前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(560)世界が尊敬した日本人ー「魔王」と呼ばれた明治維新の革命家・高杉晋作、「奇兵隊」で活躍

      2015/11/20

         takasugi   日本リーダーパワー史(560)

             世界が尊敬した日本人

       「魔王」と呼ばれた明治維新の革命家・高杉晋作

< 明治維新に火をつけたのは吉田松陰の開国思想だが、その一番弟子・高杉の奇兵隊による破天荒

な行動力、獅子奮迅の活躍がなければ倒幕、明治維新革命は実現しなかった>

                        前坂 俊之(ジャーナリスト)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%9D%89%E6%99%8B%E4%BD%9C

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」が話題となっれいる。

2012年(平成24)は高杉晋作の奇兵隊創設から150年。明治維新に火をつけたのは吉田松陰の開国思想だが、その一番弟子・高杉の奇兵隊による破天荒な行動力、獅子奮迅の活躍がなければ倒幕、明治維新革命は実現しなかったに違いない。英国外交官アーネストサトウは高杉を「魔王」とまで評したが、多事多難の今こそ、高杉のような国難突破力のあるリーダーが待望される。

高杉晋作は1839年(天保10)9月、長門国萩(現、山口県萩市)で150石の長州藩士、高杉小忠太の長男に生まれた。

剣道に優れ、乱暴な少年だったが、18才で安政4年(1857)に吉田松陰の「松下村塾」に入門、久坂玄瑞と双璧とうたわれた。松陰は久坂の<才>に対し,高杉の<識>を愛した。その松蔭は禁を冒してペリーの黒船(安政元年1854年)に米国密航を嘆願したが、安政の大獄で同6年10月に処刑される。高杉は松陰に献身的に尽くして最期を見届けて、その戦闘的精神を受け継いだ。

文久2年(1862)5月に同藩の許可を得て上海に渡った。そこで目にしたのは西欧人から奴隷扱いの中国植民地の惨状で「シナ人はほとんど外国人の使用人。日本もこんな運命に見舞われてはならない」(上海日記)と危機感を募らせた。この時、中国での太平天国の乱で身分や職業に関係ない国民軍が活躍していたことに奇兵隊創設のヒントをつかんだ。

幕末動乱は一層燃えさかり、長州藩や全国各藩で攘夷、尊王攘夷、開国派の各派が入り乱れて外国人襲撃、テロ、暗殺の内戦状態に突入する。高杉は伊藤博文らとともに御殿山の「英国公使館」焼打ち事件(同12月)を起こし、剃髪するなど過激な行動を繰り返した。

文治4年7月、西欧連合艦隊(英米仏蘭)19隻と長州藩の間で下関戦争が勃発する。高杉の農漁民、町人らを加えた奇兵隊(約2000人)が応戦したが、わずか1日で完敗、講和会議開催となった。この時、萩藩内には人材はおらず、獄につながれていた『エース高杉』が急きょ復活して講和交渉役に担ぎだされた。

敵艦上での会談にのぞみ、高杉は黒の烏帽子に黄白の度肝を抜く派手な衣装で現れ、「まるで魔王のように倣然と構えて」(イギリス通訳のアーネストサトウの日記)連合軍側と対峙した。この時、高杉晋作は弱冠26歳である。

連合軍側の賠償請求に対して、「長州藩ではなく幕府の責任だ」とはねつけ屈せず、彦島租借の要求も、高杉は「いにしえより、外国に土地を与えてことはない」と断固拒否した。敗軍の将ながら、あまりの高杉の強硬姿勢ぶりに連合軍は彦島租借をあきらめたほどタフネゴシェータぶりを発揮した。高杉の毅然とした態度を見たアーネスト・サトウは、「長州を破ってからは、われわれは、長州人を尊敬する念を持った」と語っている。
慶応2年(1866)6月、幕府の第2次長州征討では高杉は長州藩陸海軍提督として2隻の西洋軍艦を結核で喀血しながらの鬼気せまる指揮をとり、坂本龍馬も協力して軍艦を指揮して奇襲作戦で幕府艦隊を打ち破り、小倉城を総攻撃して幕府軍を蹴散らした。これが幕府崩壊のきっかけとなった。

高杉は自ら「一狂生」「狂挙」「東行」と名づけニヒリズムと天衣無縫の詩人の魂、それに剛胆無類、強靭なサムライ精神を兼ね備えた希有な志士であった。

慶応三年四月十四日、臨終の床で「おもしろきこともなき世をおもしろく」と筆でかき、側にいた望東尼が「すみなすものは心なりけり」とつづけると、 「面白いのう」と言って亡くなった。27年8ヵ月の疾風怒涛の人生をかけぬけた生涯であった。

伊藤博文は「西郷隆盛と同じタイプの勇敢な人物で、創業的な精神に富んでいた」と評している。

 - 人物研究 , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
★「コロナパンデミックの外出自粛令で、自宅で閉じこもって退屈している人のために、見るだけで!スカット,さわやか、ストレスクリーンアップ、超元気になるよ!>★<サーファー必見!、レッスン動画/鎌倉稲村ヶ崎ビッグサーフィン/ベストセレクション>➀

前坂俊之YouTube/チャンネルには稲村ヶ崎サーフィン動画が2013年ごろから …

『Z世代のための「原爆裁判」の歴史研究講座」★『「原爆裁判―アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子」(山我浩著、毎日ワンズ)の書評』★『オッペンハイマーは原爆被災者に涙の謝罪、孫は核廃絶の連帯を訴えた』

「原爆裁判」は必読の歴史的ドキュメントです。 今年4月から始まったNHK朝の連続 …

no image
「エンゼルス・大谷選手の100年ぶりの快挙」★『「才能だけでは十分ではない。挑戦する勇気が人々の心を変える」』★『ニューヨークタイムズ特集「日本ハムで入団交渉を担当したスカウトが、ミケランジェロやアインシュタインのように何でもできる天才と評価していた』★『連載「エンゼルス・大谷選手の大活躍ー<巨人の星>から<メジャーの星>になれるか」①『A・ロドリゲス氏は「これは世界的な物語だ」と絶賛』』

「エンゼルス・大谷選手の100年ぶりの快挙」   新型コロナ禍で世界中 …

no image
日本リーダーパワー史(35)リーダーへの苦言―『豊かな時代の愚行は笑い話ですむが、国難の際の愚行は国を滅ぼす』(スミス『国富論』)

 日本リーダーパワー史(35) ①リーダーへの苦言―『豊かな時代の愚行は笑い話で …

no image
『アジア近現代史復習問題』・福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む(1)ー「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の原因がよくわかる」★『脱亜論によりアジア差別主義者の汚名をきた福沢の時事新報での「清国・朝鮮論」の社説を読み通す』

 『アジア近現代史復習問題』 福沢諭吉の『金玉均惨殺』から日清戦争開戦までの論説 …

no image
日本リーダーパワー史(202)「第3の敗戦、この国難を突破できるリーダーは革命政治家・橋下徹以外にはいない』

日本リーダーパワー史(202) 「第3の敗戦、この国難を突破できるリーダーは革命 …

no image
名リーダーの名言・金言・格言・苦言集(18)『“長”の字に惑わされるな』(松永安左衛門)『雑音を聞き分けよ』(松下幸之助)

<名リーダーの名言・金言・格言・苦言 ・千言集(18)            前 …

日本名人・達人ナンバーワン伝ー『イチローは現代の宮本武蔵なり』★『「五輪書」の「鍛錬」とは何か、鍛とは千日(3年間)の稽古、錬とは1万日(30年間以上)の毎日欠かさずの練習をいう』●『武蔵曰く、これが出来なければ名人の域には達せず』(動画20分付)★『【MLB】なんで休みたがるのか― 地元紙が特集、イチローがオフも練習を続ける理由』

    イチローと宮本武蔵「五輪書」の「鍛錬」 の因果関係ー免許皆伝とは!!   …

no image
<屁(おなら)のような昭和史>浜口雄幸、吉田茂

               2007年6月10日、    雑誌「本」に掲載   …

no image
★『明治裏面史』/『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー,リスク管理 ,インテリジェンス㊾★青木大佐の『特別任務班(鉄道破壊工作)』★『横川省三班は横川、沖ら2人がロシア側にみつかり銃殺刑、4人も惨殺された』

★『明治裏面史』/『日清、日露戦争に勝利した 明治人のリーダーパワー,リスク管理 …