前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破力講座⑧』★『杉山茂丸と玄洋社、頭山満の国難突破力3重奏』

      2024/11/28

●杉山茂丸と玄洋社について

夢野久作はその著「近世快人伝」中の「杉山茂丸」の項に、茂丸と玄洋社の関係を次のように述べている。
「茂丸は他の玄洋社の諸豪傑連中とは異なっていた。その頃の玄洋社の梁山泊連は皆、頭山満を首領とし偶像として崇拝していた。頭山満が左の肩を揚げて歩けば、玄洋社の小使まで左の肩を怒らして町を行く。頭山が兵児帯(へこおび)「兵児」は、鹿児島地方で「青年の男性」という意味)を締めれば皆同じにするといったと調子だったが、杉山茂丸だけはそんな真似は決してしなかった。
むしろ玄洋社のこうした気風に対して異端的な考えをさえ抱いていたらしいことが、玄洋社を飛び出してから以後の彼の活躍ぶりによって窺われる。」

●また、同じ項に頭山満との関係について次のように述べている。

「頭山満いわく、『杉山みたいな頭の人間が又と二人いるものではい。彼奴(あいつ)は玄洋社と別行動をとって来た人間じゃが、この間、久し振りに会うた時には俺の事を頭山先生と言いおった。ところがその次に会うた時は、頭山さん、とさん付けにして一段格を落としおったから、感心して見ていると、三度目に会うた時は、頭山君、と言うて又一段調子を下げおった。今に俺を呼び棄ての小僧扱いにしおるじゃろうと思うて、楽しみにして待っとる』とカラカラと笑った。

●一方、茂丸は頭山の人間性の違いについて次のように語った。

ある時、杉山法螺丸(ほら丸)が何かのお礼の意味か何かで、頭山満に千円以上(今では数千万円)もする銘刀を一振り贈った事がある。無論、飛切り上等のもので、刀剣道楽の大自慢のシロモノであったが、その後、法螺丸が頭山満を訪問して、『どうだ、あの刀は気に入ったか』と言うと頭山満はニッコリ笑って『うむ。あれはええ刀じゃった。質屋に持って行ったら三十円貸したぞ。又あったら持って来てくれい』。其日庵「茂丸」もこれには「開いた口が塞がらず、帰って来て『モウ頭山に物はやらん。あいつのせがれにやった方がええ』。

●一方、杉山茂丸の頭山観はこうだ。

茂丸いわく、「自分には国内各階級層の中に清濁合せて数限りない友人知人がいるが、頭山満との交際ほど神聖で親密なものはない。従って、頭山の性格、心情は自分なりに知悉している。

頭山のやること、なすことは総て反対に解釈すれば先ず間違いない。彼は無学なようで学識があり、無口なようで能弁であり、身近なことしか考えないようで深遠の理を窮め、そつけないようで親切であり、ぁっさりしているようで密度が濃く、忘れているようで強記であり、放漫なようで謹厳であり、冷酷なようで慈悲深く、やりっ放しのようで、チャンとした締括りがあり、物を容れること大海の如く、生を愛すること虫をも殺さず、功名富貴を見ること塵芥の如く、殊に父母兄長に厚く、勤王の志深いことは自分が常に畏敬措くところである。

従って、自分が後世の師表なりと呼ぶのも決して誉め過ぎではない。茂丸はつぎに掲げる五項目を自己終世の使命観として、尊敬する大先輩と共に実行完成したいと考え、頭山に打ち明けた。この話に頭山も大いに賛意を表し、助力を誓っていた」という。

●茂丸終生の目的とは次の五項目である。

第一、郷国割拠の風を打破
第二、天下に気脈を通ずる
第二、郷国独立の資源を開く
第四、地方的開発の事業を起こす
第五、実社会の事物に接触する

●これを具体的に説明すると、次のようなことになろう。

第一は従来歯牙にもかけなかった地方役人と積極的に交歓し、彼等を通じて九州各県の有志団体との横の繋がりを持つ。
第二は人的交流と文書の交換によって国の内外を問わず有志間の意志疎通を計る。
第三は海軍予備炭の名を以て政府が管掌する福岡県の全石炭を民業に移す。
第四は郷土における道路の開発、鉄道敷設、門司築港等の事業を開始する。
第五は派生する社会的問題を分析解明するとともに興味を以てこれ等のことに対処するといったものであつた。

以上は「杉山茂丸伝―もぐらの記録」(野田美鴻著、島津書房、1992年刊116―138p)

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本メルダウン脱出法(635)「日中戦争」をどう終わらせるか?太平洋戦争の二の舞に離島防衛を考える」など6本

日本メルダウン脱出法(635) 「日中戦争」をどう終わらせるか?―構想がなければ …

no image
野口恒のインターネット江戸学講義(13)第6章 境界・周縁・無縁の世界に生きた「漂白の民」―身分制度から外れた世界(上)

日本再生への独創的視点<インターネット江戸学講義(13)>   第6章 …

「Z世代のための日本宰相論」★「桂太郎首相の日露戦争、外交論の研究①」★『孫文の秘書通訳・戴李陶の『日本論』(1928年)を読む』★『桂太郎と孫文は秘密会談で、日清外交、日英同盟、日露協商ついて本音で協議した①』

2011/08/29 日本リーダーパワー史(187)記事再編集 以下に紹介するの …

no image
速報(427)『日本のメルトダウン』『世界のメディアは<アベノミクス>をどう報じたか』『グリアOECD事務総長会見動画』 

 速報(427)『日本のメルトダウン』   ●『世界のメディ …

no image
世界が尊敬した日本人『アジアの共存共栄を目指した犬養毅』―パールバックはガンジーらとともに高く評価した。

 世界が尊敬した日本人   アジアの共存共栄を目指した犬養毅 …

『リーダーシップの世界日本近現代史』(287)/★『F国際ビジネスマンのリタイア後の世界ぶらり散歩「パリ/オルセー美術館編』★『オルセー美術館は終日延々と続く入場者の列。毎月第一日曜日は無料、ちなみに日本の美術館で無料は聞いたことがない』

     2015/05/18 &nbs …

『オンライン講座/今、日本に必要なのは有能な外交官、タフネゴシエーターである』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテリジェンス①>★『日露戦争開戦の『御前会議」の夜、伊藤博文は 腹心の金子堅太郎(農商相)を呼び、すぐ渡米し、 ルーズベルト大統領を味方につける工作を命じた。』★『ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の世界最強のインテジェンス(intelligence )』

    2017/07/24 記事再録 ★ 明治裏 …

no image
『オンライン日本の戦争講座②/<日本はなぜ無謀な戦争を選んだのか、500年間の世界戦争史の中から考える>②『明治維新の志士たちは20歳代の下級武士』★『英国、ロシアのサンドイッチ侵略で日中韓の運命は<風前の灯!>に、日本は日中間の連携を模索したが、拒否された』★『福沢諭吉の「脱亜論」の真相』★『朝鮮の「反日的姿勢の歴史(過去千年の恨の思想)』★『中華思想、漢民族至上主義のエスノセントリズム』

        『世 …

『Z世代のためのトランプ米大統領講座㉔』★『ChatGPT対ディープシークのパラドックス』★『AIは今世紀における最も重要な地政学上の戦場』★『ディープシーク「ディスティレーション(蒸留)」の疑惑』

中国の人工知能(AI)スタートアップ「DeepSeek」(ディープシーク)が低コ …

『日本の歴代首相で英語力・外交力で国際情報発信力をもった『世界的な政治家』は一体誰でしょうか?』★ 『初代総理大臣・伊藤博文(44歳)です』★『1896(明治29)年7月20日の「ニューヨーク・タイムズ」の34頁は全面つぶして伊藤博文が英語で答えたインタビューが掲載されている。』★『日本の女性問題-「吉原遊郭」の問題性について反論した』

  2010/02/08  日本リーダー …