終戦70年・日本敗戦史(69)大東亜戦争開戦 「海軍航空隊、真珠湾の米艦船を猛爆」昭和16年12月9日 朝日(夕刊)
2015/05/03
終戦70年・日本敗戦史(69)
大東亜戦争開戦日の「朝日新聞紙面」
「海軍航空隊、真珠湾の米艦船を猛爆」〔昭和16年12月9日 朝日新聞(夕刊)〕
米戦艦・大型巡洋艦に大損害〔昭和16年12月9日〕
〔ワシントン特電七日発〕 七日、白亜館(ホワイト・ハウス)では、日本軍がハワイ諸島とマニラに対し空襲を開始した旨、報告した。
〔ニェーヨーク特電七日発至急報〕七日、米白亜館はハワイ諸島のオアフ島と真珠湾に対し日本軍による攻撃が開始されたと発表、さらに数分後、マニラに対しても空襲が行われたとの追加発表を行ったが、この日本軍の攻撃はオアフ島にある全陸海軍の軍事基地に対して行われたものであるといわれる。
〔ホノルル特電七日発至急報〕未確認情報によれば、外国軍艦が七日、真珠湾沖合に現れ、真珠湾の防禦施設に対して砲撃を開始したと。なお当地AP特派員はその模様を、次のごとく報じている。
記者がサンフランシスコに記事を送ろうと電話の受話器を手にしていると、突如轟々たる砲声が聞こえて来た。記者は日本軍飛行機が五機編隊でホノルル上空に現れるのを見た。米国の高射砲はたちまち物凄い砲撃を開始し、ホノルルの上空は米戦闘機で蔽われるに至った。
〔ニューヨーク七日発同盟〕 ニューヨークのNBC放送によれば、「日本空軍のホノルル爆撃は磯烈を極めている。しかし米国陸海軍は今なお制海空権を握っている。また日本軍の空襲は三時間近く継続している」と。
〔ブエノスアイレス特電七日発〕七日、ワシントンよりのアヴァス通信によれば、日本空軍の真珠湾の空襲に際して米国艦船二隻が撃沈されたが、爆弾はオアフ島の陸軍飛行場にも投下され、三百五十人以上の死者を出したといわれる。
〔ホノルル特電七日発至急報〕機翼に日の丸の模議をつけた少なくとも二様の日本軍爆撃機が、ホノルル時間午前七時三十五分、ホノルル上空に現れ爆弾を投下したが、一弾がヒッカムフィールド飛行場に命中し、他の一弾は真珠湾に投下され、石油タンクが火を発して燃え上がっているといわれる。
被害甚大(米軍発表)〔ホノルル特電七日発〕真珠湾海軍軍管区司令官ブロック提督は七日、左のごとく発表した。
ホノルルと真珠湾海軍基地に対する日本空軍の爆撃は甚大なる損害を生ぜしめた。ホノルルには数箇所に火災が起きたが、直ちに消しとめられた。なお日本軍はホノルルから三十五キロのアンワシアマをも埠撃した。
〔ワシントン七日発同盟至急報〕ホワイト・ハウス発表によれば、日本軍のオアフ島空襲による被害は甚大である。
米戦艦・大型巡洋艦に大損害〔昭和16年12月9日 朝日〕
戦艦六隻を轟沈、大破 我が海軍が決行せる大奇襲作戦の成果は、実に戦史にその比類を見ぬ赫々たるものであった。戦艦二隻は瞬時を出でずして轟沈(轟沈とは一分間以内に沈没することをいう)、他の四隻は大破し、さらに大型巡洋艦四隻は大破、航空部隊に大打撃を与え、ホノルル沖における航空母艦一隻と合して巨艦を失うこと実に十一、ここに米海軍は致命的な深傷を負ったものというべく、フィリッビンの敵空軍の潰滅とあわせて、輝かしさ戦果はわれらの頭上に燦として輝いたのである。我に一隻の損害なく、太平洋を圧する大槻動作戦は世界を驚倒せしめるに足る大成功を収めた。
(大本営梅軍部発表八日午後八時四十五分).
1 本八日早朝、帝国海軍航空部隊により決行せられたるハワイ空襲において現在まで に判明せる戦果、左のごとし。
戦艦二隻轟沈、戦艦四隻大破、大型巡洋艦約四隻大破。以上確実、他に赦飛行機多数を撃墜、撃破せり。わが飛行横の損害は軽微なり。
2、わが潜水艦はホ/ルル沖において航空母艦一隻を撃沈せるもののごときも、まだ確実ならず。
3、本八日早朝、グアム島空襲において軍艦ペンギンを撃沈せり。
4、本日、敵国商船を捕獲せるもの数隻。
5、本目、全作戦においてわが艦艇捜害なし。
戦艦ウエスト・ヴァージニア撃沈〔ブエノスアイレス特電七日発〕 米戦艦オクラホマ号(二万九千トン)はホノルル沖の海戦で炎上しっつあると。ニューヨーク発アヴァス電によると、米国戦艦ウエスト・ヴァージニア号(二二、八〇〇トン)は撃沈されたと。
〔ベルリン本社特電八目発〕 わが空軍の爆撃による米戦艦オクラホマ号の炎上は、我が軍の空中魚雷の命中の結果であると信ぜられる。ハワイ沖でわが海軍のために海底に消えた敵艦名は、外電を綜合したところによれば、戦艦はウエスト・ヴァージニア号(三万一千八百噸)、オクラホマ(二万九千噸}航空母艦はエンタプライズ(一万九千九百噸)なることが確実のようである。
絶対有利の大布石 帝国海軍がついに太平洋の怒涛を蹴って赦米英軍と相見えた朝、わが海軍艦艇および航空部隊によって敢行されたハワイ攻撃は、奏に帝国海軍の伝統的真面目を昂揚したばかりでなく、世界海戦史がいままで記録したことのない歴史的奇襲戦略に成功したもので、今後の太平洋に展開さるる
戦局をわが方に絶対的有利な態勢で進めるための一大布石である。
元来真珠湾軍港を中心とするハワイは、米海軍が太平洋作戦の一大枢軸点として、 真珠湾軍港の築造に十億弗という巨費を投じたばかりでなく、多年にわたってその築造に懸命となり、地中海のジブラルタルと相並んで世界の二大軍港として米海軍が列強海軍に誇っていた。ハワイを頂点としてアラスカのダッチハーバーとパナマとを結ぶ線を底辺とする三角形こそ、米海軍の太平洋三角形防衛線といわれた、他国軍の侵入を許さぬ米国の生命線であった。この生命線の頂点を戦争努頭に崩潰されたという.わけである。
- さらにハワイは日本から去ること三千百カイリは、反対にアメリカ西岸からはわずかに二千カイリの洋上であるから、有名な海軍評論家バイウォーターも、「日本海軍が現在もっている主力艦の隻数ではとうてい貴重な艦隊を派遣するはずはない……」と断じてい、たように、ハワイは米海軍の対日渡洋進攻作戦の最重要な足場とこそなれ、日本海軍がよもや対米決戦の血祭りにここを居るという逆手戦法に出でることは、かつて世界の軍事専門家の筐底に存しなかったのである。
- 米海軍の太平洋艦隊は、特に本年恒例の大演習を中止して真珠湾に集結し、同湾内外で絶えず猛訓練を行い、最近では真珠湾を中心にだいたい戦艦九隻、甲級巡洋艦五隻、乙級巡洋艦六隻、、駆逐艦十五隻、航空母艦二隻、潜水艦十隻くらいであったようである。
わが海軍がことさらに日曜日の未明を狙い、しかも太平洋戦争はまず通商破壊戦から開始されるだろうという通説を一鍬しゅうして、堂々敵の主力部隊の攻撃を敢行したことは、全く敵の虚を衝いた奇襲戦法であった。
- 海軍航空部隊による空襲の戦果を大本営海軍部公表や外電等の情.報を踪合してみると、-轟沈、大破された檻数は別項のごとくであるが、空襲によって主力艦二隻の轟沈(轟沈というのは一分間以内に沈没するこ
とをいうのである)をはじめかような多数を撃破したことは、今次の欧洲大戦などにもみられない驚異的戦果である。ことにウエスト・ヴァージ土ア号は、本年に入って就役したばかりのノース・カロライナ号、ワシン.トン号をのぞけば、米海軍のもっている主力艦中でのもっとも新鋭として、かつて太平洋艦隊の旗艦だったことがあり、本年初頭の編成では戦闘部隊第四戦艦艦隊の旗艦であった。また航空母艦エ・ンタプライズ号は、米海軍のもつ航空母艦七隻の中の最新鋭を誇っていたものである。
かようにハワイ攻撃は、帝国海軍が日露戦争直後から三十余年間にわたって検討をつづけていた太平洋戦略の根幹であったものであるが、第一日のわが海軍戦果に対して米海軍がいかなる手を案じて反撃に出ずるか? わが海軍のこれに対する万全の態勢こそ、国民の注視すべきところであろう。
関連記事
-
-
「今、日本が最も必要とする人物史研究/日英同盟を提言した林董(はやしただす)元外相』★『国難日本史ケーススタディー④>『日英同盟論を提言ー欧州戦争外交史を教訓に』 <「三国干渉」に対して林董が匿名で『時事新報』に日英同盟の必要性を発表した論説>』
2012-03-10 /『リーダーシップの日本近現代史』(56)記 …
-
-
「Z世代のための『米ニューヨーク・タイムズ』(1860年(万延元)6月16日付))で読む米国からみた最初の日本レポート』★★『日本の統治の形態は中世ヨ一口ッパの封建制度に類似』★『日本には2人の君主がおり、士農工商の階級に分けられている』★『外国人への徹底した排他主義は,政治目的(鎖国)のためで、日本国民の意向ではない』★『日本人が一夫多妻制でないという事実は.日本人が東洋諸国の中で最も道徳的で洗練されていることを示す』★『日本ほど命がそまつにされている国はない。』
2012/09/10 の記事再録 前坂俊之(ジャーナリス …
-
-
『オンライン講座/今、日本に必要なのは有能な外交官、タフネゴシエーター』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテジェンス➄』★『ルーズベルト大統領は「旅順陥落」に大喜びー 黙っていると”Silence is Consent”(同意した) とみる。どしどし反論せよ』★『黄禍論と戦う、旅順の戦闘、日本海海戦の大勝利に大統領も大喜び』
2017/06/25日本リーダーパワー史( …
-
-
『Z世代のための米大統領選挙連続講座⑨』★『 ハリス氏対トランプ氏のスピーチバトルはヒートアップするばかり』
英BBC(8月1日配信)は「ハリス氏はインド人か? 黒人か?」 トランプ前大統領 …
-
-
片野勧の衝撃レポート(39)太平洋戦争とフクシマ⑫≪悲劇はなぜ繰り返されるのか 「シベリア抑留と原発」
片野勧の衝撃レポート(39) & …
-
-
片野 勧の衝撃レポート⑥「戦争と平和」の戦後史⑥『八高線転覆事故と買い出し』死者184人という史上最大の事故(下)■『敗戦直後は買い出し列車は超満員』▼『家も屋敷も血の海だった』★『敗戦直後、鉄道事故が続発』●『今だから語られる新事実』
「戦争と平和」の戦後史⑥ 片野 勧(フリージャーナリスト) 八 …
-
-
『Z世代への昭和史・国難突破力講座④』★『吉田茂の国難突破力②』★『30時間の憲法草案の日米翻訳戦争』★『2月4日、チャーチルが<鉄のカーテン>演説を行う、2/13日、日本側にGHQ案を提示、3/4日朝 から30時間かけての日米翻訳会議で日本語の憲法案が完成、3/6日の臨時閣議で最終草案要綱は了承,・発表された』
2022/08/16 日本リーダーパワー史(676)記事再録再編集 …
-
-
『オンライン講座/真珠湾攻撃から80年⑦』★『 国難突破法の研究⑦』★『1941年(昭和16)12月3日の山本五十六の家族との最後の夕餉(ゆうげ、晩御飯)のシーン』★『久しぶりの家族六人一緒の夕食で山本も家族も何もしゃべらず無言のまま』★『日本ニュース『元帥国葬」動画(約5分間)』★『東郷神社や乃木神社にならって、山本神社を建てようという運動が起きたが「神様なんか、一番イヤがるのは山本自身ですよ」と米内光政は断固として拒否した』
&nb …
-
-
『Z世代のための太平洋戦争講座』★『山本五十六、井上成美「反戦海軍大将コンビ」のインテリジェンスの欠落ー「米軍がレーダーを開発し、海軍の暗号を解読していたことを知らなかった」
太平洋海戦敗戦秘史ー山本五十六、井上成美「反戦大将コンビ」のインテリジェンスー「 …
