前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『「申報」からみた「日中韓150年戦争史」(63)『(日清戦争開戦1ヵ月後)-『日本.まさに滅びんとす』

      2021/07/06

  

 

『「申報」からみた「日中韓150年戦争史」

日中韓のパーセプションギャップの研究』63

 

  1894(明治27)年31光緒20年甲午81日『申報』

 

『(日清戦争開戦1ヵ月後)-『日本.まさに滅びんとす

 

の記事を読んで、中国側の日本に対する戦力、戦況分析が全く進んでいないことがわかる。すでに開戦1ヵ月後の戦況は各地で敗戦、敗退が続いているのに、現実、現状に合わせた分析と的確な対応に触れられてない。最初からの繰り返している国土、人口、経済力の単純比較で日本はわずか10分の1なので、勝てるわけがないという思考から1歩も進化していないことに、驚く。

中国が生んだ世界最高の戦略家・孫子の兵法の第一条「敵を知り、己を知れば百戦百勝」(この場合は日本)その逆の「敵を知らず、己を知らざれば百戦百敗」(中国)を冷厳な結果が出ているのに、この思考停止ぶりである。

これが中華思想である。

 

 

商人が日本から送ってきた手紙によれば,「日本国の困窮は異常な状態で、近ごろは朝鮮の問題により再び中国と開戦し,ますますその国内のやりくりに窮している」という。

調べるに,先に有名無実の紙幣により国内における経費に充てようとしたが,その紙幣は平素からすでに順調には使用されていない。加えて近ごろは有事の故をもって市場でもあまり通用していない。そのためますます逼迫の度を深めている。軍営中の兵士は米粒を敢えてから炊くほど困窮していて,3度の食事も満足にできない状況がよくある。

 

先月の初旬,日本政府はかって紙幣2000万円でもってドイツ銀行から銀800万円を借りようとしたが,利息が大変高く,ドイツもまた信用できないから必ず土地を割いて抵当とするよう求めた。

 

紙幣でもって銀を借りることすらすでに前代未聞のことなのに,さらに2000万という数でわずか800万しか借りられず.かつその上利息を払っても人々はまだ信用できず.必ず土地を割いて抵当とすることでようやく治まった。

 

これによって日本国内の困窮がいかにきわまっているかを知ることができる。先月の初旬.戦争はまだ起こっていなかったが.すでに軍事費捻出に苦慮していた。

 

今に至って戦争が始まり,必要な物資はますます多いのに,どうやってそれを調達しようというのだろう。届いた手紙にはまたこうある。

初めのうちは日本政府も.日本は小国で国民も貧しく,わが国のような大国の敵ではないことを自覚していた。だから,われわれにあえて戦いをしかける者は本当に根拠のない話に惑わされていたのだ。小村寿太郎という者がおり.10年前に.中国に使いし.自ら中国のことは熟知していると称し,日本に帰国

した後,「日本が精兵5万を派遣すればすぐにでも中国をわがものにできる」などという妄言をほしいままにした。

 

ああ,このような説を唱える者は本当に大言して恥じることを知らない者というべきだ。ところが意外にも日本政府はついにその言葉を誤って信じてしまった。

 

将来戦いに敗れて滅亡に瀕し国家を保持することができなくなったとすれば.それは小村寿太郎の大言に誤られたのだ。その肉を食っても余りあると言うべきだろう。

 

そこで調べてみるに,日本全体の土地を測ってみてもわが国の2省の面積にも及ばない。総面積を出しても147697平方マイルに過ぎないのだ。その国内に居住する国民は5年前の概算によると約4045万人ぐらい.国内の平和時の兵数は約7万人で,戦時にはやっと21万の兵を徴発できるだけだ。

 

その海軍の軍艦はあわせて32隻であり,別に練習艦が6隻,木造の旧式の軍艦が7隻,上質の水雷艦が25隻,外洋で使える水雷舷が1隻,輸送艦が10隻,小型の蒸気船が50隻であり.植裁量4200余トンの軍艦は4隻.3000余トンのものは4隻.2000余トンのものは5隻.1000余トンのものは10隻,その他の檻は数百トンに過ぎない。

 

練習艦の積載量に至っては2500余トンのものが1隻だけ,1000余トンのもの

2隻.残りの3隻もまた数百トンに相当するに過ぎない。軍備がこうした状態なのに,中国を思うがままにしようなどということは本当に妄想と言うべきだ。また次のように言う。

 

中国はこのたび兵を派過して朝鮮に赴かせるのに.軍事情勢は固く秘密を守っている。水陸各軍は出発にあたって,どこに派遣されるのかも等しく知らされていない。まず軍の司令官が密閉した1通の書信を与え.出発後初めてそれを開いて見て.書信の中で指し示されている場所に向かい,あわせてその作戦を順守して進む。

 

そこで水陸各軍は進軍すること両日ならずして.次第にそれぞれの経路に分かれて進み,各軍の上官に率いられ東や西の各所に駐屯していく。

中国の将軍は早くからすでに地形を計り.各所に各軍を屯駐させるべく一切等しく酌定をしており,掌を指すように明瞭だ。こうして初めて兵が派遣されるのだ。外国人は中国の兵の派遣はいつも遅れ.敵に先んじて到着することができないだろうと考えている。中国の軍隊の総帥はすでに全般的な作戦を立て確実な勝算を得てから後,初めて出兵するということを彼らは知らないのだ。事情に疎い者の洞察し得るところではないのだ。

 

 

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究 , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争➅』★『英国の歴史家H・G・ウェルズは「日本国民はおどろくべき精力と叡智をもって、その文明と制度をヨーロッパ諸国の水準に高めようとした。人類の歴史において、明治の日本がなしとげたほどの超速の進歩をした国民はどこにもいない。』★『日露戦争』は川上操六プロデューサー、児玉源太郎監督、主演は川上の薫陶をうけた情報参謀の福島安正、柴五郎、明石元二郎、海軍は山本権兵衛、東郷平八郎、秋山真之らオールキャスト

    2017/08/14 &nbsp …

no image
日本メルダウン脱出法(642)「歴史無知の安倍お友達内閣と自民党の面々が近衛戦時内閣の『日中・日米外交の失敗』を再び繰り返すのか

日本メルダウン脱出はこれでは無理か!?(642) 「安倍お友達内閣と自民党の歴史 …

no image
★人気記事再録『国葬にされた人びと』(元老たちの葬儀)『伊藤博文、大山厳、山県有朋、松方正義、東郷平八郎、西園寺公望、山本五十六、吉田茂の国葬はどのように行われたか』

『国葬にされた人びと』・・元老たちの葬儀 <別冊歴史読本特別増刊『ご臨終』200 …

『わがビッグファイト・フィッシング回想録②』鎌倉カヤック釣りバカ・筋トレ日記(2016/10/22)約1ゕ月ぶりに材木座海岸を午前7時過ぎにスタート。『さかなクンと遊ぼうよーぶつぶつ,ボケボケ解説中継だよ②』

●『いきなり竿をひったくり、ソーダカツオにぶち切られる。 残念、あとはカモメと遊 …

no image
日本リーダーパワー史(126)辛亥革命百年(28) 内山完造の『日中ビジネス論』「民間外交力』『前事不忘 後事之師』(2)

日本リーダーパワー史(126) 辛亥革命百年(28)内山完造(2)の『日中ビジネ …

no image
◎「日本・スリランカ友好の恩人」ジャヤワルデネ前スリランカ大統領ー感謝の記念碑は鎌倉大仏の境内にある(動画)

     ★★<日本独立のサンフランシスコ講和条約 …

『オンライン講座/ウクライナ戦争と日露戦争を比較する➂』★『『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテリジェンス①>★『日露戦争開戦の『御前会議」の夜、伊藤博文は 腹心の金子堅太郎(農商相)を呼び、すぐ渡米し、 ルーズベルト大統領を味方につける工作を命じた。』★『ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の世界最強のインテジェンス(intelligence )』』

 2021/09/01  『オンライン講座/日本興 …

no image
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』㉜ 日中韓のパーセプションギャップの研究ー近交遠攻説(戦争、外交の鉄則)

  『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパーセプ …

no image
『百歳学入門(203)』-記事再録『 文化勲章のもらい方ー文化勲章は大嫌いの「超俗の画家」熊谷守一(97歳)と〝お金がもらえますからね″といって笑った永井荷風〈当時72歳〉の『人間の品性について』

記事再録/百歳学入門(155) 「超俗の画家」の熊谷守一(97歳)と永井荷風〈当 …

『オンライン講座/日本史最高のリーダーパワーを発揮した人物は誰か?」★『明治維新最大の行政改革<廃藩置県>をわずか一言で了承、断固 実行した 西郷隆盛の超リーダーシップ』★『 西郷の大決心を以て事に当たったからこそ、廃藩置県の一大事を断固として乗り切ることができた。西郷こそは真の民主主義者である』(福沢諭吉)

2016年11月3日 /日本リーダーパワー史(249) 前坂 俊之(ジャーナリス …