 『F国際ビジネスマンの …

no image
生涯現役・百歳実践入門–『鎌倉で天然生活』大漁!豊漁?―カヌーフィッシングで百歳めざす

生涯現役・百歳実践入門   『鎌倉で天然生活』大漁!豊漁?―カヌーフィ …

『世界史を変えるウクライナ・ゼレンスキー大統領の平和スピーチ』★『日露戦争に勝利した 金子堅太郎の最強のインテジェンス(intelligence )⑨終』★『ポーツマス講和条会議始まる』★『大統領に条約案をみせて相談、ー『償金やめて払い戻し金に』●『談判決裂を心配したル大統領―3人委員会をつくる』

  2017/06/28  日本リーダー …

『オンライン/長寿学入門『超高齢社会日本』のシンボルー 真珠王・御木本幸吉 (96)、ラーメン王・安藤百福(96)に学ぶ 「食を選んで大食せず、うまいものは二箸(はし)残し、胃腸と一緒に寝る」(御木本幸吉) 『人生に遅すぎることはない。五十歳でも、六十歳でも、新しい出発はある』(安藤百福)

96歳 真珠王・御木本幸吉 (1858年3月10日―1954年9月21日) いわ …

長寿学入門(218)★人気リクエスト記事再録『2025年問題の解決に向けて「団塊世代は元気な百歳をめざそう』★『長生きの秘訣は若い医者や研究者よりも百寿者(センテナリアン)にこそ聴け』★『「おじいちゃん、おばあちゃんの口癖こそ長寿の秘訣の宝箱ですよ』

100歳現役学入門―団塊世代は元気な百歳をめざそう,<健康長寿の秘訣はこれじゃ> …