前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『オンライン/ベンチャービジネス講座』★『日本一の戦略的経営者・出光佐三(95歳)の国難・長寿逆転突破力①「順境で悲観し,逆境で楽観せよ」★『金・資本・知識・学問・会社、組織の奴隷になるな!』★『私は目が見えなかったために本など読まず、自分の頭で考え抜いた』

      2021/12/27

 

戦略的経営者・出光佐三(95歳)の国難・長寿逆転突破力

 2019年6月、アメリカとイランの対立関係が再び激化し、ホルムズ湾のタンカーの航行の安全確保のため米国は『有志連合』の結成を日本など各国に呼びかけた。日本はイランとは長年、友好関関係を築いており「有志連合」には参加せず、独自に海上自衛隊を派遣することになった。日本とイラクに最初に友好のキズナを築いたのは『国難・長寿逆転突破力』のある出光興産社長の出光佐三です。

1953年(昭和28)4月10日、出光興産の日章丸二世(1万9千トン)がイラン石油の買い付けにアバダンに入港したとの外電ニュースが流れ世界をアッといわせた。

当時、ペルシャ湾で石油争奪合戦が勃発していた。世界有数の産油国イランは1951年(昭和26)に突然、『石油国有化法』を議会で可決、イラン石油の全権を握る「英国アングロイラ二アン社(AI)」(BPの前身)を接収して国際紛争に発展した。

怒った英国はペルシャ湾に海軍の艦隊を派遣、イラン石油の売買は盗品にあたるとして、買い付けにきた外国タンカーは撃沈するとの強硬声明を発し、周辺海域の監視を強化していた。これに引っかかったイタリア、スイス共同資本のタンカーはアラビア海で英海軍に拿捕され国際紛争に発展した。 

出光はイランと秘密裏に交渉

 当時の世界の石油業界は欧米の国際石油資本(メジャー)が市場を国際カルテルを結んで独占していた。独立系の民族資本・出光興産は「消費者に安いガソリンを提供する」を企業理念に掲げており、長年、メジャーと闘争を続けてきた。

一方、イランは産出国として初めて巨大メジャーと対決、各国に売却を呼びかけてきたが、英国の報復を恐れてどこも手を出す国、企業はなかった。こうした石油危機に石油界の反逆児・出光は一挙に勝負に出た。極秘裏にイランと交渉を進めた。

佐三の弟・計介がイランに入りモサデク首相と秘密裏に交渉した。

同大統領は「すでに二十ヵ国が買いに来て契約をしてゆくが、船は一つも輸入にこない。おまえもその類だろう」と疑った。「出光は石油メジャーと戦っている日本で唯一の「人間尊重」会社だ。全国に販売網を持ち、消費者と直結している。日本人は約束は必ず守る。おれは船を必ずもってくる」と熱心に説得して契約にこぎつけた。

ところが、海運会社に輸送を頼むと、どこからも断られてしまった。英国の妨害、拿捕が怖いのだ。啓介は「これで万事休すか!」と困り果てていると佐三は即座に「それな虎の子の日章丸を早急に回すよ」と決断した。

当時、出光にはタンカーは日章丸1隻しかなかった。その虎の子を英国包囲網を引くにペルシャ湾に出航させたのである。

佐三は、用意周到に準備した。運行ルートを綿密にチェックし、アバダン港の深度、英国側に拿捕された場合の保険、国際法上の問題点などあらゆるリスクを調査した。

3月23日、世界一の大型タンカー『日章丸』は船長、機関長以外には一切行き先を告げずに秘密裏に出港した。東京からの指令は暗号無線で行った。途中、英国軍艦に発見されれば撃沈されるか、拿捕か、浮遊機雷に接触する危険性もある。

こうした二重三重のリスクをすり抜けながら決死的な航海で「日章丸」はアバタン港に4月10日に入港し、イラン国民の熱狂的な歓迎を受けた。イランに日章丸のような巨大タンカーがはいったのはこれが初めてで、乗組員が映画館に行くと、観客全員が起立して、拍手で迎えてくれたほどの大歓迎だった。

  • 腑仰(ふぎょう)天地に愧じない行動

  • 石油を満載して帰途に着き、英国の反撃をかいくぐって川崎港に5月9日に帰港した。英ア社は日章丸の積荷の所有権を主張して、東京地裁に提訴したが、出光は「日本国民として腑仰(ふぎょう)天地に愧じない行動をいたしました」(天の神、地の神ににも、何ら恥ずべきところがない)と証言し、出光側の全面勝訴となった。

 超大国イギリスを相手に国際正義にのっとった出光の挑戦は、米国占領からやっと独立したばかりの日本人に大きな感動と勇気を与え、出光は一踵国際的な経営者として脚光を浴びたのです。

当時の岡崎勝男外相は「じつに痛快!」と大絶賛。電力の鬼〟松永安左衛門は財界元老クラスの集まりに佐三を招待した。「日章丸が拿捕されれば、問題が日英両国政府の折衝となって、日本政府もイラン石油輸入に本気にならざるを得ない。そうすれば私の願いも達成される」

ー国益と引き換えに拿捕覚悟で出航させた「決断突破」力に松永や電源開発総裁・高碕達之助らはいたく感激した。松永は「金もうけで動いていると思っていたが、あなたの真意がよくわかった。どうか頑張ってくれ」と激励し、器量の大きさと人間的魅力にすっかりほれ込んだ。その後の徳山の旧海軍燃料厳の払い下げなどに全面協力したのです。

つづく

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑥-『朝鮮の各国との通商こそ,国土保全の所以である(上)』(1882/12)

  『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパーセプ …

『Z世代への遺言』★『終戦80年・日本敗戦史の研究』★『「生きて虜囚になることなかれ」の戦陣訓こそ日本軍の本質』★『死ぬまで戦い、玉砕、最後は自決して、捕虜には絶対にならない、他国の捕虜も同じく「虐殺」「飢死」させた』

 2015/07/16終戦70年・日本敗戦史(90)記事再録・再編集 …

『Z世代のための昭和戦後宰相論』★『中曽根康弘首相の長寿逆転突破力』★『戦後総決算」を唱え、歴代内閣が実現できなかった行財政改革を敢然実行した』★『「ロン・ヤス」の日米関係蜜月、韓国を電撃訪問し、日韓関係を一挙に改革、胡耀邦氏と肝胆合い照らし日中関係も改善。口先だけではない即決断実行型の首相だった』

『Z世代のための昭和戦後宰相論』★『中曽根康弘首相の長寿逆転突破力』★『戦後総決 …

no image
速報(30)『直撃インタビュー動画』今、福島原発はどうなっているのかー元同原発技術者の小倉志郎氏が語る(30分)』●

速報(30)『日本のメルトダウン』44日目 ◎『元技術者が語る福島原発の内部の状 …

no image
産業経理協会月例講演会>2018年「日本の死」を避ける道は あるのか-日本興亡150年史を振り返る⑤

 <産業経理協会月例講演会> 2013年6月12日  201 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(266 )★ 『福島原発事故発生から4ヵ後の記事再録』★『当面する5大国難(原発処理問題」「迫りくる大地震」「1千兆円突破の国家債務」「急速に進む超高齢化・人口激減・少子化・ 認知症800万人」)は9年間でどこまで解決できたのか』★『国難は複雑性を増し、国民全体の叡智、熟慮、決断、実行が求められている」(高橋是清のケース)

2011/07/10に書いた「 日本リーダーパワー史(172)の再録 高橋是清の …

no image
百歳学入門(183)-現在、65歳以上の人は「2人に一人が90歳以上まで生きる時代」★『義母(90歳)の『ピンコロ人生』を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」の見事な実践と思う。

 百歳学入門(183) 老いて学べば、死しても朽ちず(佐藤一斎)   今年の「敬 …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ(76)』英国BBCが『笹井氏死去を「世界の分子生物学会の一大損失、研究開発は遅滞しこの空白は埋められない」と報道

   『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウ …

『オンライン講座/ウクライナ戦争と安倍地球儀外交失敗の研究』 ★『 欧米が心配する『安倍ロシア朝貢外交の行方は!?』★『プーチンの恫喝外交に再び、赤子 の手をひねられるのか!?北方領土』★『★『戦争終結後に非戦闘員3700人を大虐殺』●『軍人ら約60万がシベリアに送られ、強制労働に従事させられ、6万3000人が死亡した』』の悲劇―ロシアの残虐殺戮、無法占領の責任を追及せず、 2島返還で経済援助までつける安倍外交の失敗』

  2016/11/10  日本リーダーパワー欠落史(748 …

no image
日本一の「徳川時代日本史」授業④福沢諭吉の語る「中津藩で体験した封建日本の差別構造」(旧藩情)を読む⑤  

  日本一の「徳川時代の日本史」授業 ➄   「門 …