『オンライン60/70歳講座/佐藤一斎(86歳)の語録『言志四録』講読』 ★『陽明学者・佐藤一斎(86歳)の「少にして学べば、則ち 壮にして為すこと有り。 壮にして学べば、則ち老いて衰えず。 老いて学べば、則ち死して朽ちず』(現代訳=人は少年のときに学んでおくと、壮年になって必ずそれが役に立ち、なにかをなすことができる。壮年のときに学んでおくと、老年になっても、気力が衰えることはない。老年になっても学ぶなら、それが人や社会の役に立つから、死んでもその声望は高まり朽ちることはない」
2018/04/11 『百歳学入門』(222)
「学びつづけること」が心も身体も健康にする。 「学ぶ人」は老いても衰えない。仕事と長寿との関係でいえば、芸術家でも僧侶でも学者でも文字どおり、息の長い″仕事をする人が多いように思われる。
江戸期の儒者・佐藤一斎(86)は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E8%97%A4%E4%B8%80%E6%96%8E
数え年で八十八歳の長寿を得た高名な陽明学者です。彼は当時としては隠居の年齢である六十歳を過ぎてから、語録『言志四録』に取組んでいる。
彼が、六十七歳から七十八歳までの十二年間に執筆した語録『言志晩録』(『言志四録(げんししろく)』の第三部)で、
『少(しよう)にして学べば、則(すなわ)ち壮にして為(な) すこと有り壮(そう)にして学べば、則ち老いて衰えず老(お)いて学べば、則ち死して朽ちず]と記している。
この最後の「老いて学べば、則ち死して朽ちず」は、紀元前六世紀の中国の思想家・老子の「死して亡びざる者を寿という」や、一斎が私淑(ししゅく)した中国十二世紀の儒学の権威・朱喜の「壮にして学ばざれば、則ち老いて衰う」といった言葉が出典と言われる。(松原泰道「戒語、早起きすべし」三笠書房、1998年 43P)
この『言志晩録』のこの語録を現代訳すれば「人は少年のときに学んでおくと、壮年になって必ずそれが役に立ち、なにかをなすことができる。壮年のときに学んでおくと、老年になっても、気力が衰えることはない。老年になっても学ぶなら、それが人や社会の役に立つから、死んでもその声望は高まり朽ちることはない」
つまり、「若くして学べば、成人して何事か成し遂げるであろう、壮年にして学べば、年をとっても老いない、老いて学べば死んでも、その志は受け継がれていく」という意味ですが、まさに、このとおりではないでしょうか。
私は50歳になった頃、この語録を読み、心にスイッチが入りこれを座右銘にして壁に掲げました。
思い立ったら吉日、 何か物事を始めようと思ったら、日を選ばずにただちに着手する、それが啐啄(そったく)の機である。求めている自分の気持ちと語録がピッタリ共鳴し心にスイッチオンが入り、「この道を行こう」と未来が明るくなりました。
50歳、60歳、70歳からでも一条の光(強い志)を持ってコツコツ学び、修行を続ければ、老いても衰えることなく、自分の人生をしっかりと歩むことが出来る。自力本願を確信したのです。
八十八歳まで勉強し続けた佐藤一斎の生涯
佐藤一斎は、江戸幕府が設立した儒学を中心に教える江戸湯島の昌平校(学校)の教授である。『言志四録』の第一部は 『言志録』で、彼が四十二歳から五十二歳までの約十年間の思索を綴っている。
第二部の『言志後録』は、一斎が五十七歳から約十年にわたって記した語録で、第三部は『言志晩録』で六十七歳から七十八歳にかけての十二年間に書きつづけた語録で、その晩年の人生論、養生訓、政治から経済、生活まで幅広くエッセイ風に書いたもので『講談社学術文庫』に全巻収録されています。
四部作の最終は八十歳のときに筆を起こし三年後の八十三歳のときに刊行された、いわば絶筆ともいうべき『言志耋録(てつろく)』 です。「耋」(てつ)とは「このうえない年齢までいった年寄り」といった意味の解説があります。具体的には八十歳の高齢者のことを指している。
●「咋日の非を悔ゆるものこれあり、今日の過を改むるものすくなし」
世間に、後悔をしている人は多い、昨日、ああしたければよかった、あれが失敗だった、そう言って悔む人は多い。ところが、それほどにすぎ去った昨日のことは後悔している癖に、その昨日の今日、過ちを改める人はまことにすくない。
結局、そういう人は一生後悔ばかりしている。後悔ばなしを聞くと如何にも殊勝のようだが、今日その過ちを改めないでは何の価値もない。この過ちを改めるという事だけがその人を精神的にも物質的にも成功させる唯一の道である。
とくに最後の『耄碌』は自身、80歳(傘寿)に達して「まだ耳も目もひどく衰えてはいない。なんと幸いなことか。息のあるかぎり学業はやめない。一条ずつ書いて一編となった」との書き出しで、老年についての記述が多い。すでに、傘寿に近い、私にも心に残る養生録である。
-
「児孫団集すれば養を成し、老友耄話すれば養をなす、およそ吉慶事を聞けば、また皆養を成す」(子や孫が集まるとか、老人同士の談笑とか、祝いごと、喜びごとを聞く-これはみな老人にとって養生なる)
-
「遠歩、過食、久座、思慮を労するは、もっとも義にあらず」(遠出、食べすぎ、長時間座るのはよくない、思い煩うことは最も養生によくない.
-
「清忙は養を成す、過閑は養に有らず」(心よい忙しさは養生、暇すぎはよくない)
-
「老人は宜しく流水に臨み、遠山を仰ぎ、もって観望をなすべし」(老人は流れる水や遠い山を眺めるなど、広大な観望を楽しむがよい。これが本当の養生である。
その門下生に佐久間象山、安積艮斎らを輩出し、明治維新の志士たちに大きな影響を与えた碩学だけに、道徳から政治、法律、処世術にいたるまで名言は尽きない。
関連記事
-
-
日本リーダーパワー史(705) 日中韓150年史の真実(10)『日清戦争の引き金の1つとなった防穀令事件 <1889年(明治22)>とは』ー 防穀令を布いて穀物の輸出をストップし、 朝鮮地方官がワイロを貪ったのが原因』②
日本リーダーパワー史(705) 日中韓150年史の真実(10) 「福沢諭吉はなぜ …
-
-
日本リーダーパワー史(252)明治日本の国家戦略「殖産振興」「廃藩置県」を実行した大久保利通の最期の遺言①
日本リーダーパワー史(252) 明治日本の国家戦略「 …
-
-
速報(307)◎『5月31日関西広域連合限定再稼動を容認』●『4号機プール未使用燃料2体搬出リスクに小出裕章(MBS)』ほか
速報(307)『日本のメルトダウン』 ◎『5月31日 …
-
-
『Z世代への遺言・2023年は日本がタイムアウトする年となる」★『日本衰退(1人当たりGDP27位)が止まらない<日本敗戦病>の研究①』★『2012/09/05/ 日本リーダーパワー史(311)記事再録』★『この国家非常時(太平洋戦争)に最強のトップリーダー、山本五十六の不決断から学ぶ』★『岸田自民党もこの敗北ケースをたどっている』①
●『2023年はいよいよ日本がタイムアウトする年となる」 近代日本の興亡史、栄枯 …
-
-
速報(375)『日本のメルトダウン』『緊急ビデオ座談会ー安倍政権は土壇場の絶望政治を現実路線に転換できるのか』
速報(375)『日本のメルトダウン』 <安倍政権の誕生,スタートへ>   …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(119)/記事再録☆<日本は21世紀の新アジア・グローバル主義のリーダーをめざせ>★『 アジアが世界の中心となる今こそ,100年前に <アジア諸民族の師父と尊敬された大アジア主義者・犬養毅(木堂)から学ぼう』★『亡命イスラム教徒を全面的に支援した唯一の政治家』★『藩閥、軍閥と戦い終始一貫して『産業立国論』を唱えた政治家』★『最大の功績は中国革命の父・孫文を宮崎滔天を中国に派遣して日本に亡命させ匿い全面支援した、いわば中国革命を実現したゴッドファーザーこそ犬養木堂なのだ』
2015/01/21日本リーダーパワー史 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(809)『ネット時代、「名誉毀損」はこんなに変わったー「損害」と認められる範囲が広がった意味』●『中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん』●『 2次創作は非親告罪化の対象外に 文化審議会の小委員会、方向性まとまる』
日本メルトダウン脱出法(809) ネット時代、「名誉毀損」はこん …
-
-
世界を変えた大谷翔平「三刀流(投打走)物語⑦」★『Shohei Ohtani fever is really heating up in Angel Stadium』★『大谷が自己の可能性を信じて、高卒 即メジャーへの大望を表明し、今それを結果で即、示したことは日本の青年の活躍の舞台は日本の外、世界にこそあることを示唆した歴史的な事件である』★『大谷絶賛の嵐 A・ロッド氏「メジャーが高校レベルに…」』
2018/04/04 『F国際ビジネスマン …
- PREV
- 『オンライン講座/百歳学入門』★『日本一の大百科事典を創るため土地、家屋、全財産をはたいて破産した明治の大学者(東大教授)物集高見(82歳) と長男・物集高量(元朝日記者、106歳)は生活保護の極貧暮らしで106歳まで長生きした長寿逆転人生とは①』★高見は「学者貧乏、子孫に学者は出さぬ」と遺言し、高量はハチャメチャ流転物語」
- NEXT
- 『オンライン60/70歳講座/良寛和尚のすぐ百歳になれる方法とは?』★『ある時、80歳の金持ち老人が「わしは百歳まで何とか生きたい。何かよい方法はないかな」と相談にきた。』★『良寛はニコニコ笑いながら「何かと思えば、たやすい御用じゃ。それくらいのことなら簡単じゃ。○○○○○と答えた』★『 「災難にあう時節には、災難にてあうがよく候。 死ぬる時節には、死ぬがよく候。 是はこれ、災難をのがるる妙法にて候」
