前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『ニューヨーク・タイムズ』「英タイムズ」などは『ペリー米艦隊来航から日本開国をどう報道したか」★『『日本と米合衆国ー通商交渉は武力を 誇示することなく平和的に達成すべし(NYT)』

      2017/12/05

   1852 年(嘉永4)2月24日付

ニューヨーク・タイムズ』

『日本と米合衆国ー通商交渉は武力を

誇示することなく平和的に達成すべし』    

春の初めには出発するはずだった日本への遠征隊(ペリーの黒船)の件はどうなっているのであろうか。蒸気艦を主力とする大艦隊を編成し,その司令長官にはペリー提督がすでに任命されている。

遠征の真の目的は公式には発表されていないが,巷間の噂は正しいように思われる。日米両国間の通商打開がうまくいけば,双方に利益となろう。

われわれはこの目的のために良き手腕を発揮すれば,交渉は武力を誇示することなく平和的に達成できると信ずるものである。

 ペリー提督は現在ワシントンで航海の準備中であり, 数隻の蒸気艦とフリゲート檻1隻およびコルベット檻1,2隻からなる艦隊というものは,とても平和的示威とは見えない。

この艦隊が日本の沿岸に近づいたなら.住民は驚愕して港町から逃げ出してしまい,気持ちが動転してとても誠意をもって交渉にあたることは不可能になるのではないか,と恐れる。

なるほど,日本側は恐怖のあまり,なんらかの条約を結ぶことに応じるかもしれない。しかし彼らは軍艦が立ち去ったとたん,それを反古にしても少しもかまわないと恩うだろう。

 未開の国民と交渉するに際しては,力に訴える前にまず彼らの信頼と好意を得る努力が必要だと思う。

彼らが裏切ることがあるとすれば,それは強引に成約させられた場合であって.抑止力が外れた瞬間裏切りが行われるであろう。しかし日本が国家として裏切るかどうかは分からない。

ただ,以前通商を許されていたポルトガル人からその方法を学んでいるかもしれない。

 日本との国交を確立するという目的のためには.艦隊は東方海上に集まり,交渉の成功,不成功,あるいは相手側の誠意.不誠意に応じて行動する態勢をとるのがよい。

そして必要とあらば,現在検討中の方法よりずっと穏やかな方法でわが武力を誇示し,協定を結ばせることは容易だろう。

わが国の地理的位置,国の大きさ,国の力を彼らによく理解させるべきである。

それに.われわれが日本の産物や製品を求めていること,そして代わりにわれわれが何を提供できるかを理解させなくてはならない。そして最後に,われわれは雅量ある国民であることを彼らに感じとらせるべきである。

そのためには.それにふさわしい行動をとらなくてはならない。このやり方は長期間かかるかもしれない-多分数年を要するだろう-しかし彼我の関係はその方が引き続き安定するだろう。強国が小国に対して高圧的な方策をとろうとする考え方をわれわれは嫌悪する。

 アメリカの難破船の船員が日本から受けた扱いに関しては,彼らにその償いをさせるのにさほど困難はないと思われる。償いをさせるために殺りくや破壊は不要である。

交渉を適切に進めるなら,なんらかの形の賠償は直ちに行われ,十分な満足が得られるであろう。

国際ニュース事典出版委員会『外国新聞に見る日本①」

                毎日コミュニケーションズ 1989年

 - 人物研究, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

世界が尊敬した日本人ー『エ・コールド・パリ』・パリ画壇の寵児となった『世界のフジタ』藤田嗣治 

世界が尊敬した日本人 前坂 俊之静岡県立大学名誉教授   明治以降の日 …

『リーダーシップの日本近現代史』(207)記事転載/ーお笑い日本文学史『文芸春秋編」①ー直木三十五『芸術は短く、貧乏は長し』 と詠んで『直木賞』に名を残す』●『菊池寛・文壇の大御所を生んだのは盗まれたマントだった。

 2016/02/13 /10お笑い日本文学史『文芸春秋編」 …

no image
『中国紙『申報』からみた 『日中韓150年戦争史』 日中韓のパーセプションギャップの研究』㉚「中日和合し難し」

   『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中 …

★⑩リバイバル公開『百歳学入門(194)』<海楽人の快楽・天然・自給自足生活をしよう!>『★動画大公開―『Midsummer in KAMAKURA SEA』 <シーラが海上を大乱舞、イナダ、ソーダガツオと カヤック・フィッシングは大漁じゃ>』

2011-08-13 公開したもの。 『2018、2,6大寒波襲来を飛ばせ!』 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(11)記事再録/『ニューヨーク・タイムズ』<1896(明治29)年7月20日付)がみた明治のトップリーダー・伊藤博文の英語力、対外発信力とは

       2010/02/ …

no image
高杉晋吾レポート(22)ルポ ダム難民⑥<和歌山県新宮、田辺本宮、古座川、白浜、日高川中津、日高美浜町の現場ルポ>

高杉晋吾レポート(22)   ルポ ダム難民 ⑥ 超集中豪雨の時代のダ …

no image
<野口恒のインターネット江戸学連続講義①>『江戸から学ぶウェブ社会の活力①』町民社会の庶民ネットワ-ク

日本再生への独創的視点<インターネット江戸学連続講義>   『江戸から …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(88)◎『菅元首相が、安倍現首相を名誉毀損で訴え- 海水注入の是非をめぐって(7・19)』など

   池田龍夫のマスコミ時評(88) ◎『菅元首相 …

no image
『百歳学入門』(230)『わが鎌倉30年カヤック釣りバカ日記』懺悔録-海には毎回、大自然のドラマがあり、サプライズがあるよ!

 2013/06/21の記事の再録 『鎌倉30年カヤック釣りバカ日記』懺悔録- …

日本リーダーパワー史(711)陸軍軍人で最高の『良心の将軍』今村均(陸軍大将)の 『大東亜戦争敗戦の大原因』を反省する①パリ講和会議で、日本は有色人種への 「人種差別撤廃提案」を主張、米、英、仏3国の反対で 拒否され、日本人移民の排斥につながる。

  日本リーダーパワー史(711)  『良心の将軍』今村均( …