前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(83)『敦賀原発2号機、廃炉の運命(5・24)』●『廃炉の運命、鈴木原子力機構理事長辞任(5・20)』

      2015/01/01

 池田龍夫のマスコミ時評(83)

 

◎『敦賀原発2号機、廃炉の運命免れず(524)

●『 山本有三と憲法制定時の熱気(522

●『高速増殖炉もんじゅは、廃炉の運命鈴木原子力

機構理事長辞任の波紋(5・20

 

ジャーナリスト 池田龍夫

 

       敦賀原発2号機、廃炉の運命免れず(524)

 

 原子力規制委員会は522日の定例会議で、日本原子力発電敦賀原発(福井県)2号機直下を走る断層を「活断層」と断定した有識者会合の報告書を了承した。

 日本原電側はこれまで「活断層ではない」と強く反論してきたが、規制委は「得られたデータから十分判断できる」と突っぱねていた。現電側はなお納得せず、6月まで独自調査する構えだが、規制委判断を覆すのは極めて難しく、2号機は廃炉せざるを得ない状況に追い込まれた。原発立地の断層について、規制委が「危険な活断層」と断定したのは敦賀原発が初のケース。現在唯一稼動中の大飯原発34号機の本格的断層調査も行う予定で、成り行きが極めて注目される。

 なお規制委は、敦賀2号機の建屋内プールには使用済み核燃料が1000体以上保管されているため、冷却水が失われた場合の影響評価を早急に実施するよう指示する方針だ。

 政府が安全性評価を託した独立機関「規制委」の判断がますます重要になってきた。

 

 

     山本有三と憲法制定時の熱気(522

           

 憲法改正をめぐって論議が高まっている折、「憲法への熱い思いを語った山本有三の随筆」を手掛かりに、毎日新聞520日付夕刊2面(特集ワイド)で興味深いエピソードが紹介された。鈴木琢磨記者が古本屋で、憲法にまつわる有三の随筆集「竹」を見つけたのがきっかけ。1946NHKでその一部が紹介され話題になったという。

「春の末から夏になると、わか竹がすくすくと伸びてゆきます。子のほうが、親よりも立派なものになってゆくのは、私には嬉しいことの一つです」と語っている。さらに同年113日に公布された新憲法について、朝日新聞に「…裸より強いものはないのである。あなた方は、これからの日本をしょって立つ人々である。もし道を誤ったならば、日本はどんな事にならないとも限らない」との一文を寄せている。

 有三は、内閣法制局の依頼で、前文から9条までの草案を書き上げた。現憲法はこれを下敷きにしているという。新憲法に託す有三の熱い思いに、深い感銘を受けた。

高速増殖炉もんじゅは、廃炉の運命鈴木原子力機構理事長辞任の波紋(5・20

 
高速増殖炉もんじゅを管理する、日本原子力開発機構の鈴木篤之理事長5月16日,所管する文科省に出向き、「今までの責任をとる」と申し入れ、辞意を伝えた。下村博文・文科相は17日の閣議に報告したあと辞任を受理した。

 「1万点近いもんじゅの機器などで点検を怠るなど安全管理が不十分だ」として、原子力規制委員会から改善命令が指摘されていた。

 

        1万点に近い機器点検を怠る

 朝日新聞17日付夕刊は、「もんじゅの点検をめぐっては、2010年以降で9847個所の点検漏れが見つかった。

規制委は原子炉等規正法違反として、管理体制の改善命令を出すことを決め、改善されるまで再起動の準備を認めない事を決定、16日に鈴木氏を呼び、処分内容を伝えた。鈴木氏は昨年12月、池田克彦原子力規制庁長官に改善策を出すよう指示された際『事故は起こり得るもので、形式的ミスが出るのはやむを得ない』と発言。

安全に対する意識が低いとして、規制委の田中俊一委員長があまりにも不適切だ」と批判した」と報じた。多くの点検ミスを重ね続けた責任は重大である。

 

       「核燃料サイクル」の見直しを

 毎日新聞16日付社説は「もはや廃炉しかない」との見出しで、厳しく批判している。

 「使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、高速増殖炉で燃やす核燃料サイクル政策は破綻していると主張してきた。今回、その要の施設となる『もんじゅ』を担う組織の安全文化の劣化も明らかになってきた。

安倍晋三首相は核燃サイクルの継続を明言しているが、政府はもんじゅを速やかに廃炉にするとともに、核燃サイクルの巻く引きを急ぐべきである。もんじゅは運転開始直後の1995年、ナトリウムが水と反応して激しく燃えるなど、制御や事故時の対応が難しい。
14年半後の20105月に運転を再開したが、今度は核燃料交換装置が炉内に落下する事故を起こし、再び停止した。敷地内には活断層が存在する可能性も指摘され、規制委が今後、現地調査をする予定だ。1兆円の予算が投じられたにもかかわらず、実用化の見通しは立っていない。停止していても、維持費など年間200億円かかる。先進国の多くは、技術的な難しさなどで開発から撤退している」

――1度も発電せずに事故続きのもんじゅの命脈は尽きた、と判断すべき時期だ。

 青森県六ケ所村核燃料処理工場の存在理由もなくなったと見るべきだろう。使い先のないプルトニウム(MOX燃料)貯まるばり。核兵器にも利用できるプルトニウムの蓄積は危険きわまりないと、米国など各国から警戒の声が上がっている実態を放置できない。

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 - 現代史研究 , , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
池田龍夫のマスコミ時評(88)◎『菅元首相が、安倍現首相を名誉毀損で訴え- 海水注入の是非をめぐって(7・19)』など

   池田龍夫のマスコミ時評(88) ◎『菅元首相 …

no image
産業経理協会月例講演会ー2018年「日本の死」を避ける道は あるのか-日本興亡150年史を振り返る② 

 <産業経理協会月例講演会> 2013年6月12日  201 …

no image
世界、日本メルトダウン(1017)ー「トランプ操縦の『エアホースワン』は離陸後2週間、目的地も定まらず、ダッチロールを繰り返す」★『仏大統領選 ルペン氏が首位 左派アモン氏低迷 世論調査』→『トランプ大火災は「パリは燃えているか」(第2次世界大戦中のヒトラーの言葉)となるのか!

  世界、日本メルトダウン(1017) トランプ操縦の『エアホースワン』は離陸後 …

no image
日露300年戦争(3)『露寇(ろこう)事件とは何か』―『普通の教科書では明治維新(1868年)の発端をペリーの黒船来航から書き起こしている。 しかし、ロシアの方がアメリカよりも100年も前から、日本に通商・開国を求めてやってきた』

  『元寇の役』に継ぐ対外戦争『露寇事件とは何か」   普通の教科書で …

no image
『日本敗戦史』㊲『徳富蘇峰が語る『なぜ日本は敗れたのか』➂ 大正から昭和の日本政治は乱脈、無能、無責任であった。

『ガラパゴス国家・日本敗戦史』㊲   『来年は太平洋戦争敗戦から70年目―『日本 …

no image
 ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑥1902(明治35)年2月19日『ノース.チヤイナ・ヘラルド」『日英同盟の内幕』●『西太后が信頼した外国は①米国②日本➂英国で『日本は血縁関係の帝国同士で、 中国に対する友情をもって決して外れたことはない』★『袁世凱とその同僚の総督たちは日本派で日英同盟を 結ぶようイギリスに働きかけた。』

 ★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑥   …

no image
 世界、日本の最先端技術『見える化』チャンネル ★5『中国溶接・切断ロボット業界の最新動向』- 『 溶接・切断の国際的な専門展示会として、アジア最大規模の 「北京エッセン溶接・切断フェア」(6/14―17)の最新レポート』●『安川電機を筆頭に、ファナック、川崎重工業、不二越、 自社製の溶接機と各種溶接ロボットを 組み合わせたソリューションを提供するダイヘン、 パナソニックの全6社が出展。

 世界、日本の最先端技術『見える化』チャンネル ★5『中国溶接・切断ロボット業界 …

no image
速報(393)『日本のメルトダウン』●『アメリカとEUが夢見る巨大な自由貿易圏』●『”アベノミクス”への熱狂と警戒〈後編〉』

  速報(393)『日本のメルトダウン』   ●『アメリカと …

no image
新刊発売『日露インテリジェンス戦争を制した天才参謀・明石元二郎大佐』(前坂俊之著、新人物往来社、1600円)

  『日露インテリジェンス戦争を制した天才参謀・ 明石元二郎大佐』(前 …

no image
速報(361)『日本のメルトダウン』「日経の『温家宝首相 親族の「錬金術」報道●『底知れぬ中国共産党権力の腐敗構造~

速報(361)『日本のメルトダウン』     ●「日経の『温 …