前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件(3)「良人・傳右衛門氏に送った輝子の絶縁状の全文」(大阪朝日)

      2015/01/01

 

「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件(3

 

 


NHK
連続ドラマ「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件は

どう描かれたか・

柳原白蓮事件は大正デモクラシーのエポックを告げる事件である。

明治維新後、一応士農工商は廃止され、四民平等になったとはいえ、

実質上は天皇制の立憲華族主義の実態、日本の旧弊の家族制度、

男尊女卑、女性差別、公娼制度、男女自由恋愛の御法度など

封建的身分制度、きびしい男女差別、女性の非参政権は

1945年(昭和20)8月の全面敗戦によって、米国に大改革される

までは、日本人の手によって民主化、獲得することは

できなかったのである。

「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件では、日本の

近代的な負の部分、柳原白蓮が戦ってきた封建的な

男女差別、身分制度、公娼制度、女性の就職口といえば

女工哀史か、女給や女中位しかななかった影の部分に

このドラマはほとんど光を当てていない。

BSによる海外のドキュメンタリーやドラマ
と比較するとNHKや韓国ドラマもそうだが。ディレクター

に歴史的、民主的な的な視点が欠落しているの

ではないかと思う。

華族とはいえ妾の子にうまれて「不幸な差別された人生を

送った柳原白蓮は大正デモクラシーの一端に触れて、社会の影

で抹殺されていた男女差別の実態、人権蹂躙に

目覚めて、西欧社会ではすでに獲得されていた

人間の平等、自由、権利の主張に立ち上がったのである。

当時の新聞、資料でその影の部分をそのまま紹介する。


 

 

柳原白蓮

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%B3%E5%8E%9F%E7%99%BD%E8%93%AE

 

白蓮事件

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E8%93%AE%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

女たちの近代  柳原燁子と「白蓮事件」 – Biglobe

http://www5b.biglobe.ne.jp/~michimar/an/01.html

 

大正101023日「大阪朝日」朝刊

 


良人・傳右衛門氏に送った輝子の絶縁状の全文

ー愛なき結婚と夫の無理解が生んだ妻の苦痛と悲惨の告白ー

 

 

 

朝刊新報の「筑紫の女王」燁子夫人が、良人伊藤傳右衝門氏に対して、身の廻り一切と共に送ったといふ絶縁状の全文は次の通りである。

 

 

 私は今あなたの妻として最後の手紙を差上げます。今、私が此の手紙を差し上げるといふことは、あなたに取って突然であるかも知れませんが、私としては当然の結果に外ならないので御座います。

 

 

 あなたと私との結婚当初から今日までを回顧して、私は今、最善の理性と勇気との命ずる所に従って、この道を執るに至ったので御座います。

 

御承知の通り結婚当初から、あなたと私との間には全く愛と理解とを欠いてゐました。

 

 この因襲的な結婚に私が屈従したのは、私の周囲の結婚に対する無理解とそして私の弱小の結果でございました。

 

しかし私は愚かにも此の結婚を有意義ならしめ、出来得る限り愛と力とを此の内に見出して行きたいと期待し、且つ努力しやうと決心しました。

 

 

 私がはかない期待を抱いて東京から九州へ参りましてから、今にモウ十年になりますが、其の間の私の生活は、唯やる瀬ない涙を以て掩はれまして、私の期待はすべて裏切られ、私の努力はすべて水泡に帰しました。

 

貴方の家庭は私の全く予期しない複雑なものでありました。私はここにくどくしくは申しませんが、貴方に仕へておる多くの女性の中には、貴方との間に単

なる主従関係のみが存在するとは思はれないものもありました。

 

貴方の家庭で主婦の実権を、全く他の女性に奪はれて居た事もありました。′

 

 それも貴方の御意志であった事は勿論です。私は此意外な家庭の空気に驚いたものです。こう云ふ状態に於て、貴方と私との間に真の愛や理解のありやう筈がありませぬ。

 

私が是等の事に就き、漏らした不平や反抗に対して、貴方は或は離別するとか、里方に預けるとか申されました。実に冷酷な態度を執られた事をお忘れにはなりますまい。

 

 又、可なり複雑な家庭が生む様々な出来事に対しても常に貴方の愛はなく、従って、妻としての値を認められない私が、どんなに頼り少く寂しい日を送ったかは、よもや御承知なき筈はないと存じます。

 

私は折々わが身の不幸をはかなんで死を考へた事もありました。併し私は出来得る限り苦悩と憂愁とを押へて今日まで参りました。

 

其の不遇なる運命を慰むるものは只歌と詩とのみでありました。

 

 愛なき結婚が生んだ不遇と、此の不遇から受けた痛手のために、私の生涯に所詮暗い幕のうちに終るものだとあきらめたこともありました。

 

しかし幸いして私にはひとりの愛する人が興へられ、そして私はその愛によって今復活しやうとしてなるのであります。

 

 

 此のままのにしておいては、あなたに対して罪ならぬ罪を犯すことになることを恐れます。最早今日は私の良心の命ずるまゝに、不自然なる既往の生活を根本的に改造すべき時機に臨みました。

 

即ち虚偽を去り真実に就く時が参りました。依って此の手紙により私は全力を以て女性の人格的尊厳を無視する貴方に永久の訣別を告げます。

 

私は私の個性の自由と尊貴を守り、且つ培ふ為に貴方の許を離れます。長い間私を御養育下さった御配慮に対しては、厚く御禮を申し上げます。

 

 (二伸)私の宝石類を書留郵便で返送いたします。衣類類等は照山支配人の手紙に同封しました目録の通りすべて、夫れぞれに分け輿へて下さいまし。

 

私の実印はお送り致しませんが、若し私の名義となって居るものがありましたら、其の名義変更の為には何時でも捺印致します。

す。

                    伊藤傳右衝門様

 

                       二十一日 輝子

 

 

 

 

 - 人物研究 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
名リーダーの名言・金言・格言・苦言・千言集⑫『勝負師に年齢はない』(大山康晴)『愛嬌は処世上の必要条件』(大倉喜八郎)

<名リーダーの名言・金言・格言・苦言 ・千言集⑫           前坂 俊之 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(2)記事再録/日本国難史にみる『戦略思考の欠落』②「ペリー黒船来航情報を無視、無策で徳川幕府崩壊へ②「オランダからの来航予告に対応せず、猜疑心と怯惰のため時間を無駄にすごした」【勝海舟)

    2015/11/19 &nbsp …

『オンライン講座/日本歴代最高の戦略家は誰か>「日清・日露戦争の勝利の方程式を解いた川上操六(陸軍参謀総長、日本インテリジェンスの父)ですよ(1回→46回一挙大公開①

★日本リーダーパワー史(579)◎(再録)<日本歴代最高の戦略家>「日清・ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(327)★『コロナパニックなど吹き飛ばせ』★『超高齢社会日本』のシンボル・世界最長寿の彫刻家/平櫛田中翁(107歳)に学ぶ」<その気魄と禅語>『2019/10月27/日、NHKの「日曜日美術館ーわしがやらねばたれがやる~彫刻家・平櫛田中」で紹介』★『百歳になった時、わしも、これから、これから、130歳までやるぞ!』と圧倒的な気魄!

 <世界のコロナパニック戦争で「長寿大国日本」の底力(長寿逆転突破力)を発揮して …

no image
『オンライン講座/日本戦争報道論①」★『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑫「森正蔵日記と毎日の竹ヤリ事件⑤まきぞえをくった二百五十名は硫黄島 で全員玉砕した』★『挙国の体当たり―戦時社説150本を書き通した新聞人の独白』森正蔵著、毎日ワンズ)は<戦時下日記の傑作>森桂氏に感謝します』

  2014/10/09 記事再録 120回長期連載中『ガラ …

no image
日本リーダーパワー史(484) (まとめ)日露戦争勝利の立役者「児玉源太郎伝」森山守次/ 倉辻明義著,太平洋通信社、明治41年

    日本リーダーパワー史(484) &nbsp …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(243)/★記事再録『2011年3月11日、福島原発事故から49日目)ー『日本のメディア、ジャーナリスト、学者の責任と良心を問う』

  2011/04/28  速報(38) …

『Z世代のための昭和100年、戦後80 年の戦争史講座』★『日本の戦略思想不在の歴史⑴」★『日本で最初の対外戦争「元寇の役」はなぜ起きたか①』

  2017年11月13日、『リーダーシップの日本近現代史』(66)記 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(133)/記事再録★『大宰相・吉田茂首相と戦後憲法』ーマッカーサーは 憲法は自由に変えてくださいといっている。 それを70年たった現在まで延々と「米国が新憲法を 押しっけた」「いや日本が押しっけられた」と非難、 論争するほど無意味なことはない』★『1週間で戦後憲法を作った米国の超スピード主義』『憲法改正を70年間議論している超スローモーな日本沈没政治』

    2016/03/10 &nbsp …

日本リーダーパワー史(556) 「日露インテリジェンス戦争の主役」福島安正中佐⑥単騎シベリア横断、日露情報戦争の日本のモルトケ」とポーランドは絶賛

 日本リーダーパワー史(556)  「日露インテリジェンス戦争の主役」福島安正中 …