『リーダーシップの日本近現代史』(169)記事再録/『亀岡市レジ袋禁止条例ガンンバレ』★「30年間カヤック釣りバカ老人の鎌倉海定点観測」-『海を汚染、魚を死滅させる有毒マイクロプラスチックが食物連鎖で最終的に魚食民族・日本の食卓を直撃する』★『プラスチックを規制し、1人年40 枚にレジ袋を減らす規制をしたEU対1人が年300枚のレジ袋を使う日本はいまだ規制なし』
記事再録/「老人と海」-海を死滅させるマイクロプラスチックの脅威
30年間鎌倉カヤック釣りバカ老人
歳をとっても子供のころの楽しかった遊びだけは終生変わらない。古稀をとっくに過ぎた私には毎週1回のカヤックフィッシングが欠かせない。
6月13日午前5時、カヤックを準備して、近くの鎌倉材木座海岸から漕ぎ出した。
約1キロ沖の鎌倉海のポイントを目ざして両腕と腹筋の筋トレパドル1万回漕ぎの海上散歩である。カヤックを係留し二本のリール竿を投げ込み、波に揺られながら魚クンの魚信を待つ。誰もいない大海原、江ノ島の上にポツンと富士山が見える。
(上の動画は別の日のものです)
波に揺られながら深呼吸を繰り返すと、たまっていた心のゴミ箱が一瞬にしてクリ―ンアップされ、元気バッテリーが充電される。
魚信も魚によって違う、「コツコツ,ギュン、ギュン」といきなり竿をひったくるやつ。ブルブル小刻みに竿が振動させ、突然竿先が海中に突っ込む、これは大物のしるしだ。
海面に血を流したような赤潮が流れている。海藻の切れはし、木片、ビニールゴミ、ペットボトル、発泡スチロールの断片、クラゲなどが次々に流れてきて、パドルに引っ掛かり、空からはカモメもあいさつにくる。
リールを巻くと、ビニール袋がひっかかって上がってきた。日常生活空間から断絶した『シーパラダイス』から気がつけば納竿の2時間が経過、この日の釣果は残念ながらキス1匹のみ、アタリもない。
30年間、この豊饒の海で「カヤックフィッシング」を仲間と楽しんできたが、この2年ほどは『釣れない日』が続いている。30年前には1回3-40匹、10年前には10匹以上は釣れたものだが、このところ地球温暖化、海水温の上昇のせいか、さっぱり釣れない『老人と海』の状態が続いている。
材木座海岸に帰る途中にある日本最古の港跡の国史跡「和賀江島」の沖合は10年前までは海藻類が広範囲に繁茂していたが、今やほとんど死滅してしまった。
潮の引いた砂浜に上がると、かつては多くいたヤドカリ、カニ、ウミウシ,ヒトデなどの海生物の姿もない。あのウジャウジャいた気持ち悪いフナムシも姿を消した。海岸のあちこちに打ち上げられた海藻類とビニー袋、ペットボトル、発砲スチロールなどが散乱している。
レイチェル カーソン著『沈黙の春』(1962年)の警告から約半世紀。生物連鎖による全地球的規模の環境汚染の「死の行進中」であることが、私の定点観測からでもよくわかる。
そんな中で、海洋汚染の新たな元凶として「マイクロプラスチック」が大きくクローズアップされており、各国の規制が進んでいる。
確かにカヤックフィツシング中に小さなプラスチック断片や発泡スチロールの微細な粒々が海面をキラキラ光りながら浮遊しているのをよく見かけた。
その「マイクロプラスチック」とは「大きさが5mm以下のプラスチック」のことで、海洋に流出したプラスチック製品が紫外線や波や熱によって細分化したもの。
もう1つプラスチック製品をつくる過程の中間材料のレジンペレットと、洗顔料や化粧品などに含まれているマイクロビーズなどがある。
プラスチック類の世界での海洋流出量は毎年800万トンにものぼり、2050年年までには魚の量を上回るともみられている(16年ダボス会議報告)。
海中や海岸の砂浜で波や熱にもまれてボロボロになって細分化された1枚のレジ袋から数千個のマイクロプラスチックができると言われる。
マイクロプラスチックが危険なのはプラスチック自体が酸化防止剤、難燃剤などの有害化学物質を含んでいるのとPCBなどの残留性有機汚染物質を吸着して濃縮することで、その有害化学物質の濃度は海水中の濃度の数万~百万倍の濃度に達するものもあるという。(兼廣春之・東京海洋大学名誉教授)
高田秀重・東京農工大学教授の調査では、東京湾のイワシ64匹中49匹の胃袋の中からから「マイクロプラスチック」が発見され、東京湾や沖縄県、座間味島の海岸の二枚貝の中に大量に蓄積していることがわかった。日本周辺の海は急速に「死の海」と化している。
マイクロプラスチックを取り込んだプランクトンが死滅したというベルギーの大学教授の研究もある。
もしそうであれば、魚類の資源の大幅な低下につながり、食物連鎖の頂点に位置する人間の人体にさらに有毒物質が蓄積されて続けていけば人類の生存にも影響する。特に、魚食民族の日本人にとっては大問題である。
このマイクロプラスチックの脅威に対して、欧州連合は2014年にいち早くレジ袋の規制を打ち出し、加盟国に削減案策定を義務づけ、1人年40枚に減らす目標を掲げた。
フランスでは昨年からレジ袋の提供を禁じた。米国は15年11月に合衆国連邦法でマイクロビーズの化粧品への配合を禁止。イギリスも18年6月、マイクロビーズを含む製品の生産、販売を禁止している。
ところが、日本の対応は1,2週の遅れである。1人が年300枚のレジ袋を使うという日本では法的規制や数値目標はない。自治体ごとの対応に委ね、ゴミの分類収集と有料化による削減策などにとどまる。
四面が海に囲まれた島国日本、魚主体の和食が世界的にブームになっている日本にとって新たなる危機である。
現場から 海を殺すな、プラスチック汚染
http://news.tbs.co.jp/newsi_sp/osen/index.html
第1回 忍び寄るマイクロプラスチック汚染の真実
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/18/053000010/053000001/
海洋ごみとマイクロプラスチックに 関する環境省の取組
http://www.env.go.jp/water/marine_litter/00_MOE.pdf
関連記事
-
-
「トランプ関税と戦う方法論⑬」★『日露戦争勝利と「ポーツマス講和会議」の外交決戦始まる①』★『ロシア皇帝ニコライ二世は「あの黄色子猿の日本軍」などは簡単に勝てる」と侮っていた』★『皇帝が寵愛したロシア総司令官・アレキセーエフと陸軍大将・クロポトキンの2重指揮体制が対立し分裂、混乱、敗戦した』
2022/04/04 オンライン講座/ウクライナ戦争と日 …
-
-
知的巨人の百歳学(151)ー 東西思想の「架け橋」となった鈴木大拙(95歳)―『禅は「不立文字」(文字では伝えることができない)心的現象』★『「切腹、自刃、自殺、特攻精神は、単なる感傷性の行動に過ぎない。もつと合理的に物事を考へなければならぬ」』
東西思想の「架け橋」となった鈴木大拙(95歳) 前坂 俊之(ジャーナリスト) J …
-
-
高杉晋吾レポート⑳ルポ ダム難民④●農業で鍛え上げられた住民の底力、洪水時にも発揮!
高杉晋吾レポート⑳ ルポ ダム難民④ 超集中豪雨の時 …
-
-
日本メルトダウン脱出法(859)「日本をもっと優秀な国にするために最初にすべきこと 卓越性、多様性、流動性をつけたければ「逆」の排除を」)●「若者のフェイスブック離れが進む“SNS疲れ”の深層」●「中国のアジア戦略が失速、日本への態度も軟化? 強硬な戦略がもたらした「不都合な結果」とは(古森義久)」●「日本株式会社:よみがえった国家介入主義M&Aブームの陰に経産省あり(英FT紙)
日本メルトダウン脱出法(859) 日本をもっと優秀な国にするために最初にすべきこ …
-
-
日本メルトダウン脱出法(886)『ドイツ提唱「ソブリンと銀行の共倒れ」防止策、ユーロ圏に亀裂』●『本当は人工知能が仕事を増やすという試算』●『天からの新札? ヘリコプターマネーは日本に恩恵をもたらすか(浜田宏一)』●『起業をして成功する人の7つの共通点』●『LINE元CEO森川亮氏が「成功」を捨て去れるわけ』
日本メルトダウン脱出法(886) ドイツ提唱「ソブリンと銀行 …
-
-
日本リーダーパワー史(140)国難リテラシーの養い法②関東大震災復興計画はどうなったのかークローデルの警告★
日本リーダーパワー史(141) 国難リテラシー②関東大震災の復興計画はどうなっ …
-
-
日本メルダウン脱出法(661)「コラム:ドローン落下が暴露、日本産業界の「鈍重さ」●「これからのビジネスに必要なのは、世界基準の「暗黙の了解」を知るこ
日本メルダウン脱出法(661) コラム:ドローン落下が暴露 …
-
-
百歳学入門(246 )-動画で認知症予防法ー三文ライターの書斎の窓から(11/5)原稿書きに疲れたならば、庭のカマキリ、クモ、スズキとネコジャラシと遊べばストレス発散、楽しいよ!』★『鎌倉アホ仙人「材木座海中温泉」入浴の巻「いい塩湯だね、超気持ちいい』
百歳学入門(246 ) 動画で認知症予防法/三文ライタ …
-
-
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑥-『朝鮮の各国との通商こそ,国土保全の所以である(上)』(1882/12)
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパーセプ …
-
-
“PVJapan2015、「再生可能エネルギー世界フェア2015」三菱電機、「リコー」、OKUJI(奥地建産) KANEKA(カネカ)の動画プレゼン
日本の最先端技術「見える化」チャンネル 太陽光発電に関する総合イベント“PVJ …
- PREV
- 『リーダーシップの日本近現代史』(168)記事再録/『日本で初めて女性学を切り開いた稀有の高群逸枝夫妻の純愛物語』★『結婚とは死にまでいたる恋愛の完成である』★『1941年(昭和6)7月1日は日本の女性学が誕生!』★『火の国の女の出現』★『日本初の在野女性研究者が独学で女性学を切り開いた』★『 至高の純愛日記』
- NEXT
- 『リーダーシップの日本近現代史』(170)記事再録/「プラゴミ問題、死滅する日本周辺海」(プラスチックスープの海化)ー世界のプラゴミ排出の37%は中国、2位のインドネシアなど東南アジア諸国から棄てられた海洋プラゴミは海流によって日本に漂着、日本の周辺海域は「ホットスポット(プラゴミの集積海域=魚の死滅する海)」に、世界平均27倍のマイクロプラスチックが漂っている』

