『Z世代のための<バカの壁>の秘密講座①』★『杉山茂丸の超人力の秘密「バカの壁」』★『違ったことを違っていると言えない奴を「馬鹿」という」
養老孟司氏の名著「バカの壁」(累計700万部突破)を再読して、面白かった。世界を恐怖のどん底に叩き込んだデストロイヤーのトランプの伝記「コンフィデンシャル・マン」も少し読んでみたが、なるほどと思った。「バカの漢字の由来」も調べていて「明治日本の稀代の怪人・魔人・痛快無比の国家参謀・「もぐら」ことの杉山茂丸の「バカの壁」はさらに面白かった。
杉山茂丸著「辛棒録(1911年、明治44年)」「其日庵の世界」(書肆心水 2006年刊に収録)で、こう書いている。
- 辛棒、我慢、忍耐ということー、
世に辛棒(しんぼう)、我慢(がまん)といい、忍耐ということは、その実行の意味においては少しずつ異なる。この文章はこれらを総括して書いたものだ。辛棒、我慢、忍耐の行為は余り面白いものではなく、これを食物に例えれば甘味(おいし)くない、不味(まずい)いに相違ない。現に渋柿(しぶがき)、唐辛子(とうがらし)、青橙(あおだいだい)などをむやみに食わねばならぬとなったらイヤだろう。今〈1911年、明治44〉の若い人々にとって、ぜひ世の中の物事には辛棒せねばならぬと話すと、無理やり不味(まずい)ものをぜひ食えと勧めるのと同じであろう。
しかし、別の意味において、この不味(まずい)ものを辛棒して食べておくと、比較的に他のものが甘味(うまく)く感じるものである。わたしの経験では、甘味(おい)しいものを食った人間の体は年を取るほどに破壊されて、ついにはグニャグニャの人間に堕落してしまう。
これに反して不味(まずい)ものを、若い時からウンと食べていると、身体、体力の発達は申すに及ばず、精神力、根性、気骨などは実に強靭(きょうじん)なものになる。だからといって朝から晩まで渋柿に唐辛子、青橙ばかりを食べなさいと勧めても、食えるものではない。これを食うにはこの不味いものを食うことを楽みとして、好きにならねばならない。
好きになるにはどうすれば、よいのかというと、 一番難しい学問をしなければならない。
それは馬鹿になる学問と阿房(あほう)になる修業をしなければならない。ここが「ミソ」だよ。
② 即ち、辛棒、我慢、忍耐というような不味ものを食うには馬鹿、阿房にならねばならぬのである。これが好きにさえなれば、別に勧告などをせずとも、上戸(酒好き)が酒を飲むように、下戸(酒が飲めない人)が団子を食うように、見さえすれば手を出して食べたくなるものじゃ。コウなれば人間、世の中に対して恐れるものがなくなる。恐れることが無くなれば勇気と根性がわいてきて、 ちょっとみても立派な人間になれるのである。
③ そこで馬鹿と阿房の研究が必要になる。
そもそも、この馬鹿、阿房(あほう)という事は、秦の始皇帝(しこうてい、BC259年2月 – BC210年9月,48歳)の子供の「胡亥」(こがい)」の故事である。
「胡亥」は始皇帝の2代目皇帝で何不自由なく贅沢三昧に育てられ。子供の時から大人になるまで甘味(うまい)ものばかりを腹いっぱい食べて育った。20歳で2代目皇帝を継いだが、甘味ものばかりを食った報いで、歯が一本もなく総入れ歯となった。身体も不味(まずい)ものを食ったことのないためにグニャグニャの病弱で身も心もむしばまれた体になり果てた。
④ 『バカ(馬鹿)』の語源はこれだよ
ところが、胡亥の側近に「趙高」と云う途方もない黒ネズミの悪者がいて、万事、このグニヤグニヤ皇帝にゴマをすって総て自分の思い通りに操っていた。
ある日、「趙高」はグニヤグニヤ皇帝をどこまでゴマ化せるか、試めして見ようと思って、鹿一頭を持って来て「馬一頭を献上いたします」と申し上げた。ところが、いかに「胡亥」皇帝でも鹿ではないかと不審に思って、左右の侍従に、「これは馬か?」と聞いて見た。ところが、皆んなへんな顔をして見合せて黙っている。側近の「趙高」がきっと怖い顔をして一堂をニラミつけており「もし鹿とでも返答したなら首がないぞ」と言わんばかりの形相だった。一同はやむなく「左様(さよう)です。馬でございます」と答えた。すると、グニヤグニヤ皇帝も趙高が怖かったので、「さようか、馬か!」と答えた、という。
そこで、「違ったことを違ったと言えない侍従の奴(やから)を「馬鹿」と呼ぶようになった。『バカ(馬鹿)』の語源はここから来ている。
つづくよ
関連記事
-
-
『昭和史キーワード』浜口雄幸内閣のロンドン海軍軍縮条約批准【1930年)に対して、海軍艦隊派が猛反対し統帥権干犯問題を起こし、軍部の政治介入を招き、 政党政治に終止符をうち、軍部専制を許す引き金となった。
『昭和史キーワード』 浜口雄幸内閣のロンドン海軍軍縮条約の批准 に対して、海軍艦 …
-
-
『Z世代のための台湾有事の先駆的事例<台湾出兵>(西郷従道)の研究講座㉕』★『よくわかる尖閣問題の歴史基礎知識』★『日中、台湾、沖縄(琉球)の領土紛争の底にある『中華思想』と台湾出兵との関係、交渉は・・・』』
2012/09/26 日本リーダーパワー史(325) & …
-
-
終戦70年・日本敗戦史(100)【再録】太平洋戦争下の新聞メディア-60年目の検証 ①「マス・コミュニケーション研究No66」(2005 年2月)
終戦70年・日本敗戦史(100) 太平洋戦争下の新聞メディア―60年目の検証① …
-
-
日本リーダーパワー史(204)『辛亥革命100年』『日本は西洋覇道より,東洋王道を目ざせ』ー孫文「大アジア主義」演説全文
日本リーダーパワー史(204) 『辛亥革命100年』・今後の日中関係を考える③ …
-
-
近現代史の重要復習問題/記事再録/『大日本帝国最後の日ー(1945年8月15日)をめぐる攻防・死闘/終戦和平か、徹底抗戦か?⑥』<8月14日の最後の御前会議―昭和天皇の言葉とは!>『御前会議が終ったのは正午,ついに終戦の聖断は下った。』
2014/11/01 『ガラパゴス国家・日本敗戦史』㉑ …
-
-
◎「安倍・多動性外交の「オウンゴール!」かー『世界にとって「右翼のルーピー」となった安倍首相:ダボス会議 の衝撃』
日本リーダーパワー史(469) 安倍・多動 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(187)記事再録/作家・宇野千代(98歳)『明治の女性ながら、何ものにもとらわれず、自主独立の精神で、いつまでも美しく自由奔放に恋愛に仕事に精一杯生きた華麗なる作家人生』『可愛らしく生きぬいた私・長寿10訓』★『 何歳になってもヨーイドン。私はヨーイドン教の教祖なのよ』★『 人間同士のつき合いは、心の伝染、心の反射が全部である』★『 私は書ける、書けると思って、強い信念をもって書いてみよう』★『 健康法らしいものといえば、一つは毎日一万歩くらい歩く。気が向いたとき、書斎部屋(20畳)のまわりをぐるぐる歩くんです』
2012/11/22 百歳学入門(55)記事再録 作家・宇 …
-
-
百歳学入門(183)-現在、65歳以上の人は「2人に一人が90歳以上まで生きる時代」★『義母(90歳)の『ピンコロ人生』を見ていると、「老婆(ローマ)は1日にしてならず」「継続は力なり」「老いて学べば死しても朽ちず」の見事な実践と思う。
百歳学入門(183) 老いて学べば、死しても朽ちず(佐藤一斎) 今年の「敬 …
-
-
ジョーク日本史(8)世界的数学者・岡潔は『数学は情緒なり』の奇行の人なり〝奇人〝仙人〝現代のアルキメデス″とも呼ばれた。
ジョーク日本史(8) 世界的数学者・岡潔は『数学は情緒なり』の奇行の人なり〝奇 …
-
-
「国難日本史の歴史復習問題」ー 「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス⑦」★『山座円次郎の外交力』●『山座が「伊藤公を叩き殺さにゃいかん」と吠え 伊藤はカンカンに怒った』★『即時開戦論に山本権兵衛海相は「貴様のいう通りだが、戦争には二十億の金が要る、金はどうしてつくるか」と逆襲』
「国難日本史の歴史復習問題」ー 「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパ …