前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

知的巨人たちの百歳学(131)『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボル・平櫛田中翁(107歳)の気魄に学べー『いまやらねば いつできる わしがやらねば だれがやる』

   

 知的巨人たちの百歳学(131

『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボル・平櫛田中翁(107歳)の気魄に学べ

『いまやらねば いつできる わしがやらねば だれがやる』

hiragushidenncyuutokusunokki1-300x216

平櫛田中が百歳を迎えた時、本間正義・東京国立近代美術館館長は「平櫛田中先生の人と芸術」と題して「百翁平櫛田中作品集」(田中館、昭和46年11月刊)でこう解説した。

「岡倉天心氏は、よく芸術の表現は「理想」にありといい、またその「理想」をやってくれる彫刻家は、平櫛田中だけだと語ったということである。

また天心氏は当時、日本美術院の双璧で、作風の極めて対照的であった下村観山と横山大観になぞらえて、彫刻の米原苦海と平棉田中を比較したことがある。これは観山、雲海の技術と、大観、田中の精神を較べたものに違いない。つまり平櫛先生は日本美術の伝統の中にある精神性を、しっかりとつかんでいたのである。

この「理想」と、もう一つ田中芸術の軸となって展開したのが、時代を背景とする近代的な「写実」であった。この二つが融合した時に傑作が生れてきた。代表作である鏡獅子も、各種の天心像も、烏有先生像等いずれも極めて特定な人物の一種の肖像彫刻である」

1944年(昭和19)、田中は73歳で東京美術学校教授になったが、「こうせよという教え方は全くとらなかった。教室の中で仕事をしてみせ、その仕事ぶりをみさせるというやり方であった。先生の持ち味が、教え得る「写実」だけでなくて、論理的に表現し難い 「理想」 があったからであるーと同書で本間は指摘している。

本人の田中はこの作品集の作者の言葉で「私が百歳になったのを記念して、作品集を発行してやろうとのことで誠に有難いことに存じます。

私は、私を商人にしたかった父の意にそむき、自分の勝手な彫刻の道に志して今日まで参りましたが、私の作品が一冊の本になって皆さんに観て貰うことは、非常に嬉しい限りです。このことは、父母への言いつけ通りにしなかった私のせめてもの罪はろぼしになると自らの慰めにもなるからです。

私は、今年百歳になりましたが、これから五つほど大きいものを作らねばならぬので、朝九時頃から午後四時頃まで仕事場へこもって仕事だけすることにしております。

今まであまり人が来られ過ぎて仕事が進まず、「人間老而徒多事」(人間老いて、いたずらに多事、忙しい)と困っていましたが、幸い、今年百歳のお祝をして下さいまして親友、知人が八百余名一堂に集って下さいましたが、その席上で、「はなはだ勝手なことを申しますが、当分仕事をしたいので、ご来訪を遠慮下さい」と、

お願いしておきましたところ、この頃はピタリ来訪者が絶えて、おおいに歓んでいるところでございます。」(昭和四十六年十月・百翁 平櫛 悼太郎)

また、田中の生まれた岡山県井原市に昭和45年に田中館(平櫛田中美術館)が建てられたが、その建設をした岡山県井原市長・ 山岡昇氏は「先生に、小中学校の生徒に何か言葉を書いてやって下さいとお願いしましたところ、平仮名で、

『いまやらねば いつできる わしがやらねば だれがやる』

と書いて下さいました」

と同書で書いている。

百歳現役、仕事に情熱を燃やす、驚くべき気魄である。

日本リーダーパワー史(77) 『超高齢社会日本』のシンボル・107歳平櫛田中翁に学べ

http://www.toshiyukimaesaka.com/wordpress/?p=2727

 

日本リーダーパワー史(77)

『超高齢社会日本』のシンボル・107歳平櫛田中翁に学べ
<ギネス世界一長寿芸術家・平櫛田中の気魄・禅語

http://www.maesaka-toshiyuki.com/longlife/3429.html

▼百歳学入門(90)平櫛田中(107)の気魄元気ー『長寿の歌・お迎えが来たときにゃ、追い返せ節』

http://www.maesaka-toshiyuki.com/longlife/953.html

 - 健康長寿 , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(981)ーグラント将軍((米大統領)の忠告ー「日中友好」②『琉球帰属問題では日清(中国)両国の間に事をかまえることは断じて得策でない』と強調した。『なぜなら両国が争うことは、介入の機会をねらっている欧州列国に漁夫の利を与え、百害あって一利なし」

グラント将軍((米大統領)の忠告ー「日中友好」②その対中国問題について、グラント …

no image
知的巨人の百歳学(154)記事再録 <日本超高齢社会>の過去④<日本の天才長寿脳はだれなのか・黒澤明(88歳)、『野上弥生子(99歳)、昭和天皇が87歳で最長寿、在位期間も63年で一番長いですね>

  2010/01/26 /百歳学入門(14) < …

no image
近現代史の重要復習問題/知的巨人の百歳学(158)-『渋沢栄一(91歳)の国民平和外交を潰した関東軍の満州事変の独断暴走が、日本を破滅(戦争)の道へ陥れた。この4ヵ月後に渋沢は亡くなった』

近現代史の重要復習問題/知的巨人の百歳学(158) 明治、大正、昭和で最高のトッ …

no image
日本メルトダウン脱出法(813)「相場大荒れでまたも大損失!? 公的年金の「運用責任」は誰にあるか」●「2016年のテクノロジートレンドを展望する―人間とモノ、仮想とリアルのボーダレス化が加速する」●「個人の孤独感を助長する、ソーシャルメディアが持つ「矛盾」」

  日本メルトダウン脱出法(813) 相場大荒れでまたも大損失!?公的年金の「運 …

no image
知的巨人の百歳学(144)ー「玄米食提唱の東大教授・二木謙三(93歳)の長寿法『1日玄米、菜食、1食。食はねば、人間は長生きする』

    2015/03/28/百歳学入門(54)記 …

『Z世代のための明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破力講⑫』★『杉山の「バカとアホウの壁」解説②」★『約三千人の宮女に家の中で駈けっこをさせたいと「阿房宮」(長さ百里)を作ったのが「阿房(あほう)の語源』

明治末期の今の時代には、権力者や富豪の前へ出ても、違った事にも頭を下げ、「ご無理 …

『Z世代のための百歳学入門』★『江戸城の無血開城で百万人の江戸ッ子を救った勝海舟(75歳)の胆識』★『『長寿法などない」「南光坊天海(107歳)を論ず」』

2012/12/05  百歳学入門(58)/再録、編集 ①  …

『逗子、鎌倉海岸ぶらぶら散歩』★『逗子マリーナ→ヤシ公園→小坪漁港→材木座海岸→由比ガ浜海岸へ。夕陽が美しい②』(6月5日午後6時45分)

『材木座海岸→由比ガ浜海岸へ。,夕陽が美しい』

no image
『鎌倉紅葉チャンネル』鎌倉大仏を見物に行くなら、すぐ先の800年 前の錦秋の「大仏切通」(古道)を 見に行こう(12/07)」

 『鎌倉通―鎌倉紅葉チャンネル』   ≪鎌倉大仏を見物に行く …

no image
『『オンライン講座/日本ベンチャービジネス巨人伝②』★『“ダム経営”を行え』(松下幸之助)★『朝令朝改をせよ』(盛田昭夫)★『目をつぶって判を押せない書類はつくるな 伊庭貞剛(住友総理事)』★『 商売の本質は相互利益であり、面倒をいとわないと成功はあり得ない 江崎利一(グリコ創業者』★『●岩崎家の家訓(三菱創業者/岩崎弥太郎)』★『豊田綱領 ・豊田佐吉(トヨタグループ創業者) 』など

  2013/02/09  記事再録 ★ …