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『「申報」や外紙からみた日中韓150年戦争史」(73))『日本は朝鮮で,アイルランド問題に手を染めたようだ」『英タイムズ』

      2015/01/01

  

『「申報」や外紙からみた「日中韓150年戦争史」

日中韓のパーセプションギャップの研究』73

 

1895(明治28)年22 『英タイムズ』(日本の朝鮮問題)

 


「(日清戦争勝利後)『
日本は朝鮮において,アイルランド問題の
ようなことに手を染めたようだ。

日清講和の条件を押しつけと、打ち負かした朝鮮を徹底的に再建
する仕事を引き受けることは別問題だ。

日本は朝鮮の全般的な社会的,政治的条件と本質的に合わ

ない文明を朝鮮に押しつけるという報われない

仕事を自ら引き受けたように見える」

 

 

中日間の戦争の結果の1つとして,日本と西洋社会との接触点が増加するに違いないので,今後日本の政党の運命や国内政治の発展は,今までよりずっとヨーロッパ人の注目を集めるだろう。 したがって本日掲載されている本社東京通信員による国家体制の現状の概要は,二重の意味で興味深い。

 

まずヨーロッパとは全く異なる状況における.ヨーロッパを手本とした議会制度の運営について示しているという点で,2つ目は.われわれが今後多くの,そしておそらくきわめて重要な関係を持っことになる政府の性質を理解する手助けとしてである。

 

日本の政治はきわめて急速に発展している。われわれの社会において,何世紀もかかってゆっくりなしとげられてきた変化は.「不変の東洋」とも呼ばれる地域の中にあるこの国では,ほぼ1世代の期間に集中的に起きている。

 

本社通信員は「論争中の根本的な問題点,すなわち政党内閣の導入が解決されない限り平和は訪れない」と述べている。政党内閣がついに導入されたとして,われわれ自身の経験から判断して,日本の国内情勢が常に平静を保っとはとうてい思われない。

 

しかしながら現在,興味深い点は,日本はすでに代議制政体という,やや前進した段階に達しており.大臣が直接責任を負うのは君主に対してか.それとも国民の代表に対してかという問題をめぐり.激しい論争が続いているということだ。

 

今のところ議会政治は,行政を行う人材不足のため.ほとんど不可能にもかかわらず.議会政治に対する要求は,大きな国家全体がかかった戦いの前に徐々に減じてきているもののたゆまず主張されている。

 

この戦いもまたお気に入りのヨーロッパの武器で戦われているが.それはきわめて不利な条件で使われている。議会の内閣に対する支配を主張するため,官吏の給料削減の動議が提出され続けている。もっとも給料はすでにきわめて低く,他の理由では削減を要求することはできないほどだ。

これらの動議は反対され却下されると考えられている。また,たとえ統治する機会があったとしても,現在それほど十分に強力な政党は存在しないということは周知の事実でだれもが認めるところだ。しかし議会による支配の原則が効果的に適用される時

期を早めるために.今は成り立たないようなことを強く主張するのが得策と考えらている。

 

自由党の計算はおそらく正しいものだ。政党は闘争により成長し.そして積極性を示すことで,積極的で有能な人物を引きつけるものだ。

自由党は明らかに若い人々が間断なく入党することで,今はすぐ成功する望みの全くないまま要求している行政権を行使する立場に,最終的には就くことができると信じている。

 

 

 今日の日本を作った大革命を遂行した人々は.議会派ではない。彼らは元首に対し責任を負っており,今後もそうありたいと願っている。彼らに逆らって,あるいは彼らの積極的な援助がない場合でさえ.統治を行えるほど十分に強力な政党は1つもない。なぜなら政務を首尾よく行うために必要な権力,能力.経験.そのどれもが

彼らの手にあるからだ。日本には革命を行った一派というのはないようだ。日本人の生活に大きな変革をもたらした人々は,政治閥を作らなかった。

 

彼らは,むき出しの

議会政治制度には反対しているものの、その他の点では同質ではない。それどころか文治派と武断汎すなわち穏健派と好戦的愛国主義者の2つの党派に分かれている。伊藤博文伯爵とその同僚は「その傾向と前例によって,内外政治において,あらゆる思いきった手段を避けることが約束された党派」を代表している。本社通信員は,現在の戦争は.どんなに華々しい勝利を収めても,伊藤伯爵らの支配力を強化することにはならないと考えている。

 

戦争に関する名誉は武断派に与えられ,伊藤伯爵は彼らの単なるいくぶん扱いにくい手先として見られるだけだろう。おそらく伊藤伯爵にとっては戦争の進め方より.講和条約の締結の方が危険をはらんだものになるだろう。

彼が中国側からいかなる条件を引き出しても.彼がもっとうまくできたはずだという主張を利用することはたやすいことだろう。

伊藤伯爵の最終解決が,先見の明ある政治家らしいものであればあるほど.一般の不満を引き起こしやすくなるだろう。なぜなら,より明白な当面の勝利の結果が表れないからだ。

 

伊藤伯爵は,日本が中国の存続を考慮に入れるべきこと,そして中国を過度に混乱させたり.あるいは忍耐強く時間をかけてもいやせないような傷を与えたりするのは,日本の真の利益には決してならないことを知っているのだ。

さらに,もし自分の考え方がもっと穏健さを欠くようなものであたら,ヨーロッパ列強との衝突という危険を冒すことになるというこ

とも知っている。ヨーロッパ列強も.自身と中国との間に維持されるべき将来の関係を考えなくてはならないからだ。

 

おそらく伊藤伯爵はこういったことを考慮し.もっと気の荒い攻撃的なタイプの政治家が適当と考えるような要求よりも穏健な要求にとどめるだろう。

事情をよく知る本社通信員の意見では,戦争の結果,現在日本の政務を取り仕切ると同時に非議院内閣制を維持している人々の間に,楔が打ち込まれることになろう。あり得ることだが,もし武断派が優勢に立つとしたら.すでに議会による支配に最も反対していない穏健な人々は.自由主義者たちと運命を共にしたいという強い誘惑に駆られるだろう。

 

そして彼らは心から歓迎されるだろう。なぜなら彼らが入党すれば,現在自由党の統治を不可能にしている人材不足をまさしく解消でき

るからだ。このように.議会による支配に反対している武断派の勝利によって,議会政治主義派は初めて対等の立場で彼らと戦えるようになるかもしれない。

 

 必然的なものか,いわれのないものかは,遠くから見ている者には見分けがつかないが,日本は朝鮮において,アイルランド問題のようなことに手を染めたようだ。井上伯爵の計画した朝鮮における改革は,きわめて広い範囲にわたり,かつ根本的なもので,朝鮮人が承認することも理解することもできないような方針に基づいた政治,社会制度全体の完全な再編制にほかならなかった。

 

井上伯爵の考えはすばらしいように思われるし,上首尾に実行されることをわれわれは望む。公正さ.ならびに立派な政府という井上伯爵の概念が.西洋人読者同様,朝鮮人にとっても道理にかなった適切なものと思われるとしたら,朝鮮は間違いなく,もっとすばらしい幸福な国となるだろう。

 

しかし日本人の目から見ると,こういった考え方が,朝鮮人の慣れ親しんでいるすべてのもの.すなわち朝鮮人の国民性や.文明の程度に属しているあらゆる政治的,社会的概念と全く正反対だということは,本質的な事実に見えるようだ。

 

ある国と戦争し.打ち負かし,講和の条件を押しつけることと,打ち負かした国を徹底的に再建する仕事を引き受けることとは別問題だ。まるで日本は.朝鮮の全般的な社会的,政治的条件と本質的に合わない文明を朝鮮に押しつけるという,きわめて報われない仕事を自ら引き受けたように見える。

 

有力かつ,それなりに能力のある王妃とその一派は,日本の考え方に徹底的に反対している。大院君は.朝鮮の政治を牛耳るようになった王妃一派と対立しており,日本人は大院君を支持することで,何かをできるかもしれないと明らかに考えたのだ。

 

しかし大院君は親中国派であり反日派である。いいかえれば王妃と同様に朝鮮人にはかならない。井上伯爵の全国統治の説明をもとに考えれば,井上伯爵は役人階級全員を敵に回すだろうと推論してもさしつかえない。

民衆は絶えざる暴動で自らの意思を示し,日本軍によって,その場ですぐに鎮圧されるが,日本軍が背を向けたとたん,再発するのだ。井上伯爵は明らかに.仕事をするにはきわめて見込のない素材を相手にしている。

 

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