前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(526)明治維新の元勲・大久保利通の性格は典型的な武士気質の「寡黙不言・決断断固実行型」―

      2016/11/09

  日本リーダーパワー史(526

 

西郷隆盛と竹馬の友で最後に雌雄を決することに

なった明治維新の元勲・大久保利通の性格は

典型的な武士気質の「不言実行タイプ」―

岩倉使節団で世界一周した際も、ほとんど口をきかない。

いつも葉巻タバコをふかし、全く寡黙で、

周囲から恐れられた。

 

 

               前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

以下は、歴史家の大久保利謙(大久保利通の孫)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%B9%85%E
4%BF%9D%E5%88%A9%E8%AC%99

 

久米邦武から聞き取った談話である。

●『(岩倉使節団で) 洋行中の大久保公』についての久米邦武の談話。

 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%85%E7%B1%B3%E9%82%A6%E6%AD%A6

 

 汽車は一つの車輌が六人ずつ這入るようになっていて、

木戸(孝允)さんは私はごく親しくしていたし、また逢えば話のある人でい
ろいろ話を聞きもしたから逸話も多いが、大久保さんは1871年(明治4)の暮
に岩倉(具視)大使

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E5%80%89%E5%85%B7%E8%A6%96

  

が欧洲へ行かれた時に随行された、

<岩倉使節団>(明治41112日(18711223日)から明治6年(1873年)913日)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E5%80%89%E4%BD%BF%E7%AF%80%E5%9B%A3

 

あの時に一緒になったきりであったから、あまり話がない。

もっとも大久保さんとはあの旅行中は始終一緒であった。私はその時分、
鹿児島人の杉浦広蔵(本名は畠山義成)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%A0%E5%B1%B1%E7%BE%A9%E6%88%90

 

という男と同じ役目で、何事も二人は一緒にしていた。

 

畠山は大久保さんには愛された人だが、なんでも鹿児島の門地のある人とかで、ごく素直な人であった。そのちに遊学していたが、随行中はいつも私と一緒だった。

その時分の私どもの乗っていた車の中には岩倉大使に大久保さん木戸さん、それにやはり副使として山口尚芳さん、

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E5%B0%9A%E8%8A%B3

 

この四人と私と畠山の二人、合わせて六人であったが、洋行中はこの六人はいつも一緒であった。

 ナニ、伊藤(博文) 副使? ウム、あの人は同じ車でなかった。いつでも伊藤さんは別だった。副使ではあの人一人がこの中からはずれていたが、福地(源一郎・桜痴) だの何だのという若い連中で手におえぬ奴らがいたので、あれらを操縦するのは伊藤さんだけであった。なにしろ大久保さんが恐ろしいので、途中でも宿へ着いてからでもあまり福地なんかは、傍へは来なかった。今の林(董)伯なども伊藤さんたちと一緒だった。

 

それに伊藤さんはなかなかの色師で、福地なんかと一緒に美人でも探していたのだろう。伊藤さんでも大久保さんはよほど煙たかったに違いない。

 

 私どもはこういう風で大久保さんとは緑は深かったけれども、なにしろ大久保さんは無口な人で、汽車の中でも始終、煙草ばかり吹かしていた。馬車に乗って見物する時でも、皆が珍しがって何とか彼とか言っても、大久保さんは葉巻煙草をプカプカと吹かして黙っていた。大久保さんの煙草のみは非常なもので、大久保さんが汽車におると、外から戸を開けて這入った時、煙が濠々としているくらいだった。

 

だから、汽車でも岩倉さんと木戸さんとは盛んに何か話をするし、私と畠山と話している処へでも木戸さんはすぐやって来て議論をするという風であったが、大久保さんはただニコニコと笑って黙っていた。

 

ニコニコ笑うといっても、大久保さんの笑い振りは、どこか親しげな微笑が浮かぶのみで、そう愛想笑いをするのでもなく、ただなんとなく打ちとけた笑い方で、恐ろしい中にも心から信頼のできる親に対するような気持ちがされ

た。(明治四十三年十月二十三日)

 

●一度だけ、大久保公が口をきいた話の内容は・・

 

洋行中に公の口を開いたのは数えるほどしかない、それほど公は無口であった。チェスターで、ある貴族の家から招かれて行った。その晩はそこで一泊したが、なかなかの豪家であった。

私は公のすぐ側のテーブルに腰かけて晩餐の馳走になっていたが、この時に一遍、口を利いた。食事にはその家の令夫人も出てきて岩倉公にも挨拶したり、いろいろ世辞を言って愛想を振り撒いていた。その時にトロマンヤという人の令夫人が岩倉公に羊の肉と牛の肉とどちらがお好きですかと尋ねた。

 

岩倉公が「どちらもようございます」と答えられると、令夫人は重ねて「いつから肉をお食でござ

います」と訊ねた。岩倉公はこのたびの洋行以来、始めて肉食をしたという話をされると、令夫人はま「羊の肉というものは私も初めは食べませんでしたが、あれは始めていただく時には全く変な臭いがして、気に入らないものでございますが、貴方はどんな感じをなさいました」と訊ねた。

 

 そうすると、私の側にいた大久保公はこの時ソツと「だんだん詰問が六かしくなってきよった」と一卜言しゃべった。岩倉公は真面目に「始めの内は変であったが、今ではもう平気です」と答えておられた。大久保公がこんな風の口を利かれたのは、洋行中はこれ一度ぐらいのものであったと言ってもいい。

 洋行中に大久保さんに口を利かせようとして種々な悪戯をたくらんだ者もあったが、いよいよ大久保さんの前へ出ると威厳に打たれてなんともできなかった。

私は知らないが、なんでもエジンボロ(スコットランド・エジンバラ)で薩摩の何とかいう人が、大久保さんに一つダンスをやらそうと言って計企んで、宴会に引っ張り出したことがあるそうだ、

 

その時には娘か何かにどうかあの大久保という人と踊ってくれないかと懇々頼んだので、娘が引きずり出すと、大久保もとうとう立ち上がって踊ったそうだ。私は見なかったが、大久保公生涯の珍事であろう。(明治四十三年十月二十五日)

 

◎前坂俊之執筆の「大久保利通」について

 

https://www.google.co.jp/#q=%E5%89%8D%E5%9D%
82%E4%BF%8A%E4%B9%8B%E3%80%80%
E5%A4%A7%E4%B9%85%E4%BF%9D%E5%8
8%A9%E9%80%9A

 - 人物研究 , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
記事再録/知的巨人たちの百歳学(126) <カルピス創業者・三島海雲(96歳)の健康法> ①『必要な金はどこからか自然に湧いて来る ②一に散歩、二に日光浴、三に食養生。 ③早朝散歩と日光浴を毎日欠かさず実行。 

 2012年8月8日 /百歳学入門(44)    &nbsp …

『オンライン百歳学入門講座』★『一怒一老、一笑一若、少肉多菜 少塩多酢 少糖多果 少食「多岨(たそ)この字が正確 、少衣多浴 、少車多歩 少煩多眠 少念多笑、少言多行 少欲多施(渋沢秀雄)』

  2010/01/21 百歳学入門(3)記事再録 『 知的巨人たちの …

no image
「国難日本史の歴史復習問題」ー「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス⑦」◎「ロシアの無法に対し開戦準備を始めた陸軍参謀本部の対応』◎『早期開戦論唱えた外務、陸海軍人のグループ『湖月会』はどうしてできたか。』★『山座円次郎の外交力』

 「国難日本史の歴史復習問題」ー 「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパ …

no image
日本リーダーパワー史(982)ー『総理大臣の血圧』★『こんな面白くない<商売>をしていて、酒やタバコをとめられてたまるものか』(吉田茂首相)

  『総理大臣の血圧』                     今年初 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(327)★『コロナパニックなど吹き飛ばせ』★『超高齢社会日本』のシンボル・世界最長寿の彫刻家/平櫛田中翁(107歳)に学ぶ」<その気魄と禅語>『2019/10月27/日、NHKの「日曜日美術館ーわしがやらねばたれがやる~彫刻家・平櫛田中」で紹介』★『百歳になった時、わしも、これから、これから、130歳までやるぞ!』と圧倒的な気魄!

 <世界のコロナパニック戦争で「長寿大国日本」の底力(長寿逆転突破力)を発揮して …

『オンライン/新聞記者の冤罪と誤判・死刑追及の旅②』『山口県内で起きた<冤罪を訴えて60年の加藤翁事件』★「虚心坦懐に当事者と現場を取材する」-加藤新一翁の雪冤(1979年9月)

2010/01/06   1979年9月10日発行  「季刊 証言と記 …

no image
知的巨人たちの百歳学(171)記事再録/長寿逆転突破力を磨け/-加藤シヅエ(104歳)『一日に十回は感謝するの。感謝は感動、健康、幸せの源なのよ』★『「感謝は感動を呼び、頭脳は感動を受け止めて肉体に刺激を与える』

 2018/03/13  『百歳学入門(214)』 …

no image
『2022年はどうなるのか講座(上)/2022年1月15日まで分析)』★『コロナエンデミックから世界大変動の第2幕へ』★『オミクロン株2ゕ月遅れで日本に襲来』★『再び、後手後手の対応の岸田政権』★『中国冬季五輪ボイコット問題』★『ヒトラーのベルリン五輪に騙された米欧』

  前坂俊之(ジャーナリスト)   2021年11月から新型 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(181)記事再録/★『高橋是清の国難突破力(インテリジェンス)①』『2014年現在の直面する5大国難は?!』ー 「福島原発の処理問題」「迫りくる大地震」「1000兆円突破 の国家債務」「急速に進む超高齢化・人口激減・少子化・ 認知症800万人」など、国難は複雑性を増している。 リーダーと同時に国民全体のインテリジェンス が求められる。』★『 「国、大なりといえども、戦いを好む時は必ず亡ぶ。国、平和といえども戦いを忘れた時は必ず危うし](史記)』

 2014/09/18/日本リーダーパワー史(524)(高橋是清のケー …

no image
『オンライン講座/60,70歳から先人に学ぶ百歳実践学②』★『長寿は芸術であり、創造者は長寿となる』★『 長寿の秘密「長寿遺伝子」のスイッチをオンにせよ』★『日野原先生流は「腹7分の1日1300キロカロリー」の食事減量』★『三浦敬三・雄一郎親子の運動、スクワット、筋トレの実践』

    2018/04/18 &nbsp …