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世界/日本リーダーパワー史(966)ー『トランプ大統領弾劾問題と米中テクノナショナリズムの対立(上)』★『トランプとロシアとマフィアの三角関係』★『政治ショウ化した弾劾裁判のむつかしさ』

   

世界/日本リーダーパワー史(966)

トランプ大統領弾劾問題と米中テクノナショナリズムの対立(上)

前坂俊之(ジャーナリスト)

 

3月1日期限の「米中通商協議」についてトランプ米大統領は2月12日に合意に近いなら、関税引き上げ期限の延期を否定しない考えを示唆した。一方、メキシコとの壁の建設、政府封鎖の件でも共和党と民主党は国境管理をめぐる施策で合意した。これによって連邦政府予算が成立すれば、一部政府機関の再閉鎖は回避できる見通しとなった。しかし、ロシアゲート事件そのたのトランプ大統領の弾劾問題はこれから本番を迎え、3月にはモラー特別検察官から出される捜査報告書の内容に注目が集まっている。米ねじれ議会での弾劾論争バトルの開始である。

ロシアゲト事件でトランプ弾劾訴追の幕開け

「新年早々の米議会開催中に2つのスクープがあった。1つが「大統領がロシアに内通していたとの“スパイ“疑惑」(ニューヨーク・タイムズ1月11日付」でトランプ大統領が米国益に反してロシア側のために働いていたのではないかという“モグラ”(潜入スパイ)疑惑をモラー特別検察官が捜査しているという内容。

もう1つは米ロ首脳会議でトランプが会談メモを通訳から取り上げて、「隠ぺい」した疑惑(ワシントン・ポスト1月13日付)です。トランプ大統領は就任以来、プーチン大統領とは5回会談しているが、2017年7月の独ハンブルグでの米ロ首脳会談の際、トランプ氏は通訳からメモを取り上げ会談内容を米政権内部の当局者に漏らさないように口止めした。側近を交えずに2人だけの会談に限定し、プーチン氏とのやり取り、記録類は一切残さなかった、という。2018年7月のヘルシンキの首脳会談も、会談内容は記録していないなど、大統領としては前代未聞、言語道断の行為と批判されている。」

「ロシアゲート事件担当のモラー特別検察官はロシアが大統領選でトランプを勝たせようと画策した疑惑をトランプ本人が承知し指示したかどうかを捜査している。そのターゲットの1つは、トランプの長男トランプJRとポール・マナフォード選対本部長(当時)、娘の夫ジヤレッド・クシユナーがヒラリー・クリントン候補につながる情報をもったロシア人弁護士と会談した一件だ。マナフォート被告はヒラリー・クリントン氏の弱点を探すためにロシアと接触した疑いで昨年8月に起訴され、同時にトランプ陣営の外交顧問のジョージ・パパドプロス被告は「上層部に報告した」と裁判で証言している。
また、マナフォート被告が2016年の米大統領選中にロシア軍の情報機関(GRU)とつながりを持つロシア人政治コンサルタントに選挙データを提供したことも1月に明らかなった。米議会では、下院で多数派を確保した民主党がロシア疑惑の追及を強める見込みだ。マナフォート被告の捜査などでトランプ大統領の疑惑関与が明らかになれば、大統領弾劾を求める声が一層強まる可能性がある」
(C)「確かに、共謀疑惑の捜査は着々と進んできた。BBC(1月26日電子版)よると、米連邦大陪審は1月25日、共和党の選挙ロビイストでトランプ大統領の長年の盟友のロジャー・ストーン氏(66歳)をロシア疑惑捜査に関する罪状7件(偽証5件、証人買収など)の罪で起訴した。罪状は米大統領選の最中にロシア当局が
民主党全国委員会をハッキングした事件で、ストーン被告は、流出メールの公表に先駆けてウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏に連絡をとった。ウィキリークスはハッキングで流出した民主党幹部やヒラリー・クリントン陣営幹部のメール公表し続けたという疑惑だ。米情報機関は17年1月、ウィキリークスが暴露したメールを提供したのはロシア軍参謀本部情報総局(GRU)と断定しているのです。」
 

トランプとロシアとマフィアの三角関係

「ロシアとトランプの黒い関係は昔からなのです。『トランプを作った黒すぎる人脈―マフィアの首領まがいの言動に歴史あり40年末、大統領は裏社会と「ずぶずぶの仲」ジェフ・スタイン(ジャーナリスト)「ニューズウイーク日本版2019/01/29』に詳細に書かれている。

それによると、トランプが育ったニューヨーク市クイーンズ区はマフィアの巣窟でそれがトランプの人格形成に大きな影響を与えた。マフィアとその代理人の弁護士を顧問に雇ったトランプはトランプ・タワーとトラ一ンプ・プラザを建設に成功した。また、ロシアのスパイ機関と「ロシアの政商」とマフィアの犯罪組織は三位一体化していることは公然の事実で、1991年のソ連崩壊以後、ロシア・マフィアはアメリカの地下組織に流れ込み、イタリア系マフィアと同盟関係を結んだ。

後にトランプの顧問弁護士となるロイ・コーエン(赤狩りを仕掛け人で、70年代にはニューヨークマフィアの代理人)も10代の頃にブルックリンのロシア人街を頻繁に訪れて、「自分はロシア・マフィアの1員だと自慢していた」という。

トランプがモスクワでホテル関連の取引をしたとき、コーエンは契約をまとめるために派遣され、怪しい連中と渡り合い、プーチンに最上階のペントハウスを提供したというほどのどす黒い関係が続いていた、という。モラー検事の最終報告書は3月までに提出される予定で、このあたりの解明がどこまで進んだかが見ものです」

「こうしたロシア関連疑惑について、就任した民主党のエンゲル下院外交委員長は手ぐすね引いて待っている。プーチン氏との首脳会談を含め、トランプ政権の外交政策を調査する小委員会を設置し、徹底的に追及すること方針を明らかにしている。共和党、民主党の全面対決で大幅に遅れた一般教書演説が2月4日にやっと終わって議会で本格的な論戦がスタートする。

これからは、ロシアゲート疑惑、トランプスキャンダルで誰を証言をさせるとか、召喚状を連発して何度でも召喚して、数多くの公聴会を開いて、徹底的にトランプを追及する派手な政治的のショー、メディアの報道合戦の1年間演じられることとなるでしょうね」

「ただし、民主党が最後までがんばって大統領の弾劾まではやるかというと、そこは疑問です。上院の過半数は共和党が握っており、議員の3分の2の賛成がないと弾劾は成立しないので、共和党の一部が賛成に回らねば弾劾は難しい。そうなると、いろんなスキャンダル資料を民主党主導の委員会で集めて「弾劾だ!弾劾だ!」「トランプはマフィアのボスだ。悪い奴だ?」と派手なパフォーマンスでトランプ批判をやる。次期大統領選挙対策として反トランプ票を増やす作戦です。その間に、新しい民主党の大統領候補を押し立てていく政治ショウ化です。これで今年は明け暮れするのではないでしょうか」

政治ショウ化した弾劾裁判のむつかしさ

「モラー検察官の報告書は3月までに出されるというが、そこからの民主、共和党、大統領の激しい政治的な駆け引き、委員会での証人喚問の連発、追及バトルになり、報告書の内容開示を求める法的なプロセスは複雑多岐そのものです。トランプはモラー特別検察官の上に座る新司法長官にウィリアム・バー氏を指名し、議会でも承認された。バー氏はモラー氏の報告書の全面公開に慎重な姿勢を示している。

ただし、バー司法長官は現職の大統領は弾劾起訴できないという規則があるために、刑事訴追しないことを選ぶ可能性が高い。トランプは新たな弁護団を組織し、報告書の公表を阻止しようと画策し、最高裁まで争う姿勢を見せている。

バー氏が捜査報告書を非公開にしても、権限のある下院と司法省の間で法廷闘争に発展するかもしれない。また、メディアがそのうちにすっぱ抜くことも考えられる。とにかく、いろいろハードルが高いため、ねじれ議会はこの件に忙殺されて、国内政治も外交もストップし後回しになる。国内外に大きな影響が与える可能性は高いと思う」

「結局、「ニューヨークマフィアのボスのような男」とコミー元CIA長官に批判されたトランプ大統領は裏社会でマフィアとの協力関係で不動産王にのし上がった。さらに選挙で自分も予想しなかった大統領に<誤って当選した>という悲喜劇でしょ(?!)。だから、大統領の柄ではないし、本人も「心ここにあらず」で大統領の職務を果たす気もない。「トランプ大統領の時間の大半は「オタク活動」に充てられている」(前掲ニューズウイーク2019年2月4日号)がスッパ抜いている。

それによると、トランプの1日の60%は、たった一人で誰にも邪魔されず、何の予定もない「エグゼクティブ・タイム」。トランプが起床してから寝るまでの時間(計502時間)のうち、なんと297時間15分がエグゼクティブ・タイム、予定された会議は77時間で、移動時間は51時間。約40時間は昼食タイム。

トランプは通常午前6時前に起床するものの、午前中も半ばまで大統領執務室にはこない。執務室の机の上に置かれた重要書類も見ていない、世界的な知識、IQは小学生低学年並みと批判したのはマティス元国防長官の言葉。1日の最初のミーティング(情報当局者や首席補佐官らとの)は11〜11時半まで。それ以外のプライベートな時間はテレビを見たり、ツイッターでメディアを批判したり、手あたり次第に電話をかけたりで、それだからこそ1日に何10本ものツイッターを打つことが出来たわけだよ(笑)」

つづく

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

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