前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための<日本政治がなぜダメになったのか>の講義』②<日本議会政治の父・尾崎咢堂が政治家を叱るー『売り家と唐模様で書く三代目』②『自民党の裏金問題の無責任・C級コメディーの末期症状!』●『80年前の1942年(昭和17)の尾崎の証言は『現在を予言している』★『『 浮誇驕慢(ふこきようまん、うぬぼれて、傲慢になること)で大国難を招いた昭和前期の三代目』』

      2024/04/05

 

    日本リーダーパワー史(237)記事再録

 80年前の1942年(昭和17)の尾崎の証言は『現在を予言している』

『 浮誇驕慢(ふこきようまん、うぬぼれて、傲慢になる)で大国難を招いた昭和前期の三代目』

今回の福島原発事故と同じ。クリーンエネルギーという原発神話、技術大国日本では原発事故はありえないという技術過信と驕り。事故、地震、津波を想定外とする油断、怠慢こそ浮誇驕慢(ふこきようまん)そのもの>

 第三代目ころの社会、国民感情はどうなったのか

 全国民は、右の如き精神状態を以て、1930年(昭和四、五年)ころより、第三代目の時期に入ったのだから、世態民情は、いよいよ浮誇驕慢(ふこきようまん=うぬぼれて、傲慢になること)におもむき、
あるいは暗殺団体の結成となり、あるいは共産主義者の激増となり、あるいは軍隊の暴動となり、軽挙盲動、きびすを接して起こり、いずれの方面においてか、国家の運命にも関すべき大爆発、すなわち、まかりまちがえば、川柳のいえるが如く『売家と唐様でかく3代目』と書かねばならぬ運命にも到着すべき大事件を巻き起こさなければ、止みそうもない形勢を現出した。
 私はこの形勢を見て憂慮に耐えず、何とかしてこの大爆発を未然に防止したく思って、八方苦心したが、文化の進歩や交通機関の発達によりて世界が縮小し、その結果として、列国の利害関係が周密に連結せられたる今日においては
国家の大事は、列国とともに協定しなければ、裏誠の安定を得ることは不可能と信じた。よりて列国の近状を視察すると同時に、その有力者とも会見し、世界人類の安寧慶福を保証するに足るべき方案を協議したく考えて、第四回目、欧米漫遊の旅程に出た。
 しかるに米国滞在中、満州事変突発の電報に接して、愕然自失(がくぜんじしっ)した。
この時、私は『これは明白なる国際連盟条約違反の行為にして、加盟者五十余ヵ国の反対を招くべき筋道の振舞である。日本1ヵ国の力を以て、五十余ヵ国を敵に廻すほど危険な事はない』と。
果たせるかな、その後開ける国際会議において、我国に賛成したものは、一国もなく、ただタイ国が、賛否いずれにも参加せず、棄権しただけであった。
 このころまでは、我国の国際的信用は、すこぶる篤く、われに対して、悪い感情を抱く国は支那(中国)以外には絶無といってもよいほどの状況であって、名義さえ立てば、わが国を援(たすけ)けたく思っていた国は、多かったように思えたが、何分、国際連盟規約や不戦条約の明文上、日本に賛成するわけにいかなかったらしい。
連盟には加入していない所の米国すら、不戦条約その他の関係で、わが満州事件に反対し、英国に協議したが、英政府はリットン委員(会)設置などの方法によって、平穏にこの事件を解決しょぅと考えていたため、米国に賛成しなかった。
また米国は、国際連盟の主要国たる英国すら、条約擁護のために起たないのに、不加入国たる米国だけが、これを主張する必要もないと考えなおしたらしい。予は王政維新後の二代目、三代目における世態民情の推移を見て、一方には、国運の隆昌を慶賀すると同時に、他方においては、浮誇驕慢(ふこきようまん)に流れ、ついに大国難を招致するに至らんことを恐れた。
故に1928年(昭和三年)、すなわち維新後三代目の初期において、思想的、政治的、および経済的にわたる三大国難決議案を提出し、衆議院は、満場一致の勢いを以て、これを可決した。

 

満州事変に関して上奏文を宮相に密送す

 

 上述の如く、かねてより国難の到来せんことを憂慮していた予なれば、満州事件の突発とその経過を見ては、一瞬も安処するあたわず、煩悶懊悩の末、ついに、天皇陛下に上奏することに決し、一文を草し官相(内大臣)に密送して、天皇の書見に供たせられんことを懇請した。
満州事変を視て、大国難の種子が蒔かれと思いなせるがためである。ムッソリーニや、ヒトラーの如きも、武力行使を決意する前には、列国を怖れて、躊躇していたようだが、我が満州事件に対する列国の動静を視て安心し、ついに武力行使の決意を起こせるものの如く思われる。
 しかるに、日中戦争が起こり、英米と開戦するに至りても、世人はなお国家の前途を憂慮せず、局部局部の勝利に酔舞して、結末の付け方をば考えずに、今日に至った。
 こうして生活の困難は、日に日に増加するばかりで、前途の見透しは誰にも付かない。どこで、どうして、英米、支那を降参させる見込みかと問わるれば、何人もこれに確答することは出来ないのみならず、かえって徴音ながら、ところどころに,やっと『国難来る』の声を聞くようになった。
 全国民の大多数は、国難の種子は、満州に蒔かれ、その後幾多の軽挙盲動によりて、発育、生長せしめられ、ついに今日に至れるものなることは、全く感知せざるものの如し。衆議院が満場一致で可決した三大国難決要の如きも、今日は記憶する人すらないように見える。
維新後三代目に当たるところの現代人は『売家と唐様で書く』ことの代わりに『国難とドイツ語で書いて』いるようだ……」
 現在不敬問題となっているのは、この意味の一端中、議会政治に関するものを略述して、一般公衆、特に選挙人の反省を促せるものに過ぎない。この事実がどうして不敬罪に該当するかほ、何人もこれを理解しかねるだらう。以上
 
昭和十九年四月十四日
大審院第3刑事部
裁判長 三宅正太郎殿
 
                 被告 尾崎行雄
 
                        (つづく)

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
『巣ごもり京都観光動画』★『世界文化遺産・京都南禅寺(3/29)参拝の全記録』☆『石川五右衛門が「絶景かな・」とうたった大山門へ』☆『京都三大山門の1つを拝観、高さ22メートルかから、京都市内を見渡す、まさに絶景だったよ』

  世界文化遺産・京都南禅寺(3/29)に参拝すー石川五右衛門が「絶景 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(114)/記事再録☆『世界が尊敬した日本人(36)ー冷戦構造を打ち破り世界平和を模索した石橋湛山首相』★『世界の平和共存、日本の対米従属から自主独立を盛り込んだ「日中米ソ平和同盟」の大構想を掲げ対米関係は岸、池田首相に任せ、自らソ連に飛んで、日ソ平和条約を話し合った大宰相』

    2015/10/11 &nbsp …

no image
日本リーダーパワー史(186)動画版『世界一の撃墜王・坂井三郎は64勝無敗』ーその超人坂井語録から学ぶ(1)

日本リーダーパワー史(186) 動画版『世界一の撃墜王・坂井三郎は64勝無敗』そ …

『Z世代のためのトランプ米大統領講座㉔』★『ChatGPT対ディープシークのパラドックス』★『AIは今世紀における最も重要な地政学上の戦場』★『ディープシーク「ディスティレーション(蒸留)」の疑惑』

中国の人工知能(AI)スタートアップ「DeepSeek」(ディープシーク)が低コ …

no image
<米国での政府対メディアの取材ルールの変遷>

1 <米国での政府対メディアの取材ルールの変遷> 2003 年4 月 前坂 俊之 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(85) 『12年度版「エネルギー白書」の欺瞞 (6・21)』『「憲法96条改正」の危険な動き(6・19)』

 池田龍夫のマスコミ時評(84)   ◎『12年度版「エネル …

『Z世代のための米大統領選挙連続講座⑧』★『米大統領選挙・激戦州でハリス氏僅差でトランプ氏上回る」★『トランプ氏の終身大統領の野望!?』

ブルームバーグ(7月31日)によると、ハリス副大統領が激戦7州の有権者支持率で共 …

no image
『世界サッカー戦国史』①ー『W杯ロシア大会と日露戦争(1904)の戦略を比較する。西野監督は名将か、凡将か➀ 

  『世界サッカー戦国史』① W杯ロシア大会2018と日露戦争(190 …

『オンライン/2022年はどうなるのか講座➄』★『過去に固執する国に未来を開くカギはない。不正な統計データの上にデジタル庁を築いても砂上の楼閣』★『厚労省の不正統計問題(2019年2月)」は「不正天国日本」を象徴する事件、2度あることは3度ある<ガラパゴスジャパン不正天国病>』★『太平洋戦争中の<ウソ八百の大本営発表と同じ>」★『昭和の軍人官僚が国をつぶし、現在の政治家、官僚、国民全体が「国家衰退、経済敗戦」へ転落中であることを自覚していない』

2019/02/18  日本リーダーパワー史(969)記事再録 「厚労 …

no image
近現代史の復習問題/記事再録/日本リーダーパワー史(498)-『 2018年は明治維新から約150年、大東亜戦争(アジア太平洋戦争)から73年目を前に― <日中韓の対立激化を戦争へ発展させるな!>

2014年5月13日/ 日本リーダーパワー史(498)  & …