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速報(58)『日本のメルトダウン』『放射能汚染水(殺人水)の海への流出を防げー梅雨と台風で困難な状況が続く』

   

速報(58)『日本のメルトダウン』
放射能汚染水(殺人水)の海への流出を防げ-
梅雨と台風の季節がきて
困難な状況が続く』
 
  たんぽぽ舎【TMM:No1097】の『地震と原発事故情報 その82』より転載
山崎久隆氏

汚染拡大防止はもはや限界

 関東以南は梅雨入りし、台風二号が発生。今週末から来週にかけ、本州北部に再接近と予報されている。とうとう梅雨と台風の季節がやってきた。大量の雨は原発敷地内部の放射性物質を海に流し込んでしまうだろう。いまから汚染を止める土留めが作れるとも思えない。時間はどんどん経っていくのに有効な手段はほとんど取れてない。

 たとえ福島第一原発の中でどんなに献身的に被曝を覚悟で冷却作業を行っていても、大量の放射能漏れを止める有効な手段は資材も労働力も限られた中で実行できるはずも無い。どだい無理な注文を、安全な東京都内からただ指示を飛ばしているだけの対策本部。一分でも早く舞台から去って欲しい。

かわりに、放射能漏れ対策に特化した工程表をつくり、土木工事のできる作業員を動員して実行すべきだ。そのためには徹底した被曝管理を行う。まず最初に必要なのは、地上の汚染物を一気に片付ける「除染作業」だろう。実行可能かと言われれば無茶苦茶困難なのは事実だ。しかしこれをしなければ取り返しの付かない
汚染を地下水系と海にもたらすことだけは間違いない。

タンカーと使用済燃料輸送船を使って放射能液流出を防げ
 敷地内の建屋に溜まる汚染水は、集中廃棄物処理等に送り続けてきたが、予想されたとおり建屋が破損し始めている。プールではあるまいに何万トンもの水を支えられる強度など元々無い。単に防水コンクリートを使って補修をしただけの建物内部に流し込んでいるだけだ。そのうえ、もともと浮けば良いという強度しか無いメガフロートを持ってきたようだが、これも破損して沈む危険性が高い。台風の荒浪に耐えられると本気で思っているのだとしたら、もはや常軌を逸しているとしか言いようが無い。
 
大量の汚染水を搭載したまま沈没したら、その汚染濃度は一気に太平洋に拡散し、東日本太平洋岸の沿岸漁業は壊滅、遠く北方四島から千島列島を経てアリューシャン、カナダ、米国、ハワイ、もう想像を絶する汚染の広がりとなるだろう。わずか520トンの高レベル廃液が4月1日から6日にかけて流出しただけで、4700兆ベクレルもの放射性物質を流出させたとされる。これにしても相当な過小評価だと思う(セシウムとヨウ素だけの線量であり、他の放射性物質が測定されていない。)が、今度は万トン単位の汚染廃液だ。一体何ベクレルとなるのか。地下に溜まっている汚染水は放射線量が高くて近づくことさえ出来ないという。

 この汚染水は再処理工場の高レベル放射性廃液なみの危険物だ。これを何ら遮蔽強度の無い建屋などに溜めることなど普通は考えられない。

 まず緊急で派遣できるのはタンカーだ。あまり大型だと専用港には入れないから、数万トンサイズを複数用意することだ。それ以外には使用済燃料輸送船だ。各原発から再処理工場に使用済燃料を運ぶために作られた。

座礁や衝突による海洋汚染を防止するため、どちらもダブルハル構造になっているし、もともと液体を搭載する設計になっているタンカーと、火災に遭遇した場合に備え船倉を水没させることが出来る設計になっている使用済燃料輸送船が、このような危険な廃液をとりあえず貯蔵しておくためには使用可能な設備だ。直ちにタンカーと輸送船を動員し、廃液を原発敷地から一次撤去することが、汚染の流出を防ぐためにも、作業環境を考えても、緊急に必要なことだ。


水留めのコンクリートと津波防壁を

 作業環境が改善されたら、すぐに建屋周辺を深さ20 – 30m掘り下げ、耐水コンクリートと矢板をつかった水溜のピットを作る。

 既に圧力容器はもとより格納容器も破壊され、建屋コンクリートも地震の影響と漏えいした燃料の成分で破壊が進んでいると見るべきだろう。そうでなければ5、6号機の地下に溜まっているような大量の地下水に放射能が混入するはずが無い。この汚染の拡大を止める方法は、いまのところ原発内部からは手の打ちようが無い。

もはや手遅れだが冷却水の投入を止め、鉛を送り、使用済燃料の残留熱で溶かしてコーティングし、流出を減らすなど考えられる。しかし中に溜まっている汚染水をすぐに減らすことは出来ない。その前に、汚染水をなんとしても建屋から外に流出させてはならない。

 そこで、1 – 4号機の建屋周辺に深さ30mほどの鋼鉄製矢板を打ち込み、流出を簡易的に止め、その矢板に沿って溝を掘削してコンクリートを流し込み、さらにピットから地下水をくみ上げるポンプを出来るだけ多く設置することが重要だ。こうすれば地下水は施設の外から内側に流れるようになり、汚染流出を減らすことが出来るだろう。

 しかしこういう対策をしても、ひとたび津波が襲ってくればひとたまりも無いだろう。
そのために、緊急工事で同時に津波防壁を作る必要がある。タービン建屋と海を物理的に隔離する必要があるのだ。
 同時に耐震補強も早急にしなければならない。これら工事を阻んでいるのが、大量の汚染水の存在とがれきの存在なのだから、まずその対策を最優先すべきなのだ。

 
●「日本より怖いインド流「デタラメ」原発」

『ニューズ・ウイーク』2011年05月16日(月)12時52分
<電力不足に苦しむインド政府は世界最大の原発建設に意欲を燃やしているが、管理体制も規制機関も問題だらけ>
 

 - 現代史研究 , , , , , , , , , ,

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