前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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<1時間でわかる超大国中国の謎と対日感情>動画座談会ーチャイナウオッチャー・松山徳之氏から聞く

   

<1時間でわかる超大国中国の謎と対日感情>
 
★★お勧め(動画座談会と深層レポート)
『チャイナウオッチャー・松山徳之氏から最新中国の
光と影とディープ情報を聞く』
 
                   前坂 俊之(ジャーナリスト)
 
<動画座談会3本>
 
●『中国最新・深層情報ー上海在住ジャーナリスト・松山徳之氏から聞く①』(23分)―上海での庶民生活―
 
●『中国最新・深層情報ー上海在住ジャーナリスト・松山徳之氏から聞く②』(25分)―新幹線事故が中心話題―
 
●『中国最新・深層情報ー上海在住ジャーナリスト・松山徳之氏から聞く③』(30分)―もっと恐ろしい欠陥原発100基建設―
 
松山徳之氏(まつやま・とくゆき)は1952年、長野県生れ。証券会社から専門紙記者に転進。フリーライターを経て『週刊エコノミスト』記者となり別冊『中国ビジネス』を­創刊して活躍。2007年夏から仕事の舞台を完全に上海に移し、中国人のアパートに住んで、中国人の生活感覚に合わせて、中国経済の実態、日中のビジネス感覚、中国の庶民­社会ウオッチャーとして日本の雑誌に数多く執筆、高く評価されている。
梶原英之氏は毎日新聞経済部記者、エコノミストデスクなど歴任、ベテランの経済部記者で気鋭の経済評論家、上海、中国問題にも詳しい。前坂俊之は静岡県立大学名誉教授、元­毎日新聞情報調査部副部長、ジャーナリストです。
上海、中国ビジネスの内幕、日中ビジネスギャップ、中国経済事情などについて、上海での生活体験、取材を通じての仰天スクープを話す。
 
 
『中国の抱える3大リスク』
 
松山 徳之著
 
 
 筆者は「中国には三のリスクが潜んでいる」と答えている。それは前述のようなリスクとはやや異なる。しかもこの三つのリスクは、福島原発事故を契機に生じたといっていい。リスクが潜むところは、一つは「原発を含む巨大技術がもたらす社会」であり、二つ目は「民主主義への憧れ」である。そして三つ目は「一人っ子世代が招来する身勝手な社会の出現」である。東日本大震災、福島原発事故を見て、中国人が自分の国のあり方に目覚めた結果ともいえよう。
 
 
高速鉄道の建設を指揮した鉄道部長(大臣)の劉志軍と技術部門トップの張曙光が、高速鉄道の開通を待たず二月に逮捕された。劉が一億二四〇〇万㌦、張が三八億㌦の賄賂を手にした見返りに手抜き工事に目をつむったからだ。
 
 その結果、何が起こったか。二人の逮捕直後、中国は世界最速の鉄道と大宣伝していた時速三五〇㌔㍍の走行計画を変更し、時速三〇〇㌔㍍に減速して運転することにした。余りにも大がかりな手抜き工事だったために、新幹線の枕
木の安全が確保できないという噂があるとマスコミは伝えた。
 
 高速鉄道計画と原子刀発電所計画の共通点がお分かりだろ、わずか三年半で八三五八㌔㍍の敷設を実現した高速鉄道綱と、僅か二〇年間に一〇六基を計画する原発。誇りへの焦りが、賄賂まみれの不正工事の上に成り立つことにでも
なれば、事故の確立は高くなる。一度巨大事故を起こせばどうなるかは、日本の原発事故が何よりも教訓になるはずだ。
いま中国が急ぐ「巨大技術国家」への不安を募らせ始めているのは、それを牽
 引した官僚自身のほうである。
 
 本当の日本を知った形で見えた民主主義
 
 二つ目のリスク「民主主義への憧れ」を説明しよう。
 CCTV(中国中央電視台)が繰り返して流した廃墟となった街や、原発から昇る白煙の映像は、中国の人々に震災と原発事故の恐さを教えた。と同時に、炊き出しに秩序を保って整然と並ぶ被災者を映し出した。
 
 その結果、中国の新聞やネットには一時、日本人は凄い〟の言葉が続いた。「炊き出し、援助物資の配給で、秩序が保たれている」「火事場泥棒がいない」「便乗値上げが起こらない」などの文字が躍った。また、中国に住む日本人も、多くの中国人から見舞いや激励の言葉をもらっている。
 
 もともと中国人は愛国主義教育を受けているうえ、テレビの抗日ドラマで日本兵の残虐ぶりを叩きこまれているので、日本人を快く思っていないのが普通だ。しかも、半年前までは、尖閣諸島問題があって日中関係はギクシヤクしていた。さらに、中国人は「池に落ちた犬は叩け」という諺が遺伝子となっているほどで、日頃の生活の中でも他人の不幸に思いやりを示すことは絶対といっていいほどない。
 
 そんな中国人の「遺伝子」を断ち切ったかのように、東日本大震災では日本に思いやりを示したのだ。中国を客観的に語れる数少ないある中国人学者はこう説明してくれた。「政府に教えられてきた残虐非道な日本観と、CCTVに映し出されたありのままの日本との違いに、中国人が驚いた。その反動が日本応援になった」という。
 
 また、こうもいう。「中国人はいま、中国を大国だと思い始めている。ところが、小さな日本は大震災でも社会にモラルがあるのに、自分の国は官僚や共産党幹部が汚職に走り、社会にも誠実、親切、約束……といったモラルは消えて
いる。『中国はダメな国』と中国人自信が認識し始めたのです」と。
 
しかも、CCTVは中国人にとって信じ難い場面をも度々報道した。それは、菅首相が被災者の会場を素通りしようとしたとき、「もぅ帰るんですか」「無視するんですか」と、怒りをぶつけられた場面だ。
 
 中国人は「あんな発言をしたら即座に連行されて懲役刑になる」と、日本の言論の自由さに驚いた。また、総理との記者会見で「いつ辞めるんですか」と発言する映像に民主主義の片鱗を見て、羨芦を抱いたという人が少なからずい
 るという。
 
 中国の一般市民は民主主義自体を知らず、形として見たことがないというのが、中国にジャスミン革命は起こらないと見る人たちのほぼ共通した意見だ。しかし、CCTVは民主主義の一端を見せてしまった。しかも、言論封鎖されている中国人には、強烈な印象を残す場面を流してしまった。
 
世界が警戒すべきはl人っ子世代気質か
 
 三つ目のリスク「一人っ子世代」の到来する身勝手な社会の出現」を説明しよう。CCTVは日本の災害状況を詳細に伝えると同時に、震災直後から在日中国人の生活も伝え始めていた。三月下旬に入ると中国に帰国を急ぐ留学生などの動静に焦点を当てていた。が、そのような中で悲劇的な事件が起こった。
 
 かいつまんで、事件を説明しておこう。それは、四月一日に上海の浦東空港の到着ロビーで起こった。日本に留学していた南京出身の大学生(二五歳)が、出迎えに来た母親を刺し大怪我を負わせた。
息子との五年ぶりの対面に母親は喜んで出向いたのだが、息子が最初に発した言葉は「送金が少なくて、生活が苦しい」という怒りだ
った。
 離婚して五一歳になる母親は、「苦労して作ったお金で、これ以上は無理」と答えたが、この息子は聞く耳を持たず、母親を刺した。刺し傷は胃と膵臓に達したという。
 
 豊かな国になったとはいえ、子供を海外留学に送りだすのは男親でも大変なことだ。母親の毎月の収入は七〇〇〇元(約八万四〇〇〇円)。中国では恵まれた層だといわれるが、それでもこの収入から学費と生活費を送金するのは容易なことではない。母親は息子に苦労させまいと、請われるまま親戚をはじめ、友人知人に頼みこんで借金を重ねながら送金していたという。
 
 ところが息子は一人っ子政策で生まれた典型的な「「人っ子世代」で甘やかされて育った。日本ではァルバイトにも就かず、母親の苦労を思いやるどころか、「送金が少ない」というような人間だ。
 
 それでも一命をとりとめた母親は、「悪いのは私だ」と息子を庇ったというのだから始末に終えなし 親に溺愛されて育った若者は中国では珍しくない。一九七九年に始まった「一人っ子政策」で子供は小皇帝と呼ばれるほど溺愛され、
 その結果八〇后(バーリン ホウ)、九〇后(ジユウリン ホウ)……八〇年代、九〇年代生まれが成長するにつれ、中国社会は「身勝手で我億な世代の到来」と、危惧を抱き始めている。
 
 もっとも、大人は自身が共産党成立と文化大革命という二つの革命で、礼節や信義より、「カネが傘という人生を歩んできたから、子供に「カネの大切さをおしえても、礼節は教えられない」、さらに一人っ子政策もあって子供を大事に
するあまり、「子供を鍛える」という感覚が社会からも消えてしまった。
 
 しかも、中国の学校は知識教育一編等で、社会的責任やルールを守る大切さなどを教えていない。結果、若者は身勝手で我億な人格のまま社会に出ていく。
 しかし、一人っ子政策が続く限り、後には「○○后」(リンリンホウ)など小皇帝が誕生し続ける。自分勝手、我億が家庭の中に収まっているなら問題はない。ところが、今や「一人っ子世代気質」は国際政治の舞台でも迷惑を省み
ずに遺憾なく発揮されているのだ。
 
 「外交の舞台では人格、知識、胆力を基にした政治力が勝負である。ところが中国の外交官は個人の段階で身勝手な展開を平気で行い嫌われ者になっている」と、ある外交官はいう。
 
 東日本大震災で日本を見直し、また自国を考え直した中国人の中に、小皇帝がどれだけいるのかは不明だ。しかし、中国自体が危供しているのだから、これが、世界のリスクになる公算も高い。
 
 いずれにせよ、東日本大震災と原発事故を詳細に伝え続けたCCTV。下手な解説や説得よりも、ありのままを映し出した映像が、中国の人々に新しい変化を促したことは間違いない。もちろん、既存体制を維持したい中国政府にとっては、それが新たなリスクとなるはずだ。
 
(ニューリーダ,2011年8月号)

●『アメリカとドルに「ノー」と言い出した中国の秘めた決意――
モルガン・スタンレー アジア会長スティーブン・ローチ』
ダイヤモンドオンライン 【第6回】 201188
 http://diamond.jp/articles/-/13496?page=2

 
NAVERまとめ 2011081
http://matome.naver.jp/odai/2131216950332644201
NAVERまとめ 20110725
http://matome.naver.jp/odai/2131155683522081901
 
 
●『京大東アジアセンターニュースレターhttp://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/108387
 
●「京大東アジアセンターニュースレター (旧・「京大上海センターニュースレター」) 京都大学経済学研究科東アジア経済研究センター」
 

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