「Z世代のための日本最強リーダーパワーの勝海舟(75)の研究③』★『勝海舟の西郷隆盛バカ話はメチャおもしろい』★『ガザ戦争(死者3万5千人)フランス革命(約2百万人)、米南北戦争(61万人)と比べて、最も少ない明治維新(約7千人)の立役者は西郷隆盛と敗軍の将・勝海舟』★『明治維新は世界にも例のないほどの「話し合いによる民主的、平和革命」だった』
2024/05/24
現在進行形のイスラエル対ハマスの「ガザ戦争」の死傷者数は5月13日現在、死者数は3万5034人、負傷者数は7万8755人に上る。明治維新(1868年)の犠牲者数は戊辰戦争を通じて約1万2千人、西南戦争で約1万5千人ほど。明治維新(1868年)の犠牲者数は戊辰戦争を通じて約1万2千人、西南戦争で約1万5千人ほど、一 方、ほぼ同時代の南北戦争(1861 年から 1865 年)の戦没者数はアメリカ史上最大の約 62 万人、第2次大戦での米死者数は約40万人)でその規模に驚かされる。
また、「自由・博愛・平等」の近代民主主義の理念を唱えたフランス革命(1789 – 1799)では、内乱やその後のナポレオン戦争も含めると、約200万人もの死者を出している。
こうして比較すると、明治維新は鉄砲やギロチンによる「流血の革命」ではなく、江戸城無血入場や東京を火の海にすることもなかった、世界にも例のない「話し合いによる平和的・無血革命」であることが分かります。
以下、勝海舟語録の「氷川清話」はめちゃ面白いよ。
西郷隆盛の人間性
□坂本竜馬が、かつておれに、先生はしばしば西郷の人物を賞賛されるから、私も行って会って来るから、添書をくれといったから、早速、書いてやったが、その後、坂本が薩摩(鹿児島)からかえって来ていうには、なるほど西郷という奴は、わからぬ奴だ。少しく叩(たた)けば少しく響き、大きく叩けば大きく響く。もし馬鹿なら大きな馬鹿で、利口なら大きな利□だろうといったが、坂本もなかなか鑑識のある奴だよ。
西郷に及ぶことのできないのは、その大胆識と大誠意とにあるのだ。おれの一言を信じて、たった一人で、江戸城に乗込む。おれだってことに処して、多少の権謀を用いないこともないが、ただ、この西郷の至誠により、おれをして西郷を欺(あざむ)くことができなくなった浅はかな策略をするのは、かえってこの人のために、 腹の中を見すかされるばかりだと思って、おれも至誠をもってこれに応じたから、江戸城受渡しも、あの通り立話の間に済んだのさ。

西郷は、今いう通り実に漠然(ばくぜん)たる男だったが、大久保は、これに反して実に「截然」(せつぜん=区別が付く、はっきりした)としていたよ。官軍が江戸城にはいってから、市中の取締りがはなはだ面倒になってきた。これは幕府は倒れたが、新政が未だできていない、ちょうど無政府の姿になったのさ。しかるに大器量のなる西郷は、意外にも、実に意外にも、この難局をおれの肩に投げかけておいて、行ってしまった。どうかよろしくお頼み申します、後の処置は、勝さんがなんとかなさるだろうといって、江戸を去ってしまった。
この漢然たる「だろう」にはおれも閉口した。実に閉□したよ。これがもし大久保なら、これはかく、あれはかくと、それぞれ談判しておくだろうに、あまり漢然ではないか。しかし、考えてみると、西郷と大久保との優劣は、ここにあるのだよ。西郷の天分が極めて高いゆえんは、実にここにあるのだよ。
西郷は、どうも人にわからないところがあったよ。大きな人間ほどそんなもので……小さい奴ななら、どんなにしたってすぐ肛の底まで見えてしまうが、大きい奴になるとそうでないの―。

西郷のことはこれまでたびたび話した通り、その胆量の大きいことは、いわゆる「天空海濶」(てんくうかいかつ)= 天や海が無限に広いことから、広い心をもっていることをたとえ)で、見識ぶるなどいうことは、もとより少しもなかった。
あの人見寧(本名人見 勝太郎)(1843-1922)が若い時分に、おれのところへやって来て、「西郷に会いたいから紹介状を書いてくれ」といつたことがあった。ところが、だんだん様子を聞いてみると、どうも西郷を刺しに行くらしい。そこでおれは、人見の望み通り紹介状を書いてやったが、中には『この男は足下を刺すはずだが、ともかくも会ってやつてくれ』と認めておいた。
それから人見は、じきに薩州へ下って、まず桐野に面会した。桐野もさすがに眼がある。人見を見ると、その挙動がいかにも尋常でないから、ひそかにかの西郷への紹介状を開封して見たら、果たしてこの始末だ。さすがに不敵の桐野も、これには少しく驚いて、すぐさま委細を西郷へ通知してやった。
ところが、西郷はいつこう平気なもので、「勝からの紹介なら会って見よう」ということだ。そこで人見は、翌日、西郷の屋敷を尋ねて行って、「人見寧がお話を承りにまいりました」というと、西郷はちょうど玄関に横臥していたが、その声を聞くと悠々と起きなおって、「私が吉之助だが、私は天下の大勢なんどいうようなむつかしいことは知らない。まあ、お聞きなさい。先日、私は大隅の方へ旅行したその途中で、腹がへってたまらぬから、十六文で芋を買って食ったが、たかが十六文で腹を食うような吉之助に、天下の形勢などいうものが、わかるはずがないではないか」といって大口を開けて笑った。
ところが、血気の人見も、この出し抜けの話に気を呑まれて、殺すどころの段ではなく、あいさつもろくろくせずに帰って来て、「西郷さんは、実に豪傑だ」と感服して話したことがあった。
知識の点においては、外国の事情などは、かえっておれが話して問かせたくらいだが、その肝っ玉の大きいことは、この通りに実に絶倫で、議論もなにもあったものではなかったよ
関連記事
-
-
世界史の中の『日露戦争』⑭<インテリジェンスの教科書としての日露戦争>『ノース・チャイナ・ヘラルド』
世界史の中の『日露戦争』⑭ 英国『タイムズ』米国「ニュー …
-
-
日本リーダーパワー史(368)日本占領から日本独立へマッカーサーと戦った吉田茂とその参謀・白洲次郎(2)
日本リーダーパワー史(368) 日本占領から日本独立へ マッカーサーと戦った2人 …
-
-
日本リーダーパワー史(614)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』⑨『日中韓の誤解、対立はなぜ戦争までエスカレートしたか」ー中国・李鴻章の対日強硬戦略が日清戦争の原因に。簡単に勝てると思っていた日清戦争で完敗し、負けると「侵略」されたと歴史を偽造
日本リーダーパワー史(614) 日本国難史にみる『戦略思考の欠 …
-
-
『明治裏面史』 ★ 『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー,リスク管理 ,インテリジェンス㊸★『日露戦争開戦の『御前会議」の夜、伊藤博文は 腹心の金子堅太郎(農商相)を呼び、すぐ渡米し、 ルーズベルト大統領を味方につける工作を命じた。』★『ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の世界最強のインテジェンス(intelligence )』
日露戦争開戦の『御前会議」の夜、伊藤博文は 腹心の金子堅太郎(農商相)を呼び、す …
-
-
日本メルトダウン( 972)『トランプ大統領ショックの行方!?』―『安倍首相とトランプ氏、17日初会談=日米関係強化で一致』●『米、TPP承認見送りへ「年内審議ない」』●『トランプ氏勝利で日本の通商戦略は崖っぷち TPP漂流視野 (1/2)』●『トランプ氏勝利 日本政府「誰がキーマン?」 パイプ細く関係構築急ぐ』●『 トランプ経済は、実は「大化け」の可能性を秘めている!』●『【トランプ勝利の7つの波紋】』
日本メルトダウン( 972) トランプ大統領ショックの行方! …
-
-
日本リーダーパワー史(94)日本政治史分岐点・5・15事件で犬養毅、菊竹六鼓から学ぶ①<言わなければならぬことをいえ>
日本リーダーパワー史(94) 日本政治史分岐点・5・15事件で犬養毅、菊竹六鼓か …
-
-
★『大爆笑、メチャおもろい日本文学史』⑤『アイヌ「ユーカラ」研究の金田一京助はメチャおもろい』講義は人の3倍の情熱、純情一直線の金田一先生』
2016/02/21 『大爆笑、メチャおもろい日本文学史 …
-
-
日本リーダーパワー史(297)原発事故から1年半-④原発報道は『戦争報道の教訓』を活かしー<本質報道>に徹せよ④
日本リーダーパワー史(297) –3.11福島原発事故 …
-
-
『日本の運命を分けた<三国干渉>にどう対応したか、戦略的外交の研究講座⑬』『「申報」や外紙からみた日中韓150年戦争史」(73)『日本は朝鮮で,アイルランド問題に手を染めたようだ」『英タイムズ』
2014/11/05 『「申報」や外紙からみた「日中韓150年戦争史 …
