池田龍夫のマスコミ時評⑳「日米密約」の存在を暴くー民主党政権が設置した有識者委員会
ジャーナリスト・池田龍夫(元毎日新聞記者)
(2)安保改訂交渉の重点は、基地使用に係る日本側の発言権の確保(核心は核持ち込み)、朝鮮半島における米軍の基地自由使用。核兵器については戦術核兵器の発展も考慮する要あり。
(3)しばしば指摘されるように、条約それ自体は一片の紙切れ。権利義務が履行されるのは、両国間に信頼関係と共通の利益があるとき」。
しかし、日米間の解釈にずれがあった。六三~六四年にライシャワー駐日大使が大平正芳外相、佐藤首相に米艦船の核持ち込みを「事前協議の対象外」にする立場を伝えた。日本側は米側に解釈を改めるよう働きかけず黙認。米側も深追いせず、「暗黙の合意」が形成された。これは「広義の密約」。
ただ日本側は「事前協議の意義を減殺させる不本意なもの」とも認識し、後の沖縄返還交渉で米側に同議事録の失効を求めたが、調整はつかなかったことも判明した。
東西冷戦時代にあって「密約」を結ばざるを得なかった国際状況があったにせよ、国民を欺き続けた罪は大きい。特に一九九〇年の「冷戦終結」から二十年間も自民党政権は「事前協議がないから、密約はなかった」という牽強付会な理屈で国民を煙に巻いてきたのである。
一月二十六日の同大使の説明によれば、事前協議に関し、『事前協議は米軍及びその装備の日本国内への配備、並びに艦船航空機が日本の領海及び港へ入る場合の現行の手続きを変更するものではない』という了解事項にあり、米側交渉当事者は、具体的に言及しなくともこれが『一時立ち寄り』の関するものであるということは日本側にとっても自明であると考えていたということである。
然るに日本側交渉当事者は、右了解は事前協議条項と地位協定第五条に関するものと解し、『一時的立ち寄り』に関するものとは思っていなかったのが実情である」と記されている。
日本政府は国民に対して「表向きは核搭載艦船の寄港を認めない」と言い続ける反面、〝米側の解釈〟を知りながら異を唱えず、寄港を黙認してきたことが証明されてしまった。当時の佐藤首相から田中角栄、中曽根康弘、竹下登の各氏らが首相在任時に説明を受けたことを示す記載もあり、八九年のメモには、首相就任直後の海部俊樹氏に説明したと記されている。
(池田龍夫=ジャーナリスト)
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