前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(55)『「オスプレイ」配備を危惧する声高まる』『菅前首相が、国会事故調の「論点整理」に反論』

   

 池田龍夫のマスコミ時評(55)
 
「オスプレイ」配備を危惧する声高まる』『菅前
首相が、国会事故調の「論点整理」に反論
 
池田龍夫(ジャーナリスト
 
                     「オスプレイ」配備を危惧する声高まる( 6・18)

 
 
 沖縄・米軍普天間飛行場へのオスプレイ(垂直離着陸輸送機MV22)配備をめぐって、新たな難題が急浮上。政府は、沖縄配備の前に米軍岩国基地(山口県)で試験飛行したうえで8月に普天間配備する計画を立てていたため、打開策に苦慮している。
 
                          米国で訓練中にまた墜落事故
 
米軍がフロリダ州で実施していた飛行訓練中の6月13日(現地時間)、オスプレイが墜落、5人が負傷する事故が発生した。4月にモロッコで墜落して海兵隊員2人死亡、2人重傷の事故を起こしたばかりで、〝欠陥機〟配備への不安が高まる一方だ。
 
特に宜野湾市民は普天間配備反対を唱え、6月17日午後「オスプレイ配備に反対し固定化を許さず、普天間飛行場早期閉鎖・返還を求める市民大会」を開催。宜野湾市・同市議会・同市教育委員会共催という大市民集会に盛り上がり、市民ら4500人が日米両政府に対し、「オスプレイ配備反対」の意思表示したことを注目したい。仲井真弘多沖縄県知事は「(2度の墜落事故は)危険の二乗。とてもとても沖縄配備は無理です」と憤慨。13日に米軍から「極めて高性能の航空機」との報告を受け取った佐喜真淳・宜野湾市長も驚愕、「安全ではないという逆の証明になった」と、米軍への不信感をあらわにしていた。
 
                        「沖縄全県の『普天間化』」と県紙が警告
 琉球新報6月17日付社説は、「オスプレイ配備は、沖縄全県の『普天間化』を意味する」と前置きし、次のように主張している。
「本土でもオスプレイ問題への関心が高まっている。県内、県外を問わず、オスプレイ配備は許されない。配備や訓練の対象とされる自治体と住民が連帯し、日本の空に〝欠陥機〟を飛ばさないよう国への働きかけを強めたい。

……日本側は事故率について米国の説明を検証せず、米国の代理人のように『問題ない』としている。そんな政府を誰が信用しようか。県民にとって、普天間問題をめぐる日米両政府の不誠実な対応を世界に広く知らしめると同時に、理不尽な安保政策について国民全体で認識を共有し、両政府に根本的見直しを求める機会にもなる」

 
毎日新聞12日付社説も、「オスプレイ配備で沖縄との関係がこじれれば、最大の懸案である普天間移設問題に影響するのは必至だ。配備の強行は、森本敏防衛相が『職を賭して』と語った移設問題解決の障害になりかねないことを深く自覚すべきである」と警告していた。
 
     「米国側の事故究明を待つ」と、官房長官
 
防衛省政務三役も「地元に説明しようがない」と困惑、藤村修官房長官も14日の会見で「詳細が分からない限り、何ら新たな行動を起こさない」と語っている。政府は米側に事故原因の詳細な説明を求めており、究明前の配備に慎重な構えだ。
 
              菅前首相が、国会事故調の「論点整理」に反論(615)

 
 
 菅直人前首相は6月10日付のブログで、国会原発事故調査委員会(黒川清委員長)が9日に発表した「論点整理」について反論している。毎日新聞12日付朝刊などが内政面で報じているが、もう少し詳しく扱ってもらいたかった。「首相官邸の過剰介入」への反論などに一理あるとも思えるので、ブログの内容を紹介して、参考に供したい。 
 
       東電単独で処理しきれず、切羽詰っての介入だった
 
 「6月9日に発表された国会事故調の論点整理において、官邸の『過剰介入』という指摘がなされ、注目が集まっている。たしかに、本来、原災法が想定していた仕組みでは、原子力発電所の敷地外(オフサイト)に関しては『オフサイトセンター』を中心に対応し、敷地内(オンサイト)での原子炉に対する事故対応は事業者である東電が中心に対応する仕組みになっていた。

その意味では、事故発生から3月15日に政府・東電統合対策本部が東電本店内に設けられるまで、官邸が中心になって事故収拾に直接関与したのは異例と言えるだろう。しかし、異例ではあるが、今回のような、東電も保安院も想定していなかったシビアアクシデント(過酷事故)が起きた状況においては、官邸として、そうせざるを得なかったのが現実であった。その事が、国会事故調に理解されていないとしたら残念である」

 
「事故発生直後から、東電からは官邸や本部長である総理に、電源車の搬送への協力要請や、住民避難を必要とするベントの了解を求めてきた。さらに、今回のシビアアクシデントでは原子炉や使用済み燃料プールへの注水においても東電単独では実行できず、自衛隊、消防、警察など各方面に官邸から出動を要請するなど、オンサイトに関することも含めて事故対応に当たらざるを得なかった。

本来、事故対応の中心となるべき原子力安全・保安院が、事故発生当初、組織として機能しない中で、もし官邸が動かなかったならば、結果はどうなったか。私は、他の政府機関が十分に動かない以上、官邸として、また原災本部長として、直接対応せざるを得なかったと、今でも考えている」

 
官邸・東電間で交わされた記録の公開を 
 
「『撤退問題』では、発電所長をはじめ現場の皆さんは最後まで頑張る覚悟であったことは、その通りだと私も思っている。
しかし、清水社長が経産大臣と官房長官に電話をし、両大臣が『会社としての撤退の意思表示』と受け止めたという事実は大きい。これを官邸の誤解と一蹴するのは、やはり一方的な解釈と言わざるを得ない。こうした解釈の背景には、国会事故調が入手したいかなる情報があるのだろうか。
 
例えば、国会事故調の担当委員は東電本店と福島第一サイトのテレビ会議の記録を見て調査したと述べている。そうであるなら、原発事故発生から今日までの記録を、私が東電本店で社長や会長など約200人の東電幹部を前に話した場面も含めて、国会事故調の責任において全て公開していただきたい。そのことによって、真実と真相が、より公正かつ正確の明らかになるのではないだろうか」
 
                     調べ上げた結果を最終報告に反映してほしい
 
 ビデオに収録したという「菅前首相の東電幹部叱責」場面などの公開要求に対して、国会事故調の判断が迫られている。いずれにせよ、国政調査権を駆使して半年間調べ上げた結果を、予断なくまとめ、「最終報告書」に反映してもらいたい。
 
     (いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。
 

 - IT・マスコミ論 , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『Z世代のための世界天才老人・「ジャパンアニメ」,「クールジャパン」の元祖・葛飾北斎(88歳)の研究』★『その創造力の秘密は、72歳で傑作『富嶽三十六景』を発表、80歳でさらに精進し、90才で画業の奥義を極め、百歳で正に神の領域に達したい。長寿の神様、私の願いをかなえたまえ!』★『「100歳時代」「超高齢少子化社会」の最高のモデルではないでしょうか』

2022/02/09   の記事再録 葛飾北斎(88歳)米タ …

no image
連載「エンゼルス・大谷選手の大活躍ー<巨人の星>から<メジャーの星>になれるか」①『A・ロドリゲス氏は「これは世界的な物語だ」と絶賛』

連載「大谷選手の大活躍ー<巨人の星>から<メジャーの星>になれるか」① 4月9日 …

『オンライン/日本興亡史サイクルは77年間という講座①』★『明治維新から77年目の太平洋戦争敗戦が第一回目の亡国。それから77年目の今年が2回目の衰退亡国期に当たる』★『日本議会政治の父(国会議員連続63年間のギネス級)・尾崎行雄(96歳)の語る明治、大正、昭和史政治講義』★『日本はなぜ敗れたのか、その3大原因』

『日本はなぜ敗れたかー① 政治の貧困、立憲政治の運用失敗 ② 日清・日露戦争に勝 …

歴代首相NO1は明治維新の立役者・伊藤博文で『歴代宰相では最高の情報発信力があったと英『タイムズ』の追悼文で歴史に残る政治家と絶賛>

    2010/11/26  日本リー …

no image
『2018年「日本の死」を避ける道・日本興亡150年史』⑤『アベノミクスで政権百日は大成功、このナロウパスを突破せよ』(上)

★『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか ー―日本興亡150年史』⑤― < …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(201)-記事再録/『世界を魅了した最初の日本女性―世界のプリマドンナ・三浦環―アメリカ、ヨーロッパが熱狂した「蝶々夫人」です』★『 1918年11月、第一次世界大戦の休戦条約の祝賀の凱旋式がニューヨークのマディソン広場で開催、ウィルソン大統領の演説の後に三浦環が歌い、大喝采を浴びた。』★『十五年間の米国滞在中、ウィルソン、ハーディング、クーリツジと三代大統領の前で歌い、ホワイトハウスに何度も招待された』

    2015/11/13日本リーダーパワー史(192) …

『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ(13)』<ポルトガル・リスボン旅行日記②>リスボン見学のスタートは本命のジェロニモス修道院。ヴァスコ・ダ・ガマの新航路発見を記念し、1501年から300年かけ、19世紀に完成。ポルトガル黄金期の象徴。マヌエル様式の最高傑作、壮大、荘厳、優美、堅牢、繊細な建築(12月12日)

『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ(13)』2012/12/22 /記事再 …

『リモート京都観光動画』/初春の京都・大原三千院をぶらり散歩(2019/2/23)-大原バスターミナルから茶店の並ぶ参道をゆっくり歩きながら三千院山門までの風情を楽しむ』★『-御殿門を入り、客殿の庭園「聚碧園」、宸殿、有清園、往生極楽院など、青苔の庭園の幽玄の世界に浸る』★『京都大原の来迎寺(2/23)三千院より呂川沿いの山道をしばらく登ると来迎寺はある。』

   初春の京都・大原三千院をぶらり散歩(2/23)-大原バ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(328 )★今から約20年前のレポート再録『1998年/香港返還1年・香港メディアはどうなったかー言論の自由は漸次、消滅』★『深刻なセルフ・センサーシップ(自己検閲)』★『香港経済に暗雲、メディアへのテロが続発』

2009/02/10  <『マスコミ市民』1998年9月号N …

no image
日本メルトダウン(946)『ランド研がリアルに予測、米中戦争はこうして起きる、発端は尖閣紛争?日本の動きが決着を左右する(古森義久)』●『“歴史に名を残す”ために尖閣を狙う習近平 「中華民族の偉大な復興」のための3つの課題とは』●『ナチスに酷似する中国、宥和では悲劇再現も フィリピンの知恵に学び毅然とした対応を』●『パキスタンも陥落、次々に潜水艦を輸出する中国 国家戦略に基づいて兵器を輸出、片や日本は?』

  日本メルトダウン(946) ランド研がリアルに予測、米中戦争はこうして起きる …