前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(116)「タカタ問題」では「湿気で部品が劣化して 異常破裂する結果」をNYTはいち早く調査報道、日本メディアはNYTの引用で済ませるお粗末』

      2015/06/27

 『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(116)』

「タカタ問題」では「長期の使用中に湿気で部品が劣化して

異常破裂する結果」をNYTはいち早く調査報道、日本のメディア

はNYTの引用で済ませる体たらくでした。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41488

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40961

≪F氏のコメント》
この「タカタ問題」は米国でホンダ車のエアバッグで人的損傷が発生して以来、NYT本社と東京支局の田淵広子記者がこの数年執拗に被害者とメーカーに密着して調査、報道してきたものです。

2008年頃から膨張ガスを発生させるインフレーター関連の不具合が相次いで判明、米国とマレーシアでインフレーターの金属片による死亡事故も発生、2008年11月から断続的にリコール。米国で判明した限りで8名が死亡、100人以上の負傷、この5月には米当局と3400万台の追加リコールで合意、5/25の株主総会で初めてタカタ本社の社長兼会長が謝罪しました。

見事なのは、社内のテストで、長期の使用中に湿気で部品が劣化して異常破裂する結果が出ていることをNYTは、早期に現地従業員より情報収集しています。調査報道のお手本の様な切り込み方でした。

ここでも、エアバッグ世界シェア40%、世界2位とは言え、納入先のホンダを始め大手自動車メーカーの意向を常に気にする極めて日本的な部品業者
のもたれ合い意識と、主要納入先のホンダなどの優柔不断がここまで事態を悪化させたと言えます。

米国消費者の権利意識、米国道路交通安全局(NHTSA)や公聴会の強硬姿勢、などを考慮するとホンダとタカタは双方の技術力を結集して、原因究明と対象車種の特定を早期に行い、機先を制した、対策と補償の発表を行うことが出来たはずです。

サラリーマン社長の限界(腹の無さ)と完成車メーカーへの日本的な気兼ねがここまで事態を最悪なものにしたと思います。成り行き任せの茫然自失状態、リーダーの無責任状態、加害責任の押し付けっこ状態が時間を空費しました。

この牧野洋氏の指摘通り、あれほどNYTが立て続けにタカタ・エアバッグ問題に警鐘を鳴らしても日本のメディアは暫く音無の構え、すべての報道が自主的な調査ではなく、NYTの引用で済ませる体たらくでした。
牧野氏の主張に対する日本のメディアの反論を伺いたいものです。

完成車メーカー、部品メーカー尊重の視点、消費者擁護の視点の欠落と言われても仕方がありません。本当に噴飯もので、ガッカリさせられます。

田淵記者はNYT本社の経済部に異動されたそうですが、本件、ジャーナリストの鑑の様な活動をされたと思います。事件の重大性から考えますと、ピューリツアー賞のファイナリストに残るのでは?

タカタ会長がリコールで初会見、「問題対応が責任」辞任を否定

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P51GC20150625

タカタ社長、引責辞任は否定 「対応し安全を提供する」

http://www.asahi.com/articles/ASH6T5GJXH6TULFA02N.html

 

 - 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本メルトダウン脱出法(847)『今春闘で賃金抑制なら日本の成長はない』『バフェット氏:大統領選候補者の暗い米経済見通し、「完全な間違い」』●『米専門誌が選ぶ「最高の車」、日本の5メーカーがトップ10入り』●『第2次大戦前夜にそっくり!ー米国離れが加速する世界情勢』

 日本メルトダウン脱出法(847)   今春闘で賃金抑制なら日本の成長 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(181)記事再録/★『高橋是清の国難突破力(インテリジェンス)①』『2014年現在の直面する5大国難は?!』ー 「福島原発の処理問題」「迫りくる大地震」「1000兆円突破 の国家債務」「急速に進む超高齢化・人口激減・少子化・ 認知症800万人」など、国難は複雑性を増している。 リーダーと同時に国民全体のインテリジェンス が求められる。』★『 「国、大なりといえども、戦いを好む時は必ず亡ぶ。国、平和といえども戦いを忘れた時は必ず危うし](史記)』

 2014/09/18/日本リーダーパワー史(524)(高橋是清のケー …

no image
   ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」➂ 1902(明治35)年2月14日『英タイムズ』-『日英同盟の意義』●『日英同盟がイギリス植民地、米国で受け入れられたことは,極東,太平洋と南洋全域,進歩を阻んできた嫉妬と誤解を解消していく。』★『中国に味方する者の多くは,日本は革命国家で,わけのわからぬ,他人に言えぬ意図を秘めた国家と見てきた。だが、日英同盟にそうした警戒感は消えていくだろう』

               ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同 …

日本リーダーパワー史(641) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(34) 明石元二郎のインテリジェンスー対ロシア破壊工作をどのように進めたのか 『明石工作」(落花流水)の全容ーレーニンは協力者となったのか⑤

日本リーダーパワー史(641) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(34)   …

no image
速報(11)『日本のメルトダウン』(3・11)を食い止める!17日目ー福島原発東芝元設計部長のコメントほか、情報

速報(11)『日本のメルトダウン』(3・11)を食い止める!17日目 福島原発東 …

世界を変えた大谷翔平「三刀流(投打走)物語⑦」★『Shohei Ohtani fever is really heating up in Angel Stadium』★『大谷が自己の可能性を信じて、高卒 即メジャーへの大望を表明し、今それを結果で即、示したことは日本の青年の活躍の舞台は日本の外、世界にこそあることを示唆した歴史的な事件である』★『大谷絶賛の嵐 A・ロッド氏「メジャーが高校レベルに…」』

    2018/04/04 『F国際ビジネスマン …

『百歳学入門(215)』100歳時代の世界のシンボル・ギネス芸術家・平櫛田中(107歳)の長寿パワー(気魄・禅語)に学ぶ』★『悲しいときには泣くがよい。つらいときにも泣くがよい。 涙流して耐えねばならぬ。不幸がやがて薬になる』

  記事再録/2010/07/31 日本リーダーパワー史(77) 『超 …

no image
日本世界史応用問題/日本リーダーパワー史(273)-『ユーロ、欧州連合(EU)の生みの親の親は明治のクーデンホーフ光子(青山光子)①』

  記事再録/2012/07/01 / 日本リーダーパワー史 …

no image
速報(92)『日本のメルトダウン』『原発事故処理「最終的には数十年単位」 首相が見通し,10年後に燃料取り出し>

速報(92)『日本のメルトダウン』   『原発事故処理「最終的には数十 …

日本リーダーパワー史(925)人気記事再録『戦時下の良心のジャーナリスト・桐生悠々の戦い②』★『権力と戦うには組織内ジャーナリストでは不可能とさとり、フリージャーナリストとして個人誌「他山の石」(いまならSNS,ブログ)で戦った』★『言論機関は今、内務省と陸軍省の二重の監督下にある。私たちは『三猿』の世界に棲む。何事も、見まい、聞くまい、しやべるまいむ否、見てはならない。聞いてはならない。しやべってはならない「死の世界」に棲まされている』★『「言論の自由を圧迫し、国民をして何物をもいわしめない。これが非常時なのだ」』★『「畜生道に堕落した地球より去る」と 69 歳で壮絶死』

2010年1月26日  日本リーダーパワー史(34) 日本リーダーパワー史(34 …