『Z世代のための日中韓外交史講座』 ㉙」『1874(明治7)年5月23日付 フランス紙『ル・タン』報道の「日本便り」(下)』★『150年前の日本人分析<日本の政治、教育の欠陥をこれほど見事に分析した記事はない>』★『現在も延々と続く政治の混乱と教育貧困の日本の<死に至る病>は今も続いている(下)』
『1874(明治7)年5月23日付 フランス紙『ル・タン』報道の「日本便り」(下)』
100人の愚者と900人の妄想家に出会う間に.その言葉の最良の意味で積極的な人と呼ばれる人物に出会うことは,1度もないのだ。
したがって日本のこれからの文明という建築物は.土台から.すなわち教育制度から建て直す必要がある。それまでは国民にさまざまな制度の見せかけを与えることはあり得ても.国民が使えないような議会政体を与えることはないだろう。
したがって.
いまはなきかつての議事院の代わりとして頼りにされたのは,代議制議会ではなく,左院という元首によって選ばれた評議会だった。左院は.参議が構成する最高評義金の下におかれた国家評議会だ。なぜなら左院は国家評議会同様,政府提案のものであれ.自らのメンバーの発義によるものであれ.法案を繰り上げるからだ。その構成は議長.副議長.4等級に分かれた評義員と.4等級に分かれた聴講員から成っている。左院の権限が明確に定められていなかったために,その議会は長い間、実を結ばなかった。
だが最近の政令でその権限は明確に定められ.どのような案を発案でき.どのような政令を発布に先立って審議するかが設定された。またそのメンバーは政府各省に対応した区分に振り分けらかた。このすばらしい改革は最上の称賛に値し,他の多くの改革同様.全く騒々しくはないが.重要で有益なものだ。この改革は官僚たちにのしかかっている仕事に秩序と方法を導入し,法案の審議に.それが唯一受れ入れることができる光と公平さの保証を与えることだろう。
この評議会のために、この国でフランスの名声を最も高めている人物の1人ブスケ大尉が評議員補佐として働いている。彼はたぐいまれな中国学者であり・疲れを知らぬ闘士であり、改革の熱心で誠実な協力者でもあるが・こ言語の特性を究めるだけではあきたらず、国民の特性を究めることができたのだ。
公権力を点検すると.革命期のスタイルで民の声と呼ばれるものが入る余地はほとんど残っていないように見える。しかしながら.それが完全に無根されていると信じることは誤りだろう。民の声を聞く方法はたとえ不完全でも.存在するのだ。この点で.それは人々が設立を提案しているものよりもすぐれている。政府は世論に対し最大の配慮を払っており.政府の審議に多少なりとも加わる者たちは.政府が世輪と正面衝突しないよう気遣っていることを日々目撃している。
不評を買うおそれのある手段の場合,まず布告を出して次に待つ。地方や街から報告がくる。そうする根拠があれば決行し.その必要があれば見合わす。その後で新しい試みを行う。結局.国民全体に強い印象を与える政令はそれが引き起こし得る影響を推し量らない限り公布しないのだ。
さらに.以上の処置を講じた上で,甚だしい不義が生じれば.政令が実施されないこともある。
新聞の発達はすばらしい
また天皇の治世にある1つの開明の要素が欠けているわけではなく、日々驚くべき速さで発達している。それは新聞だ。江戸で発行されている日本の新聞はすでに多数にのぼっているが,その中には的確で鋭い批判を見ることができる。これは日本人の国民精神のほとんど知られていない側面の1つだ。
そして常にわれわれを引き付けるあの露骨でしんらつな言葉も見ることがで
きる。風刺画も引っ込んではいない。道化者はときには賢いこともある。先の大蔵大臣が辞畿した当時,日本の犬がヨーロッパの犬と出会った。「おまえは.ほんとに幸せ者だ。おまえときたら,人になでられ.好かれ.いい肉ももらえる。-ところがおれは.足げにされるか邪険にされるだけだ」
「それはおまえがやり方を知らないからさ。おまえはだれに対してもキャンキャンはえる。おれの方は泥棒にはえついても,正直者はほめてあげるのさ。おれと一緒に来いよ.いいやり方を教えてやろう」。
2匹の仲間のこっけいな江戸散策だ。日本の犬は,役所の前を通り過ぎるとき・1度ならず静かにという命令を無視する。ついに大蔵省に到着した。そこでこの強情者の四つ足は,大声でほえ立てる。「何をするんだ.このろくでなし」「おまえはこん棒にはほえつけと言ったじゃないか」
ジャーナリズムの世界で相当素直な表現が流行していることがわかる。しかしもし法令集だけを信じるべきだったら.ジヤーナリズムは絶対的な抑圧体制下に生きていることになっただろう。だがそれは実施できないが故に.実施されない政令の多くのlつなのだ。いくつかの抜粋から判断していただこう。認可.事前検閲.署名の義務.等は省略する。
「第10条.当局の機構を攻攣すること.法に異義を唱えること.外国の主張を頑なに主張し政府の改革精神に口出しすることを禁ずる」
「第11条.発布された法律または政令に.新聞・雑誌で不適当な注釈を加えることを禁ずる」
「第12条.政府を侮辱または妨害するためた道徳律を引用してはならない」
「第13条.人をまどわせたり堕落させることを禁ずる‥.」
これくらいにしよう。
これを完成させることは.わが国の夢みがちな権威主義者たちに任せればいいだろう。
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