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日本リーダーパワー史(861)ー記事再録『リーダーをどうやって子供の時から育てるかー 福沢諭吉の教えー『英才教育は必要なし』(下)『西欧の三千年の歴史の中で天才の学校生活を調べると、天才、トップリーダーは学校教育ではつくれないことを証明している』

   

 日本リーダーパワー史(861)

『天才の通信簿』では西欧の3千年の歴史の中での天才の学校生活を調べているが天才、トップリーダーを学校教育ではつくれないことを示している。

優等生や既存の試験に強い、先生からほめられる「優等生的な」生徒は作り出せても、大発明や国家の英雄になるような大天才は「逆境」や「苦労や貧乏の実体験」の中から育つという例証である。先生も余り肩に力を入れる必要はない。どこまで人間形成に役立つ教育をするかである。

リーダーにとって学校とは苦痛や強制以外の何物でもなかったが、本来の学校の意味はその逆である。「学校」(スクール)という単語は、ラテン語の「スコラ」に由来し、語源はギリシア語の「スコレ」で「仕事から解放されて自由になる」という意味である。

つまりスコレは、古代ギリシアでは、自由市民が精神修養をはかる余暇を意味するものであり、やがて人々が集まって話を聞いたり討論しながら学習する場所を指すようになった。

 

これが、十四世紀以降の西欧では読み書き計算を教える学校、寺私塾が生れ、十七世紀になると今日の小学校に相当する普通学校が成立し、十八世紀には急激に増加している。義務教育が導入され、全児童が少なくとも小学校に就学する教育体制が確立したのである。 

「日本の教育の父」・福沢諭吉の教え

これと比べると、日本の義務教育制度は1880年(明治13)の教育令(3年間)で導入され、200年以上は遅れたのだ。

その日本での近代教育制度は文部省の東大など官立校に先駆けて福沢諭吉の慶応義塾<1858年(安政5年)に開校した蘭学塾がスタート、1868年(慶応4年、明治元年)に『慶応義塾』と名前を変えた>だが、福沢は明治元年5月、上野に立てこもった彰義隊と官軍の戦きが始まり、江戸が戦火に包まれる瀬戸際でも講義を続けて、生徒に言った。


「これから新しい日本が始まる。過去の日本は亡びる。これからの日本はお前たちが背負って立たねばならない。われ関せずで黙って勉強しなさい」


そのうち、上野の山に官軍が大砲を撃ち込み、その砲音が響いてきた。学生が落ち着かなくなると、「しばらく講義を止める。みんなハシゴで屋根にのぼって、バカどもの騒いでいるのをみろ」と、屋根上で見物させた。それから、一心不乱に講義を続けたという毅然としたリーダーシップを示した。

教育こそ国の盛衰を左右する。福沢の決然として、若者の未来に託した姿勢こそ真に教育者の姿であろう。いま、少子高齢化で国難に遭遇している日本にとって、教育で優秀な人材、世界で活躍する人材を育てて、20年、30年後に国運を立ち直させることが重要なのである。

福沢は慶応義塾で経済こそその国を独立、繁栄させる基盤であると役人養成ではなく、実業家の育成に取り組んだ。これが、明治の「富国強兵」の人材養成になったのである。

9人の子供がいた福沢は小学校教育について、「体育を中心にして子供の活動を妨げるな」とこう語っている。

「子供の教育は、幼少から読書、勉強などさせない。」

「子供の教育法は、もっぱら体のほうを大事にして、幼少の時から読書などさせない。まず体を作った後に心を養うというのが私の主義で、生れて三歳、五歳まではいろはの字も見せず、7、8歳にもなれば手習いを少し、まだ読書はさせない。

それまではただ暴れ次第に暴れさせて、ただ衣食にはよく気をつけてやる。自由自在にしておくのは、犬猫の子を育てると変わることとはない」(福翁自伝)と自然流で、勉強、勉強などといっていなのだ。

また、次のように親にくぎを刺している。

「世間の父母はややもすると勉強、勉強といって、子供が静かにして読書すればこれをほめる者が多いが、私は子供の読書、勉強は反対でこれをとめている。年齢以上に歩いたとか、柔道、体操がよくできたといえば、ホウビを与えてほめるが、本をよく読むといってほめたことはない。

長男、次男の2人を東大に入れて勉強させていたところが胃痛で体をこわした。家に呼び返し文部大臣に「東大の教授法は生徒を殺すか。殺さなければ頭がおかしくなる、東大は少年の病気製造所と命名してよろしいか」と抗議して2人を慶応義塾に入れて卒業させて、アメリカの大学に留学させた」(福翁自伝)とまで書いているのだ。

福沢は日本の教育制度を変えた男であり、慶応大を創設して教育を実践してきた先覚者である。その方法論は現在の大学制度の改革を先とりしている。外国人もどんどん採用し、多くの学生を海外留学させ、ハーバート大の日本分校にすることも検討していた。東大が旧来からの官僚養成学校であるのに対して「経済大国」の基礎をつくる経営者、実業家、リーダーを送り出した。

では、リーダーをつくるための小学教育をどうすればよいのか、いくつかの点を指摘したい。

①暗記、○×、選択方式の画一的な偏差値教育、テスト主義ではなく「考える教育」「考える力」の基礎を養うこと。教師のいう答えが正しいという教育を親も学校も徹底的に教えてきたが、本来は何が正しく、また、正しくないのか、それを自分はどう思うのか、問題解決の方法をかんがえる力のが教育である。

②知識をどう有効に活用して、個人や社会に役立てるために、実践するか考えるのが教育の中心でなければならない。そのためには小学生の段階から、「君はどう思うのか」「どちらが正しいのか」―答えを教えるのではなく、一緒に考えて、議論する授業こそ必要で、西欧の義務教育ではこれが中心となっている。

とくに21世紀のグローバルな地球環境大激変の時代に入り『答えの容易に見つからない難問』が次々に起きている。過去の答えだけを教える教育に未来はない。

21世紀は「グローバル(地球的)ボーダレス(国境がない)フラット(水平)なインターネット情報民主主義の時代であり、その共通言語は英語であり、国力も経済力も個人力もコミュニケーション力、ディベイト力によって決まる。小学校からの英語の公用語化と、ディスカッションが是非必要であろう。

③アジア、中国、韓国、香港、台湾、シンガポールなどからの留学生の英語力は日本の大学生の英語力、コミュニケーアション力よりは数段上である。それは小学校からの英語、インターネット、デジタルリテラシーと直結している。これの改革なくしては、オリンピックの二の舞になるのではと思う。 

 - 人物研究, 現代史研究

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