日本風狂人伝(24) 「ジャポニズム」の先駆者・松旭斎天勝―世界公演で大成功の「マジック女王」
松旭斎天勝―世界公演で大成功の「マジックの女王」
前坂 俊之

二年前に渡米した川上音二郎、貞双の一行はサンフランシスコで二人の死者を出し、公園で野宿しながらの惨々の興行だったが、天一一座は大成功をおさめた。
一行はシカゴ(3週間)、ニューユークからヨーロッパに渡り、ベルリン(六週間)デュッセルドルフ、パリの「カジノ・ド・パリ」に出演、アムステルダム、ロンドン、再び米国、ニューヨーク、デトロイト、ピッツバーグ、クリーブランドなどの大都市を巡った。いずれの公演も満員の盛況で、その背景には日露戦争前後であり日本への関心が高まった「ジャポニズム」があった。
次は他の芸よりも比較的テンポが早いことだった。もうひとつは、当時はめずらしい美人の女芸人が何人も登場したことである。
女芸人といえば、和服で肩衣などを付けているのが普通だったが、天一遍の場合は、洋装で、ときにはタイツ姿で肉体の曲線があらわに見える。すなわちハイカラなエロチシズムにあふれていたわけである」と(「天下一の奇術師―松旭斎天-と天勝」)書いている。
しかも、天勝は2カラットのダイヤモンドの入歯をしており、笑うと、これがキラキラ光りを妖艶な魅力となった。
天一は明治四五年に亡くなるが、天勝は一座を旗揚げして全国を巡回した。天勝も小山内薫の協力を得て「サロメ」に挑戦した。豊満な肉体の美しさを持示した天勝サロメは大評判となり、「これが人魚の肉を食べているという天勝の素肌」(都新聞)の記事が載るほどの話題になった。
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