『日中台・Z世代のための日中近代史100年講座⑨』★『日本恋愛史の華』★『伊藤伝右衛門の白蓮の決別状に反駁』★『銀行王・安田善次郎は刀で、俺は女の筆で殺された』「東京日日(現毎日)」』
2015/01/01NHK「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件⑧

京都に滞在中の伊藤伝右衛門氏は燁子の絶縁状なるものを読んで、それに対する考えを発表したいとて、燁子との結婚当時から同棲10年の今日に至るまでの生活内容に就き、縷々陳述する所があった。記者は氏の許可を得てこれを筆記したものが、左の絶縁状を読みて燁子に与える一篇である。因みに同氏は23日京都発、幸袋に帰った。
燁子!よ、お前が俺に送ったという絶縁状はまだ手にせぬがもし新聞に出た通りのものであったら、随分思い切って侮辱を与えたものだ。見る人によったら、安田は刀で殺されたが、伊藤は女の筆で殺されたと云うだろう。妻から夫に絶縁状を叩き付けたと云う事も始めてなら、それに本人の手に渡らない前に堂々と新聞紙に現われたと云うのも不思議な事だ。
俺は記事を新聞で見て一時はかなり昂奮した。しかし今は少し落ち付いて静かに考えると、お前という一異分子を除き去った伊藤一家が、いかに今後円満に一家団欒の実を挙げ得るかという事を思うと、かえって俺自身としては将来に非常な心易さを感じて居る。
来年は俺も還暦だ。だんだん年を取やたから、伊藤家を合資組織にしてお前に対する俺の没後の財産処分方法も考えていた処であったが、これはもう要らぬ事になった。
俺の一生の中に最も苦しかった十年を一場の夢と見て生れ変わった心算ですべてを立て直そう。
今後は誰か一家の取締りをするに好い人を探し出し女中に使い、いっさい家庭上のことを一任して静かに子供の行く末でも眺めようと思って居る。
お前から送くったと伝えられる絶縁状を見ると、俺としての言い分もなんらかの機会に云って了いたくなって来る。
そもそもお前との結婚問題が不自然なものであった
十年以前の記憶を辿ると、その時の事がまざまざと俺の頭に浮かんで来る。当時妻を亡くした俺には、お前より前に京都の某家との結婚問題が起こって、その方がほとんど纏まりかけていた。
そこへふとお前の話が持ち上がリ京都の北小路—あまり豊かでない華族に嫁いでいて、貧しい生活から逃げるように柳原家へ帰った出戻りの娘ではあるが、貧しさには馴れて居る、妾腹の子で母は芸者だからと云う申し込みで上野の精養軒で見合いをした。
その時お前はまだ幼なかったふく子さん(柳原伯嗣子夫人)、とく子さん(吉井勇氏夫人)の2人を連れて来て、そこで初めてお前というものに会った。お前はこの日、見合いという事を気付かなったらしい。
それからその晩、有楽座に来てくれと云う事で、この劇場では柳原伯夫妻に初めて会ったが.追って話を進める事にして、九州に帰って来ると幸袋に着かぬ前に、初めの橋渡し人であった得能さんから電報が来て居て、話は纏まったから直ぐ式を挙げたいとあったので全く狐を馬に乗せたような気がした。
それほどお前の結婚は何でもかでも押し付けよう、それでないともし断わられたらという懸念があったものだったのだ。そうして結納の取り交わしを済ませたが.この結婚談は最初あまり好い都合に運ばれなかった。当時若松に居た某某が、ここの縁談を種に金にしようとして俺の処に暴れ込み、今度の黄金結婚を東京の新聞が書くと云っておるとて、口止め料として相当の金高を要求した。
俺はこれを一も二もなくはね付けたが、その結果はその男がいい加減の材料を東京の某新聞社に売って、そこで燁子の身代金として何万円かを柳原家に送った.それは義光伯の貴族院議員選挙の運動費に使うのだった。伊藤は金によって権
門を買うのだ等と書かれた。俺はあまり好い気がしなかったので急に嫌気がさして、直ぐ破談を申し込んだが、間に居る人々に宥められて到頭結婚式を挙げた。
今考えるとあの時少し俺が言い張ったら、十年と云う永い問の苦しい夢も現われなかったのであろう。柳原家には俺としてお前のためにびた一文送った事はない。この風説は柳原さんにお気の毒な事と思って居る。
結婚式の第一日に於いて一平民のーお前から云うと一賤民の俺の頭に不思議に感じた事があった。式が終わって自動車で一緒に旅館に引き揚げて来た時、お前はどうしたか室の
片隅でシクシクと泣いた。附添いの者達がめでたい時に涙は不吉だと言って諭したが、お前はなかなか止めなかった。
俺は実家を離れた小娘心の涙と思った。
当時出戻りとして、柳原家ではかなり厄介視されて居たお前である。ところがその涙は自動車に乗る時、一平民たる俺が華族出の妻を後にして、少しも尊敬せず労わらず先に乗ったと云う事が、お前の自尊心を傷つげ、そのために落とす悔し涙という事が判った。実際これはたいへんな妻を貰ったと思った。
お前の雅号にして居る白蓮?はお前は或る人に、伊藤のような石炭掘りの妻にこそなれ、伊藤の家のような泥田の中に居れ、我こそは1人り染まぬ百蓮という意味で付けたのだと云う?
その自尊心、そういう結婚式の第一日に見せられた自尊心乃至持病のヒステリーで、この十年間どのくらい俺を苦しめた事と思うか。
関連記事
-
-
『池田知隆の原発事故ウオッチ⑦』ー『最悪のシナリオから考えるー汚染水の処理策はどこに』
『池田知隆の原発事故ウオッチ⑦』 『最悪のシナリオから考えるー汚染 …
-
-
★『Z世代への遺言・日本ベストリーダーパワー史(3)ライオン宰相・浜口雄幸物語③』★『浜口雄幸内閣のロンドン海軍軍縮条約批准【1930年)に対して、海軍艦隊派が猛反対し統帥権干犯問題を起こし、軍部の政治介入を招き、 政党政治に終止符をうち、軍部専制を許す引き金となった』』
2015/12/17 『昭和史のキーワード …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(201)-記事再録/『世界を魅了した最初の日本女性―世界のプリマドンナ・三浦環―アメリカ、ヨーロッパが熱狂した「蝶々夫人」です』★『 1918年11月、第一次世界大戦の休戦条約の祝賀の凱旋式がニューヨークのマディソン広場で開催、ウィルソン大統領の演説の後に三浦環が歌い、大喝采を浴びた。』★『十五年間の米国滞在中、ウィルソン、ハーディング、クーリツジと三代大統領の前で歌い、ホワイトハウスに何度も招待された』
2015/11/13日本リーダーパワー史(192) …
-
-
★(まとめ記事再録)『現代史の重要復習問題』日本敗戦史(41)『太平洋戦争の引き金を引いた山本五十六のインテリジェンス』★『日本敗戦史(43)「終戦」という名の『無条件降伏(全面敗戦)』の内幕—<ガラパゴス日本の『死に至る病』①』
★(まとめ記事再録)『現代史の復習問題』 ★『ガラパゴス国家・日本敗戦史④』 & …
-
-
池田龍夫のマスコミ時評(25) 日本の安全保障政策転換に影響を及ぼす新安保懇報告(要旨)
池田龍夫のマスコミ時評(25) 日本の安全保障政策転換に影響を及ぼす新安保懇報告 …
-
-
日本リーダーパワー史(573)「日中戦争リテラシー 「近衛外交」の失敗は なぜ起きたかー河辺虎四郎少将回想応答録(昭和15年
日本リーダーパワー史(573) 「日中戦争リテラシー」 支那事変(日中戦争)での …
-
-
★「コロナ騒ぎの外出自粛令で、自宅で閉じこもっている人のためにお勧めする<21世紀を予言したスーパーパーソン>抱腹絶倒の人物伝>超面白いよ」★『ノーベル賞を超えた『日本の知の極限値』ー「地球環境を守る/エコロジーの先駆者・南方熊楠先生だよ』!
「世界的日本人びっくりクイズ①」 <日本の歴史上の人物で、最大の世界的な天才とは …
-
-
『各国新聞からみた東アジア日中韓150年対立史⑪』日韓パーセプションギャップ、大倉喜八郎の明治10年(1877)の『朝鮮現地レポート』
『各国新聞からみた東アジア日中韓150年対立史⑪』 長 …
-
-
速報(159)『日本のメルトダウン』ー『すべての勝負は情報力・フリー・オープン・リッチコンテンツ』
速報(159)『日本のメルトダウン』 『すべての勝負は情報力・フリ …
-
-
世界リーダーパワー史(940)ー注目される「米中間選挙」(11/6)と「トランプ大統領弾劾訴追」はどうなるのか、世界がかたずをのんで見守る(上)
注目の「米中間選挙」(11/6)と「トランプ大統領弾劾訴追」はどうなる(上) …
