日本リーダーパワー史(311)この国家非常時に最強のトップリーダー、山本五十六の不決断と勇気のなさ、失敗から学ぶ①
日米戦争の勝敗について聞かれると「ぜひやれと言われれば、初めの1年や1年半は、存分暴れてご覧に入れます。しかし二年、三年となっては、ぜんぜん自信はありません。三国同盟ができたのは致し方がないが、こうなったなら、日米戦争の回避に極力ご努力を願いたいと思います」といったことは有名である。
側近の侍女たちに、「これでもうお前たちさえも、畳の上で死ぬことはできなくなるだろう」とつぶやいた。床の上に一日中物思いに耽り、何も語らなかった。そして2ヵ月後に90歳で亡くなった。
一歩一歩のぞまぬ戦争に流されていくという「決められない政治」「正確な判断と決断」が下せずー大勢順応で「赤信号、みんなで渡ればこわくない。そして、引かれて死んじゃった」という日本病の「死にいたる病」「集団死病」に結果的になるの。玉砕、集団自決、特攻隊の賛美は武士道の精神の延長線上であり、自由、平等、人権尊重の民主主義理念とは100年以上遅れた封建思想そのものである。
山本五十六は「なぜ最後まで反対を貫かなかったのか」をみていく。
1940年(昭和十五年)九月五、六両日に、及川は海軍大臣の名において、海軍首脳を東京に招集し、三国同盟に関する最終の意見を聞いた。条約調印まで、約三週間である。
及川はもし海軍が賛成しないとすれば、第二次近衛内閣はつぶれるほかはなく、海軍は内閣瓦解の責任はとりたくないから、三国同盟に賛成しようではないかとあいさつした。
及川海相は、それには一言も答えず、山本の質問を黙殺した。
「いろいろご意見もありましょうが、先に申し上げたような次第ですから、この際は三国同盟にご賛成願いたい」と前言を繰返した。
会議の後で山本はさらに及川海相に食い下がって、その無責任を追究した。「事情やむを得ないものがあるので、勘弁してくれ」と及川はあやまったが、山本は「勘弁ですむか」とかみついて放さなかったという。
<これが日本病の正体である。今回の原発事故もこの通リの結果になりつつある。
ここ一番の国の運命をかけた勝負で、心にもない決定を下して、その論拠が国の敗北ではなく、内閣の倒閣と海軍がその原因となったと批判されることを忌避する責任逃れの理由だとは聞いてあきれる。
海軍の存在理由は国の安全、防衛と負ける戦争はしないということにあれば、たとえ内閣がつぶれようと、陸軍との内戦、内乱になろうとも断固戦うべきなのに、陸軍の無理押しを国の敗北を予見しなが、勇気なく追従したのである。
政治家、官僚の目的は国益、国民益を守る、奉仕sることである。断じて自己益が上ではない。ところが、
今の政治も官僚もメディアも企業も自己利益にきゅうきゅうとして、民主党益、自民党益、公明党益、各省益、企業益を公益、国益、国民益、公正、真実、正義よりも自己益を最優先して、それに目がくらみ、結局自滅していくのである。この何度死んでも直らない歴史的失敗の「日本病」が再発して、今、3度目の国難に直面している>
原田熊雄は、三国同盟がいよいよ調印されたのを聞いた山本は、つぎのように悲憤したとのべている。
「言語道断だ。自分の考えではアメリカと戦争することは、全世界を相手にするつもりでなければならぬ。ソ連と不可侵条約を結んでも当てになるもんじゃない。アメリカと戦争しているうち、後から出で来ないと誰が保証するか。
自分はこうなった以上最善を尽して奮闘する。そうして長門の艦上で討死するだろう。その間東京あたりは丸焼けにされ、そうして近衛なんかは、気の毒だけれども国民から八裂きにされるようなことになりはせぬか」(原田日記)と述べたというが、山本はこれだけ負けを見越した戦争にこれ以上の反対と行動がなぜできなかったのか。
そのことを考えたい。
関連記事
-
-
『Z世代のための日本の超天才人物伝⑤』★『生成AIをはるかに超えた『世界知の極限値』・南方熊楠先生の書斎訪問記(酒井潔著)は目からウロコ②』★『大英博物館をわが書庫にして8年間、研究三昧で世界一の読書家に』★『東大あたりの官学者が、わしをアマチュアだ言うが馬鹿な連中だ。アマチュアではなく、英国でいうリテラート(独学で叩き上げた学者)で英国では大いにもてたよ』
2015年4月29日の記事再録、編集 酒井潔著の個人雑誌「談奇」( …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史]』(20)人気記事再録/日本海軍のゼロ戦(戦闘機)のエースパイロット,で200回以上を出撃し、敵機64機を撃墜した日本の『撃墜王』世界最高のパイロットであった。『 生死をこえる究極の心得とは・・撃墜王・坂井三郎の話
2010/07/18 / 日本リ …
-
-
『世界サッカー戦国史』➈『ガラパゴス/ジャパン/サッカーの未来を開く』★『日本人監督にして科学的トレーニングを強化する』
『世界サッカー戦国史』➈ 日本サッカーの強化法―科学的トレーニングの必要性 前坂 …
-
-
『オンライン講座/日本興亡史の研究➅』★『国家予算、軍事力とも約10倍のロシアに日露戦争開戦に踏み切った児玉源太郎の国難突破決断力②』★『ロシアと戦ってきっと勝つとは断言できないが、勝つ方法はある』★国破れて何の山河じゃ。ロシアの無法に譲歩すると国民は必ず萎縮し、中国、インドと同じ運命に苦しみ、アジアは白人の靴で蹂躙され、植民地からの脱却は何百年も先となるぞ』
2017/05/27日本リーダーパワー史( …
-
-
『オンライン入門講座/シルバーYou tuber(前坂俊之チャンネル)になる方法』★『ネット動画の時代に乗り遅れる既存メディアー 情報をあまねく広げる「個人」の出現で社会が変わる』(2012年でのインタビュー)記事全文再録)
取材場所:日本記者クラブ (インタビューの聞き手:沖中幸太郎氏) …
-
-
★『オンライン60歳,70歳講座/長寿逆転突破力を発揮し老益人になる方法★『日比谷公園、明治神宮など造った公園の父>本多静六(85)の70,80歳になっても元気で創造する秘訣―『加齢創造学』10か条
2012/05/12 百歳学入門(38)記事転載 『加 …
-
-
「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が報道した「日韓併合への道』の真実㉗「朝鮮,属国状態にされる」「日本は高圧的手法で全行政官庁を掌握.朝鮮人を国なき民として放置」
「 英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など外国紙が 報道した「日韓併合への道 …
-
-
日本メルトダウン( 986)-『トランプ次期米大統領の波紋』 ●『トランプ次期大統領「就任初日にTPP離脱通告」 2国間協定交渉へ』★『【社説】浮上するトランプ政権の全容 次期閣僚への打診を本格化、意外な名前も』●『オピニオン:トランプ不安、日本の「改憲」後押し=エモット氏』●『尖閣で日米同盟が試される…米メディア』▼『ポピュリストの波、メルケル独首相も飲み込むか』◎『コラム:トランプノミクスは日本経済に追い風か=河野龍太郎氏』
日本メルトダウン( 986)—トランプ次期米大統領の波紋 …
-
-
『オンライン/ベンチャービジネス講座』★『日本一の戦略的経営者・出光佐三(95歳)の長寿逆転突破力(アニマルスプリット)はスゴイよ➄★ 『徳山製油所の建設で米国最大の銀行「バンク・オブ・アメリカ(BOA)」からの1千万ドルの融資に成功』★『出光の『人間尊重』経営は唯一のジャパンビジネスモデル』★『独創力は『目が見えないから考えて、考え抜いて生まれた』★『87歳で失明からよみがえった「奇跡の晩年長寿力!」』
アニマルスプリット(企業家精神)を発揮 その後、出光はすることなす …
-
-
日本リーダーパワー史(583)「世界が尊敬した日本人」(37)「財界のナポレオン」-『鈴木商店」の金子直吉<カーネギー、ロックフェラーと並ぶ偉大な事業家>と海外メディアは評価
日本リーダーパワー史(583) 世界が尊敬した日本人(37) 「財界のナポレオ …
