前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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★『オンライン/新型コロナパンデミックの世界』(2020年12月―21年1月15日)★『 コロナ第3波に襲われた世』★「トランプ大統領の最後の悪あがき、支持者が米議事堂に乱入!』★『バイデン新大統領の就任式(1/20日)★『中国の強権、戦狼外交が続く』★『今年7月に中国共産党は結党100年を迎える』(下)

   

 

  • 「トランプ大統領の最後の悪あがき、支持者が米議事堂に乱入!」

前坂 俊之(ジャーナリスト)

「米国政治に話題を変えましょうか。トランプ大統領の権力乱用、暴走は最後まで続きましたが、12月以降の経過過を振り返りますと、12月4日に米南部ジョージア州の州務長官にトランプ大統領が電話をかけてきて、大統領選挙の結果を覆すように圧力をかけたことを暴露した。ついで、5日のジョージア州米上院議員選挙では2議席とも民主党新人が勝利して、これで民主党が上下両院とも握ったのです。

ところが、大統領選で「証拠も提示せず大規模な不正投票があった」と、敗北を一切認めていないトランプ氏は何週間も前から「1月6日にワシントンで大規模な抗議集会を開く、激しいものになる」と今回の騒動を予言、扇動していたのです。その結果、前代未聞のトランプ支持軍による米国会議事堂占拠事件という反乱がおきた。これは反乱罪、反逆罪そのものと思いますよ」

 「温厚なバイデン氏も「これは反乱だ、反逆だ」と非難している。民主党下院も「本当にショックを受けて、悲しんでいる」と述べ、「トランプ大統領に呼びかける。直ちにテレビの全国放送に出て、憲法を守るという自分の誓いを果たし、この占拠を終わらせるよう強く要求してもらいたい」と強調したが、何とも生ぬるい処置です。」

「私は暴君トランプがついにやったか!、という感じで、驚きは全くなかったね。もともと、トランプ大統領は多くの米国の精神分析医が「誇大妄想狂」「自己愛・ナルシズム人格障害者」とみていましたが、その通りこの4年間、最初から暴言、暴走を繰り返し狂乱の果て、ついに自爆自滅したといえますね。今回の連邦議会侵入占拠事件の主犯の「Q-Anonの祈祷師(シャーマン)」と呼ばれるJ.A.チャンスレー氏も同じ傾向の人格障害」で、その支持者、デモ隊たちもQ-Anonのばかばかしい陰謀論や、「選挙で大規模な不正が行われた」というトランプ大統領のウソ八百を真にうけて、客観的認識力の欠如した暴動、幼児的なマンガチックな反乱というか騒ぎでお祭り感覚なのでしょうGS、米国の末恐ろしい分断社会の深淵を見た思いで、ゾッとしました。」

 「米カリフォルニア州知事も務めた俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏は10日、トランプ大統領をナチスドイツのヒトラー同じといっています。ヒトラーも誇大妄想的は自己愛人格障害で1933年(昭和8)2月に国会議事堂放火事件を起こして、その1年後に独裁政権を確立、ユダヤ人絶滅計画を推し進めた。6年後の1939年9月にポーランドに侵攻し、第2次世界大戦を起した張本人ですからね」

 「米下院は13日、トランプ大統領に対する弾劾訴追決議案を賛成多数で可決しましたね。トランプ氏が暴動を扇動した罪を犯したという決議内容で、民主党議員全員と、下院共和党の議員ら10人が賛成票を投じた。米大統領が弾劾訴追を2度受けたのは初めてです。

民主党は20日の大統領就任式前の弾劾裁判開始を目指していたが、共和党側は拒否した。しかし、20日が過ぎても民主党は弾劾裁判を開き、下院、上院で成立させてトランプ氏の「公民権」を奪い、2024年の大統領選への復活を阻止したい戦略です。20日以降は一介の私人に戻るトランプ氏には10数件に上る脱税、レイプなどの数々の容疑で訴えられており捜査当局の手が伸びるでしょう。」

 

  • バイデン民主党新大統領のスタート

 「国際政治学者のイアン・ブレ―マー氏は2021年の10大のリスクのトップにバイデンがこの難局をうまく切り抜けられるかどうか、という点を挙げているが、確かに米国大統領史上最大の国難でのスタートといえますね。

100年に1度のコロナパンデミックと1930年代の世界大恐慌の再来か?という世界的な経済危機。それに250年前の南北戦争以来の最悪の国内の対立、分断、分裂状況をどう融和していくか」という難しい舵取りです。1860年の大統領選で勝ったエイブラハム・リンカーン以来の難局に立っているといえますね。 」

「ある民主党の論客はバイデン新大統領の政治力についてこう評価している。

  • 彼は1期4年間の短期の大統領としてトランプの破壊から米国、世界の傷をいやし、修復させることをミッションとしている。

  • 彼は穏健で包容力のある性格。民主党のイデオロギー的な中間派で、民主党の左派とは一歩距離をおき、トランプ、共和党、その支持者と敵対、摩擦をうまく抑えてやって行く才能がある。

➂バイデン氏の44年の公職歴(上院議員36年、民主党副大統領8年)があり、歴代でもダントツの長老政治家です。そのキャリアの大半を高官につかず「縁の下の力持ち」として議会での取引、調整役、まとめ役に徹してきた。副大統領時代も共和党とのパイプ、調整役を担ってきたーその点で期待できるというわけです。」 

 「そのバイデン大統領のスタートダッシュが14日発表の世界最大の経済を再生するための「米国救済計画」(1兆9千億ドル、約197兆円)ですが、これはすごいね。日本の約4倍です。

内容は①最低賃金の時給15ドル(約1560円)への引き上げる②困窮する州政府と地方自治体への支援策➂大規模な新型コロナワクチン接種キャンペーンなどなど。政権チームはスピード第一で、追加の政府支援がなければ経済と公衆衛生の危機が再び悪化する。ワクチン接種は進まない」と20日以降にさらなる追加政策を準備している、これを見習って日本政府はスローモーな小出し政策を大胆に変えてほしいね」

 

  • 中国の強権、戦狼外交が続く

「米国がトランプ氏の悪あがきで政局,社会が混乱しているスキをついて、香港で1月6日、「香港国家安全維持法」(国安法)が昨年6月に施行されて以来の最大規模の取り締まりが行われ、民主活動家や政治家約50人が相次ぎ逮捕された。米国人弁護士もその中に含まれていたという。これに対して15日、ポンペオ国務長官は中国共産党幹部や香港警察当局者ら6人を制裁し在米資産などを凍結して対立はエスカレートしている。」

「香港民主化運動に続いて台湾を軍事攻撃すると脅している中国は新疆ウイグル地区で100万人のウイグル族(イスラム教徒)を中国共産党の「再教育」キャンプに強制収容している問題について、習近平国家主席はイスラム過激主義は、「ウイルス」と同じようなもので「痛みを伴う積極的な治療」でしか治せないと、文化的ジェノサイト政策を強行している。トランプ氏もEUも経済優先でこの問題には目をつぶっていましたが、バイデン政権ははっきりノーと言って、対決するでしょう。中国の人権弾圧、戦狼外交は昔から変わりませんね。」

 「その戦狼とは中国特有の「狼の乳」という意味です。つまり、極端な中国中心の民族主義的思想(旧来の中華思想)、それも旧ソ連のレーニン、スターリンの「階級闘争論に依拠した暴力革命肯定論と、被害者史観の教育を受けて育った民族主義者を指す言葉で、それを習近平は引き継いでいる。21世紀に入ってからも変わらない中国の歴史教育、反日教育、TVの反日ドラマの思想実態です。」

(A)「中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、中国は新型コロナの感染拡大に苦しむ発展途上国へ免疫ワクチンの接種で全面協力支援し、では中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は資金援助の名のもとに多額の借金漬けする「債務の罠」で縛り、「海のシルクロード建設」の土地、港湾を長期間、租借地とする戦狼外交を展開している。この5年間の投融資額は累計約2兆3千億円)に上り、その半分の約1兆200億円が借金外交です。」

  • 今年7月に中国共産党は結党100年を迎える

「ところで、中国共産党は今年7月、結党100年を迎えます。新型コロナを一早く抑え込み、世界に先がけてGDPの5%増を達成して習近平総書記(国家主席)は意気上がる。トランプの米議会突入事件は連日テレビで放映されて「それ見たことか、ザマを見上げれ的に」、米国の大失態を笑っている。習近平政権は建党100周年を記念して中国が「独り勝ち」したことを世界に誇示したい戦略ですね」

「この点に関連して、中国側を喜ばせる面白いデーターがある。米中の経済覇権の行方について、英国の民間調査機関「経済・ビジネス研究センター」(CEBR)は昨年12月末に「中国は当初の見通より5年早く2028年には米国を抜いて世界トップの経済規模になる」と公表していますね。米国がコロナの最大汚染国となり、経済的にも大打撃を受けているので、米中逆転がより早まるという見方です。

今後15年間でアジア経済は大きく成長し、インドネシアは2020年の15位から2035年には8位、フィリピンは32位から22位、マレーシアは40位から28位、バングラデシュは41位から25位と予測。日本は人口減や輸出減で成長力が弱まり、2030年にはインドに抜かれて世界4位に後退するという予測される」

 「しかし、それはどうかな?、バイデン民主党政権はコロナ対策とSDGsの200兆円を超える新ニューディール戦略で米国の復活と国際新秩序の再構築を狙っており、中国のGDP世界一はそう簡単には達成できないと思いますよ。100年前の1930年代のの国際秩序覇権争いは新興の枢軸国(日独伊)が英米覇権に戦争を挑んだ。1945年からの戦後は「米ソ冷戦時代」に突入、ソ連が崩壊し、現在は新冷戦の「中国一対一路経済圏+ロシア」対「米国・日本・オーストラリア・インドの「インド太平洋戦略」の対中包囲網」との対決で、これから本格的な争いに入るわけですよ」

 

  • 共産党100年と新経済五カ年計画の初年度

「共産党100年の今年の中国は新経済五カ年計画の初年度でもある。その第一の重点目標は、ファーウエーをつぶされたので国家の戦略的科学技術力の強化を上げている。その理由が2021年のスマートフォン世界市場のシェア試算ではサムスン、アップルが上位を獲得。OPPO、vivo、Xiaomiが続き、ファーウエーは何と第7位に転落すると予測されている、米国の制裁の影響が大き証明です。これを何とか克服できなければ米国を凌駕することはできませんね」

「さらに、2点目は米国によって中国貿易のサプライチェーン・ネットワークを破壊されたので、この再構築を急ぐという政策ですが、これも簡単に再構築できない。3番目はアリババ子会社の上場中止という事件でアリババの馬運(ジャック・マー)会長が共産党の逆鱗に触れたのか、身柄を拘束されているという情報が流れている。その他大勢のIT富豪たちが逮捕、行方不明になっているという。習近平主席が「マー氏の中毒政府を批判した態度に激怒して、これまで野放しだったた中国の巨大IT企業を国家保安法違反と独占禁止法による取締まり教化にのりだしたわけで、この措置が中国のネット消費に冷水を浴びせかねない。」

「ニューズウイーク日本版(1月19日号)によると、暴君・始皇帝を賛美する中国ドラマが最近増えているという。BC200年ごろに中国を統一した始皇帝は「焚書坑儒」し、体制を非難する儒者たちを生き埋めにして抹殺した暴君として有名だが、始皇帝の中国統一と習近平の覇権獲得を重ね合わせて讃美して「焚書坑儒」と体制批判者を生き埋めにして抹殺した暴君の点には目をつぶっている。

2千年も前に始皇帝がやったことは「毛沢東の文化大革命」や習近平の「独裁強権国家と同じです。ナチスヒトラーもわずか13年で倒れたし、始皇帝を中国統一後これまた15年後に亡国した。習近平礼賛の結果は今後どうなるかが見ものですね」

つづく

 

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

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