『Z世代のための<憲政の神様・尾崎咢堂の語る「対中国・韓国論⑦」の講義⑮』★『本邦の朝鮮に対して施すべき政策を論ず』★『朝鮮の独立を認め、日本を敵視せず、トルコ、ベトナム、清仏戦争の失敗に学ばねば、清国は滅亡する(尾崎の予言)』
2024/04/08
『本邦の朝鮮に対して施すべき政策を論ず③』記事再録
(尾崎行雄の対中国/朝鮮論策、明治12年12月)
清国宮廷をして、実際、付庸国(主権国家体制において付庸国、ふようこく、従属国とは、宗主国から一定の自治権を認められているが、その内政・外交が宗主国の国内法により制限を受ける国家を指す。宗主国との関係は付庸関係と言う。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%98%E5%BA%B8%E5%9B%BD
ではない越南二国(ベトナム)の地方に向つて、付庸国の虚名を貪ぼって、今日のフランスとのの戦争となった。もし、フランスとの戦争を避けておれば1朝10数隻の戦艦、政局砲台を撃破され台島(台湾)占拠されるという患害(うれい、損失、災い)、また、4,50万の兵勇を募集して、その善後策に苦しむこともなかったであろう。
清国政府、人民の今日の大難は、その実、付庸国でない者に向かって付庸国の虚名を貪ったために起こったものなり。
朝鮮を以て中国所属の国であるとして、その内政に干渉する患害もまたこのようなものであろう。清国宮廷の者は現在の大難に懲りて将来の戒めとすべきであろう。
越南(ベトナム、清仏戦争)の事例は、
清国宮廷にとって将来の戒めとなるべきものだが、もし、清国がベトナム懲戒するならば、更に適例の宮廷に示したいと思う。
西側諸国の中、その境遇が最も清国に似ているものは土耳機(オスマントルコ)であるトルコ。トルコはかつて強大な帝国であり、しきりに四方を侵略して墺都維納(オーストリア)に進むに至る。
その巨大は実にかく如くなるが故、近隣の州国は皆同盟を結んで、遥かに其政令を奉じ、属国の多き、あたかも清国の康熙帝、乾隆帝の際に似たり。
爾後、オスマントルコの威武は大に衰えて、また統轄の実を挙げることができなかったが、なお虚名に恋々として、その微薪なる内政干渉の政策を廃棄することが出来なかった。
そのために、数々の反乱がおこり、終にヨーロッパ諸強国の異議を招き、付雇国付庸国の虚名を残さんとして、幾どか本国の独立さえ失うに至れり。
トルコをして、早く実勢に従って虚名を貪らず、付庸国は独立すべきは+独立させて、棄てるべきは捨て、大いに改革実行していけば、今日のような甚だしき衰弱には至らなかったであろう。
ところが、その逆に虚名(過去の栄光)を貪って現実に従わなかった結果、虚名も終にこれを維持することが出来ず、空くその国力を消滅させた。
トルコ、ベトナム
https://kotobank.jp/word/%E8%B6%8A%E5%8D%97-445482
清仏戦争にしても、清国宮廷が慄然として、他山の石としてこれを自戒しなければ前轍を踏む失敗をおこすことになろう。
しかも、朝鮮が独立国であることは欧米諸国の認承するところであり、これを独立国と認めて条約を結び、対等の交際(外交)を行う国はひとり日本に止らず、米国といい、英国といい、ドイツといい、皆な対等国として朝鮮と交親通商(友好通商)の条約を締結している。
則(すなわ)ち、朝鮮の独立国たるは天下の公論であり、何人がこれを否定しているのか。清国だけではないか。
京城の変(壬午事変)で大院君を拘束,拉致、幽閉す
1昨年、1882年(明治15)年7月、京城の変(壬午事変)が起きるや、清延は平生の優柔不断にも似ず、直ちに水師提督(海軍)呉長慶https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%89%E9%95%B7%E6%85%B6
と、候補道台・馬建忠https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E5%BB%BA%E5%BF%A0
を派遣して、断然、大院君https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%88%E5%AE%A3%E5%A4%A7%E9%99%A2%E5%90%9B
を拘致して、以後、文武の官員を留めて、その内政に干渉した。この時、清延の活発果断なことは、余輩(私)は大いに怪しんだところだ。
清国宮延は常に朝鮮事件に処せるが如き実力を有するや疑いを持ったが、今にして思えば、清延は初めよりその結果の及ぶ所を深慮遠謀して行った措置ではなく、一時の感情にあおられて、前後見境なく、盲施妄行(もうせもうこう/向こう見ずにおこなう、みだりにおこなう)の措置のをとったものと思う。
清国宮廷の愚者の一得!
これを愚者の一得という、決して智者の深謀密慮の結果ではない。
どうしてこうなったのか、それは清国の官民が本邦(日本)を猜疑するは、一朝一夕のことではない。日本男児の技量は、唐・明の時代から広く知られており、日本刀の鋭利なのは、宋の欧陽修之を詩に載っている。その後、元(モンゴル帝国)が日本を攻めて(蒙古襲来)生還する者わずか三人という大敗北を喫した。
また秀吉の朝鮮出兵
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E7%A6%84%E3%83%BB%E6%85%B6%E9%95%B7%E3%81%AE%E5%BD%B9
に際しては、明は朝鮮を助けてわが堅甲利兵のために蹂躙される。
(この両国の紛争、戦争の歴史により)支那国(現・中国)の人民は古きより、我(日本)を恐れ、我(日本)を疑う原因であり、倭寇https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%AD%E5%AF%87
との戦いは唐・宋以後のいずれの時代にもあり、倭寇がくると常にその精悍(せいかん)、勇猛力を以ってなる日本男児に恐れ戦いたのである。
平素、大いに恐れる所の日本は、明治維新以後、ますます政治、社会改革を断行して、兵備を充実させているのを聞いて、清国宮廷は恐怖、猜疑の念を募らせているのであろう。
いわんや、明治維新後に日ならずして琉球の難問(琉球処分)起り、https://kotobank.jp/word/%E7%90%89%E7%90%83%E5%87%A6%E5%88%86-149567
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%96%E7%B8%84%E7%9C%8C%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2
ついで征韓の論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%81%E9%9F%93%E8%AB%96
あり、また台湾の変https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E5%87%BA%E5%85%B5
が生じた。
清延が我を恐れ、我を慮(おもんばかる/はかりごとを立てる)るのはこのようなものであったが、朝鮮の暴徒が我が使館に放火し、我が人民を殺傷したるの報(壬午事変)、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%AC%E5%8D%88%E8%BB%8D%E4%B9%B1
北京政府に達す。
清廷はどう対応したのか、この機に乗じて、一挙、朝鮮を侵略し、清国の北方の騒乱に恐怖心が起こし周章狼狽して、その結果と影響とを顧みず直ちに戦艦を派遣し、突然、大院君を拘致し、以て朝鮮政府を清国の命令に従わせたのである。
清国宮廷の今日、活発に朝鮮の内政に干渉するのは日本を恐れこと甚だしきためなり。
清廷の守兵を退ければ、日本もまた駐留兵を徹兵し、朝鮮を純然たる独立国の体面を全うさせる旨を説けば、清国はもとよりこれを聴かざる理由はない。
もし、聴かなければ、これを世界の世論に訴えて、これを歴史上の事実に訴へ、天下の正理公道に訴えればよい。日本は今これを実行しなければ、清国の乱れははすでに近きにあり。
現状のままにして清国の大乱にあえば、朝鮮もまた乱れざるを得ず。その乱に乗じて、欧米の国がもしこれに介入すれば日本海万里の水.はとうてい日本の軍艦を以って守ることはできない
。他の強国がもし朝鮮によって艦隊を日本海に浮かべることがあれば、われわれは1日たりとも枕を高くして安眠することはできない。
私が最も憂えるのはその点で、朝鮮のために、清延に談判して大院君を朝鮮に放帰させるのと、清国兵士の召還とを要求する。
その順序、細目は外交上の機密なのでここでは明言しない。
(明治17年12月)
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