前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『リーダーシップの日本近現代史』(239)/★『三井物産初代社長、『千利休以来の大茶人』益田 孝(91歳)(下)『「鈍翁」となって、鋭く生きて早死により,鈍根で長生き』★『人間は歩くのが何よりよい。金のかからぬ一番の健康法』★『 一日に6キロは必ず歩く』★『長生きするには、ご馳走は敵』★『物事にあくでくせず、常に平静を保ち、何事にもニブイぐらいに心がけよ、つまりは鈍感に』

   

★  百歳学入門(59)記事再録

 
三井物産初代社長、『千利休以来の大茶人』鈍翁 益田 孝(91歳)
 
① 人間は歩くのが何よりよい。金のかからぬいちばんの健康法。
② 一日に一里半(6キロ)ぐらいは必ず歩く。
③ 長生きするには、御馳走を敵と思わなければならぬ。
④ 私の粗食は、地産地消のものを、なるべく手をかけないで食べる。
⑤ 俗にいう粗衣、粗食は、いつの世にも健康の基。
⑥ 人間、鋭くなろうと気ばると、長生きなんぞできるものではない。
⑦ 「鈍翁」になりきって、鋭く生きて早死にするより、鈍根で長生きせよ
⑧ 天海僧正は百二十五歳、その養生訓は「正直、粗食、日頃だらり、たまには放屁なさるべくそうろう」
⑨ 物事にアクセクせず、常に平静を保ち、何事にもニブイぐらいに心がけよ、
⑩ つまりは「鈍」で行け。
 
 51IOQCryTJL._SX371_BO1,204,203,200_
 
       前坂 俊之(ジャーナリスト)
 
 
三井物産初代社長、『千利休以来の大茶人』鈍翁 益田 (90歳)
 
益田孝(ますだ たかし)嘉永元年10月1848年11月―昭和13年(1938)、草創期の日本経済を動かし、明治維新後、世界初の総合商社・三井物産を設立、初代社長。
 
 人間は歩くのが何よりよい。金のかからぬいちばんの健康法で、体が適当に運動している間、頭の方は適当に休ませることができる。それに歩けば必ず腹がへる。腹がへれば、そのあとの食事がきっとうまい。
粗食でも、どんどんこなれて栄養になるわけだ。粗食には金もかからず、台所でも大いに助かる。四方八方よろしいのである。
 それに歩くといっても、ただボンヤリ歩くのではなく、途中で何か新しいことも勉強してかえる。知人にでもあえば、おついでにと無沙汰の義理も果たせるというものだ。
私は用さえなければ、一日に一里半(6キロ)ぐらいは必ず歩く。雨が降って外へ出られなけ
れば、いろいろ仕事をさがして、一里半ぐらいの散歩代りになる軽い労働をやる。ふき掃除でもまき割りでも、家の中に仕事がないということはない。
朝などは早く起きて寝床の取片付けをするが、家人が手伝いにくると、わしの職務を奪うのか、と叱りつける。
 
 
うまく食べる
 
 人間長生きをしようと思ったら、御馳走を敵と思わなければならぬ。俗にいう粗衣、粗食は、いつの世にも健康の基で、これをいとわなければ、何人も無病、息災うたがいなしである。といっても、私の粗食というのは、栄養にならぬオソマツな物を指すのではなく、ごくありふれた、その季節々物、その土地の物を、なるべく手をかけないで食うことで、それがいちばんに安く、いちばんにうまく、いちばんの食養になる。
 
 お茶の方の料理もそれがねらいで、シュンでないもの、土地でできないもの、変った料理法をしたものなど一切を排する。御馳走というのは季節的にめずらしいもの、遠くから取り寄せたもの、殊更に手をかけて本来の味を殺したものをいうが、そんなものは栄養的にみても下の下で、これを毎日あさりつづけていては、だれしも健康の保てようはずはない。食物は本人の方の腹工合でうまく食うことこそいちばんの大切。
 
 鈍翁の由来
 
私は名工鈍九郎という人の作った茶碗を手に入れたのを機縁に、「鈍翁」の茶号を名のることにした。
人間、鋭い生まれつきでなくとも、鋭くなろうなどと気張りつづけていては、とても長生きなんぞできるものではない。
 
そこで「鈍翁」になりきって、鋭く生きて早死にをする代りに、鈍根ながらの長生きで、はるかそうした人にもまして、大いに働き、大いに世を楽しもうと考えたのである。
 
有名な天海僧正は百二十五歳までも生きたといわれるが、その養生訓を将軍家光に問われたところ、
 
 「正直、粗食、日頃だらり、たまには放屁なさるべくそうろう」と答えた。
 
だらりというのは畢丸がだらりと下がっていることで、物事にアクセクせず、常に平静を保ち、どちらかと申せば、何事にもニブイぐらいに心がけよ、つまりは「鈍」で行けという教えであるように私は解釈する。
 
 
益田はドイツの医者が書いた『不老長生の秘訣』なる本を翻訳してまだ雲水時代の若い円覚寺管長・朝比奈宗源に贈ったことがある。これを書いたドイツ人医者は40歳ころまで、体のどこかがいつも悪くて弱っていた。
 ところが、ある時、ハッと悟った。電気が普及するもではどこでも火を焚いたが、火をうまく燃やすには決して釜の中にいっぱい薪を入れてはだめ。ちゃんと適当な空間を作って、薪を少し入れてうまく空気が通るようにしなければ燃えない。
 
 たいがいの人がカマドいっぱいに薪を入れるように、食べ物を胃の中に入れる。胃袋は明けても暮れても忙しくて、それだけで疲れる。それをこなすために、人間のエネルギーをほとんど使ってしまう。入れるエネルギーよりも、使うエネルギーが多くなる。カマドの薪を減らして、十本入れていたものを五本、三本にしてうまく焚けば薪は少量で火はよく燃える。これにヒントをえて、食べ物を減らすと丈夫になった。減食健康法を説いた本であり、摂取カロリーを3分の1減らせば長生きすると説いていた。ご飯の食い過ぎがいけない。                            

益田がこの本をだしたのが50歳の頃だが、これを実践して91歳まで長い生きした。
 

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究, 湘南海山ぶらぶら日記 ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ ニュース・ウオッチ(180)』『BBCの速報で、男の子退院の記事「未成年の保護養育義務」を報道』●『舛添氏の「公私混同金銭感覚」ー世界の東京の顔に『この破廉恥・悪人ズラ』では都民は眠れない→「悪い奴ほどよく眠る」

『F国際ビジネスマンのワールド・ ニュース・ウオッチ(180)』 ①『BBCの速 …

no image
日本リーダーパワー史(188)国難リテラシー『東條開戦内閣の嶋田繁太郎海相の敗戦の弁』<戦争の原因、反省と教訓>

日本リーダーパワー史(188) 国難リテラシー 『東條開戦内閣の嶋田繁太郎海相の …

no image
日本風狂人伝⑪ 直木三十五-「芸術は短く、貧乏は長し」

日本風狂人伝⑪             2009,6、30   直木三 …

no image
速報(121)『日本のメルトダウン』『前原氏は論外、野田氏も不適格』『日本原子力学会という責任を逃れようとする人たち』

速報(121)『日本のメルトダウン』 『前原氏は論外、野田氏も不適格―次の首相に …

no image
速報(339)◎東アジア安全保障の進化を阻む日韓の歴史問題』◎『橋下徹氏は日本版ポール・ライアンか』 

速報(339)『日本のメルトダウン』   ◎東アジア安全保障の進化を阻 …

東京国立博物館で開催の「運慶」展(9/26ー11/26)は入場者が60万人を突破する大人気』★『運慶仏像を間近に見ることが出来る鎌倉杉本寺を紹介する』★『その裂ぱくの大迫力にエネルギーをもらう』

  上野の東京国立博物館で開かれていた「運慶」展(9/26日から11/ …

no image
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉗「開戦1ゕ月前の『米ニューヨーク・タイムズ』の報道」ー『開戦へカウントダウン!』●『この記事は戦争報道の優れた論評で、日本メディアの報道とは雲泥の差がある』★『日本はいずれ国運をかけてロシアと戦わなければならず,シベリア鉄道がまだ能力いっぱいに開発されていない現在の方が,後にそうなったときより.勝てる可能性が高いと一致して見ている。』

  『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』㉗ 1903(明治36)年 …

no image
●日本の最先端技術の「見える化」チャンネル「東京国際ブックフェア」「国際電子出版EXP」「プロダクションエキスポ東京」など開幕

●<日本の最先端技術の「見える化」チャンネル>   新聞記事で読んでも …

no image
日本の最先端技術「見える化」チャンネル★『奥田正行/イタリア料理スーパーシェフが世界を変えるパスタゆで方と鍋のふり方」の秘伝一挙全公開(40分間)「厨房設備機器展2019」のマルゼンブースでのスーパースチームでの実演デモはスゴイよ!

    『厨房設備機器展2019(2/20、東京ビ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(265 )★『60,70、洟垂れ小僧、生涯現役、カヤック人生』★『定年なし、年齢差別なしの米国では65~74歳はベビーオールド(赤ちゃん老人)、75~84歳まではリトルオールド(小さい老人)、84~94歳はヤングオールド(若い年寄り)、95歳以上がリアルオールド(真の高齢者)』だよ。』★『シニアを襲う燃え尽き症候群 “仕事ロス”など吹き飛ばせ!』

 2014/09/15 /百歳学入門(99)『百歳挑戦・鎌倉バカ仙人の …