前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『ガラパゴス国家・日本敗戦史』㉙『来年は太平洋戦争敗戦70年目<アジア・太平洋戦争での全体の犠牲者も 十分調査されていない

      2021/04/25

·          

 『ガラパゴス国家・日本敗戦史』㉙

 


『来年は太平洋戦争敗戦から70年目―

太平洋戦争と米国に命名された<アジア・太平洋

戦争>でどれだけの犠牲者、被害が出たのかも

まだ十分調査されていないー

無視され続けたアジア・太平洋戦争の全被害』

南京虐殺、東京大空襲、広島・長崎原爆、

従軍慰安婦の犠牲者・被害者など以上に

全体的被害の実態を把握する必要がある①

 

 

                前坂 俊之(ジャーナリスト)

 

 

 ここではポツダム宣言から敗戦までの約3週間で、日本政府は国体護持だけに時間を空費して、国民の犠牲は顧みず原爆投下、空襲の市民の犠牲、住宅家屋の財産被害などの出し続けた数字を明らかにする。

『ガラパゴス国家・日本敗戦史』の連載でも見たが、天皇国家の保持(護持)のためのみに、延々と決断できない会議を続けて、市民を犠牲にし続けた<非民主主義国家、軍国主義国家(市民の命を大切にしない、人命無視>の数字を見ていく。

 

(4)【太平洋戦争中での日本人の戦争犠牲者数】

 

 延べ1000万人の兵士が戦争に参加し、失われた兵士数は約200万、非戦闘員まで含めると約300万の人命が失われた。焼失住宅戸数は310万戸。太平洋戦争における日本側の死者はー陸軍戦死者数:約144万人・海軍戦死者数:約 42万人・軍属:約  95千人

・一般国民:約 69万人・合計:約250万人

 

 

●驚くべきことに、日本の戦争の実態は日本兵が米軍の弾丸に打ち抜かれて戦死して負けたのではなく、大半の兵士の餓死、病死、玉砕(自殺、特攻隊)で無意味に自滅していった戦争であった。

 

世界の戦史史上、これほど無謀で愚劣で非科学的な戦争を行った国はいないし、戦争指導者、国家のリーダーの徹底した無能ぶり、無責任ぶり、インテリジェンスのなさを示したケースもない。

 

この「失敗国家日本」の制度・システム欠陥は真に改善されてきたのか、をみると、現在日本の政治・行政・統治システムも戦前とさほどかわっていないことがわかる。

 

「民は知らしむべからず、依らしむべし」というほんの数年前まで、封建時代からの愚民政策がまかり通り、「お上」(行政)のやることには民衆もおとなしくタテつかない。戦後60数年間、政権の交代がなく、実質自民党の一党支配が続いたような国は世界中見渡しても社会主義国ではわずかにあるが、先進国では日本以外にない。

 

憲法に明記されている国民主権は確立されておらず、政治は戦前同様に国民への説明責任を全く果たしていない。戦前の軍組織と同じ独善的な中央集権の官僚システムを政治家はシビリアンコントロールできず、1985年以降、政治、経済、金融、防衛、外交の全分野の運営で、政策の全面失敗、連続失政、全面敗北を招いている。

 

公共事業による景気を拡大するという経済失政(オウンンゴール)を続けて、1000兆円という国の借金を膨らませ続けて、今や国家破産に近づきつつある。≪2008年執筆のまま)

 

戦前は戦争によって国家破産し、今は経済、政治、外交の
国家政策運営の失敗で2度目の国家破産が間違いなく迫りつつある。
2008年時の執筆)

 

(5)≪日本軍戦死者の実に60%、140万が餓死者であった≫

 

一橋大学名誉教授・藤原彰氏の調査によると、アジア太平洋戦争における戦死230万人の内、その約六割、約140万人が「餓死」と推定している。

 

 その出典『餓死した英霊たち』(藤原彰著 青木書店)では「餓死」とは、栄養失調による「不完全飢餓」によって病気に対する抵抗力を失った結果としての戦病死をもふくむ広義の規定である。

「ガダルカナル島の場合、方面軍司令官は死者2万、戦死5千、餓死15千と述べている。ブーゲンビル島では、死者約2万はほとんど餓死。ソロモン諸島の死没者の四分の三にあたる 66千名が餓死したと考えられる」。 「厚生省の調査では、東ニューギニアの戦没者は127千。いずれも死者の九割以上、実に114840名が餓死だったとしている。 インパール作戦をふくむビルマ方面軍でも死者の78%、145千人かそれ以上が餓死者と推定。中部太平洋では、サイパン、グアム、テニアン、ベリリューなどの諸島では日本軍は上陸した米軍と戦って「玉砕」した。全体では12万以上が病死・餓死していたと見られる。 日本軍が最も多くの死者を出したフィリピン戦線で、8割の40万人が餓死と推定。中国戦線での死者は455千だが、栄養失調に起因するマラリア、赤痢、脚気などによる病死者は死因の三~四割を占める。中国戦線での全死者の約半数が栄養失調にもとづく病死であり、22万以上である

 

合計では 1,276,240名に達し、全体の戦没者2,121,000名の60%強。77年以後の戦没軍人軍属230万という総数に対して換算すると 140万前後が戦病死者、そのほとんどが餓死者ということになる」と結論づけている。

 

 

                                    つづく

 

 

 

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究 , , , , , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本リーダーパワー史(702) 日中韓150年史の真実(8)山県有朋首相は『国家独立の道は、主権線(日本領土)を守るほかに利益線(朝鮮半島)を防護すること」と第一回議会で演説したが、これは当時の国際法で認められていた国防概念でオーストリアの国家学者・シュタインの「軍事意見書」のコピーであった。

日本リーダーパワー史(702) 日中韓150年史の真実(8) 「福沢諭吉の「日中 …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ(74)』●「日本の死に至る総無責任病」ー「ノー」を突きつけた市民の良識(検察審査会)

     『F国際ビジネスマンのワールド …

no image
速報(289) 『日本崩壊は不可避か?ー『日本政治と中国』『日中歴史ねじれ問題』を斬るー ディープ座談会』(80分)

速報(289)『日本のメルトダウン』 ◎『日本崩壊は不可避か?『日本政治と中国』 …

no image
「みんなで『百歳学入門』へ・・・超高齢社会を元気に長生きする『長寿脳』を鍛えるために』

みんなで『百歳学入門』へ 超高齢社会を元気に長生きする『長寿脳』を鍛えるために …

★『オンライン講座・吉田茂の国難突破力⑧』★『吉田は逮捕され40日間拘留された』★『日本人の国民性の欠点ついて「重臣たちも内心戦争に反対しながら、はっきり主張せず、後になて弁解がましいことをいう』★『吉田はジョークの達人』★『「いまの代議士はポリティシャン(政治屋)で、ステーツマン(国士、本当の政治家)ではありませんよ」

2021/10/02  「オンライン・日本史決定的瞬間講座⑦ …

『オンライン/長寿歴史学講座』★「渋沢栄一(91歳)の公益資本主義」★『なぜ、いま渋沢栄一なのか!?。―時代の大転換期に求められるリーダーの先駆者として渋沢哲学とその巨大な業績が見直されているのではないか、』

   「渋沢栄一(91歳)の公益資本主義」   今、世界は「新型コロナ …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(78)◎『「第2の国会事故調」を作れ(2・22)●『ボーイング787機生産ストップの波紋(2・20)

  池田龍夫のマスコミ時評(78)   ◎『「第2の国会事故 …

no image
名リーダーの名言・金言・格言・苦言・千言集(16) 『“ダム経営”を行え』(松下幸之助)『朝令朝改をせよ』(盛田昭夫)

<名リーダーの名言・金言・格言・苦言 ・千言集(16)            前 …

no image
★日本の最先端技術「見える化」チャンネル/「今、最も注目される<未来のメガネ>ウエアラブル「b.g」がよくわかる動画」『ウエアラブルEXPO2019』(1/16)ーメガネスーパーの無限の可能性を秘めた未来のメガネウエアラブル「b.g」

日本の最先端技術『見える化」チャンネル 『ウエアラブルEXPO2019』(1/1 …

長寿学入門(218)★人気リクエスト記事再録『2025年問題の解決に向けて「団塊世代は元気な百歳をめざそう』★『長生きの秘訣は若い医者や研究者よりも百寿者(センテナリアン)にこそ聴け』★『「おじいちゃん、おばあちゃんの口癖こそ長寿の秘訣の宝箱ですよ』

100歳現役学入門―団塊世代は元気な百歳をめざそう,<健康長寿の秘訣はこれじゃ> …