前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本メルダウン脱出法(648)「中国のアジア開銀(AIIB)参加問題で、日本は米国に追随し、外交失敗をするか、近衛外交<中国は相手にせず>の二の舞を踏むのか

   

 

   日本メルダウン脱出法(648)

「中国主導のアジア開銀(AIIB)参加問題で、日本のみが米国に追随するのかー

昭和戦前の「近衛外交<中国は相手にせず>の失敗」を教訓にせよ

前坂俊之(ジャーナリスト)

 

①  「中国主導のアジア開銀(AIIB)問題は米中の2大覇権国の熾烈な経済戦争である。
今後数年以内には中国がGDPでは世界一になる。「今年にもGDPで米中逆転? 「脱成長」路線で水を
開けられる日本」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7850

これにともない日中のGDP差は2030年には中国の6分の1になる。(米国は中国の7割)

http://www.pwc.com/jp/ja/japan-news/2015/world-in-2050-150227.jhtml

  • つまり、中国が世界1の経済覇権国にかけ上り、日本をはるかに抜き去って、トップの米国をまもなく追い抜く勢いなのである。中国の躍進と「米国の落日」と「日本の一層の衰退、じり貧からどか貧へ」を目の当りにしていたヨーロッパ先進各国が「勝負あった」とばかりに軒並み、勝ち馬「中国」にのり、オーストラリア、韓国も当然、参加を表明しただけの話である。外交とは「実」をとること、安保防衛外交よりは経済外交が貿易外交が主なのである。
  • 一方、昔から鎖国島国の日本は外交力のない国、インテリジェンスのない国なのである、特に「多国間外交」には弱い国である。徳川時代は「オランダ」のみとの通商関係、明治の「日英同盟」、昭和戦後の「日米同盟」などの1国外交ですませて、重要な「多国間外交」には無頓着で、戦前の「ジュネーブ軍縮会議」「ロンドン軍縮会議」「国際連盟脱退」、戦後では「国連常任理事国問題」など、外交失敗の連続である。
  • 安倍内閣もこの外交下手を引き継いでいる。「中国と仲良くやりたい」という気持ちは十二分に理解できるが、「中国との戦略互恵関係外交」「積極的平和外交」を掲げて世界中にアピールし、その一方で「日米同盟の強化」「経済連携の強化」により一層踏み出した結果、「中国敵視政策」「中国包囲網構築」と受け取られて、日中韓の首脳会議はデットロックに乗り上げた。アジア開銀(AIIB)問題についても米国の意向に服従し、独自の経済外交を展開できない、自縄自縛に陥っている。

近衛外交<対支那政府は相手にせず><日独伊3国同盟締結>の失敗は大きな教訓となる。

近衛外交の失敗が日米戦争の導火線になったのである。「中国とも米国とも仲良くやりたい」という近衛文麿の意に反して,国内ムードは「暴支膺懲」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%B4%E6%94%AF%E8%86%BA%E6%87%B2

一色に染まり、「八紘一宇」(今のムード、日本のものが1番よいとする自画自賛のテレビ番組のオンパレード)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%B4%98%E4%B8%80%E5%AE%87

「大東亜共栄圏」

を唱え

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%9D%B1%E4%BA%9C%E5%85%B1%E6%A0%84%E5%9C%8F

「日中戦争は日本の1撃で、勝てる」と中国を見誤った近衛外交、陸軍の暴走で「援蒋ルート(蒋介石

援助するためのルート

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8F%B4%E8%92%8B%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88

を攻撃したため、英米ソ連を中国側の味方につける結果となり、「孤立無援」で太平洋戦争に追い込まれ、「国力、資源力100倍の米国」との負ける戦争に「清水寺から飛び降りる勇気を持て」(東条英機首相の言葉)と「見切り発車」したのである。

  • これと比べると、今回の図式は「アジア巨大経済市場」(世界のGDPの半分を占める)をめぐる覇権争いで「米日」対「中国」(ヨーロッパ各国は参加)との綱引きで、今回の各国の態度で、この勝負の行方は明らかではないか。ところが、日本はいつもの「リーダーシップの欠如」(君子は豹変せず)「判断停止」「不決断」「結論先送り」「他者見合い」で、「バスに乗り遅れ」ているのである。

◎[田村秀男]【チャイナ・マネーで軍拡続ける中国の脅威】~人民元が第3の国際通貨に?~http://japan-indepth.jp/?p=16281

 

 - 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日米の歴史コミュニケーションギャップ・相互理解の難しさ①<ー1860年の日米通商条約から150年目―>

日米の歴史コミュニケーションギャップ・相互理解の難しさ① <ー1860年の日米通 …

no image
日本リーダーパワー史(640) <ロシア通第一人者の田中義一は日露戦争勝利に貢献。帝政ロシアの封建的軍隊をみて、日本陸軍の「良兵即良民」化に取組み、在郷軍人会を組織した④

  日本リーダーパワー史(640) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(33)  …

no image
日本のメルトダウン(535)オバマ大統領来日、「2泊3日」の裏にある外交駆け引き」「中国が13年の貿易額が世界一に423兆円、米国を抜き

 日本のメルトダウン(535)   【永田町・霞が関インサイ …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(233)』-『Shohei Ohtani fever is really heating up in Angel Stadium』★『大谷が自己の可能性を信じて、高卒 即メジャーへの大望を表明し、今それを結果で即、示したことは日本の青年の活躍の舞台は日本の外、世界にこそあることを示唆した歴史的な事件である』

『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(233)』 Shohei …

『おとなの世界ぶらぶら写真日記』★『死海(Dead Sea)、30 年ぶりの浮遊体験』ー平均1年、1mのペースで湖面が低下している。

   2016/03/09  &nbsp …

『オンライン講座/今、日本に必要なのは有能な外交官、タフネゴシエーターである』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテリジェンス①>★『日露戦争開戦の『御前会議」の夜、伊藤博文は 腹心の金子堅太郎(農商相)を呼び、すぐ渡米し、 ルーズベルト大統領を味方につける工作を命じた。』★『ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の世界最強のインテジェンス(intelligence )』

    2017/07/24 記事再録 ★ 明治裏 …

no image
『戦争(想定外の津波、地震)で原発が破壊されたらどうなる(上)』-4年前の元原発技術者の警告

『津波、地震(想定外の戦争)で原発が破壊されたらどうなる(上)』- 4年前の元原 …

「終戦70 年」ージャーナリスト高杉晋吾氏が「植民地満州国の敗戦地獄」の少年体験を語る(3/3)

「終戦70 年」歴史ジャーナリズム)ージャーナリスト高杉晋吾氏が 「植民地満州国 …

no image
日本メルトダウン(939)『ブラジル女子柔道 ラファエラ・シルバの金メダルは日本の勝利でもある』●『戦後、焼野原の日本はこうして財政を立て直した 途方もない金額の負債を清算した2つの方法』●『ディープラーニングの進化は 効率的でストレスのない社会を実現する』●『 蓮舫氏は「第2の土井たか子」になるのか 社会党と同じ自滅の道を歩む民進党』

 日本メルトダウン(939)   ブラジル女子柔道 ラファエラ・シルバの金メダル …

『安倍・トランプ蜜月外交を振り返る①』★『日本リーダーパワー史(979)ー『トランプ米大統領は2019年5月25日夕、令和初の国賓として来日した』★『140年前、日本初の国賓として来日したグラント将軍(元米大統領)が明治天皇にアドバイスした内容とは何か(上)』

    2019/06/16 日 トラン …