★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < 東アジア・メルトダウン(1070)>★『北朝鮮の暴発はあるのか?』★『人間は後ろ向きに未来に入って行く(ヴァレリーの言葉)』●『過去の歴史的な知見にたよりながら未来を想像し、後ろ向きに歩むので、未来予想は誤りやすい』★『それでも、北朝鮮の認識と行動のルーツを知ることは一歩前進ではあろう』
2017/09/04
C
1894(明治27)年の日清戦争のそもそも原因は、朝鮮に起因する。
というよりは朝鮮半島の地政学的条件が問題であったというべきであろう。ヨーロッパにおけるバルカン半島が火薬庫(第一次戦争での)であったとすれば、朝鮮半島はまさしく「東アジアにおける火薬庫」バルカン半島なのである。
地理的には朝鮮半島は付け根で中国大陸につながり、その反対の先端では日本列島からわずか40キロしか離れていない、日本と朝鮮・韓国は一衣背水に地理的な位置をしめており、この関係は永遠に動かすことが出来ない。切ってもきれない地理的条件である。
明治維新直後の東アジア情勢は、大清帝国は西欧列強から侵略され老朽化、衰退化しており、一方、鎖国から目覚めた日本帝国は列強侵攻の危機感を持ち、開国熱に燃えていた。いわば、新興日本にとってこれが最初のグローバリズムの洗礼でもある。
ところで、日本と朝鮮の間柄は、肩の触れあう仲でありながら、昔から善隣友好関係にあったとはいいがたい。両国は交際ということを、あまりしてこなかった。
徳川幕府の鎖国はよく知られているが、朝鮮の李朝のそれは幕府以上といってよい。わずかに慶弔のことにかぎり形式的な通信使12回の来往があったのみである。
幕府瓦解、明治新政府が成った時点、木戸孝允は日本の政体が変ったことを知らせ、新しく友好関係を築きたいという国書を朝鮮へ送った。
なぜ、朝鮮に修好条約を求めて国交を迫ったのか。そのカギは
明治元年三月十四日の「五ヶ條の御誓文」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E7%AE%87%E6%9D%A1%E3%81%AE%E5%BE%A1%E8%AA%93%E6%96%87
にある。
1868年に明治天皇が示した新政府の基本方針で、
- 広く会議を開いて、すべての政治は、世論に従い決定する
- 政治家と国民が心をひとつにして国家統治と政治を行うべき)
- 古い慣習を打ち破り 国際法に基づくべき)
- 知識を世界に広く求め、政治の基礎を盛んにすべき
など、150年前にしては大いなる改革、王政復古という名の近代的な革命といってよい。
http://www12.plala.or.jp/rekisi/gokajyougoseimon.html
この封建国家から近代国家への開国宣言ともいってよい「五ヶ條の御誓文」には明治天皇のメッセージが添えられていた。
明治天皇の一般国民へ『日本開国のグローバル宣言』
ともいうべき御宸翰(しんかん、天皇の自筆の文書)である。
『かくも雄大なる維新中興の規模を実現し、皇威(天皇の威光)を六合八紘(世界)にあまねくしらしむるためには、三百年間徳川幕府の鎖港政策によって中断されたる対外問題を根本的に解決し、東洋に於ける日本国家の地位を確立する必要に迫られていた。
近来宇内(うだい、世界のこと)大いに開け、各国四方に相、雄飛するの時に当り、独り我国のみ世界の形勢に暗く、旧習を固守し、一新の効を図らず。
朕、徒(いたずら)に九重(皇居)の中に安居し、一日の安を愉(たのし)み、百年の憂を忘るる時は、遂に各国の凌侮(りょうぶ、侮蔑、軽蔑されること)を受け、上は列聖(歴代の天皇)を辱め奉り、下は億兆(国民)を苦しめんことを恐る。
故に朕、茲(ここ)に百官諸侯と広く相誓い、列聖の御偉業を継述し、一身の艱難辛苦を問はず、親(みずか)ら四方(国)を経営し、汝億兆を安撫し、遂に万里の波濤(はとう)を拓開し、国威を四方に宣布し、天下を富嶽(ふがく)の安きに置かんことを欲す。』
かくも雄大なる維新中興の規模を実現し、皇威を六合八紘にあまねからしむる三百年間徳川幕府の鎖国政策によって中断されたる対外問題、外交問題を根本的に解決し、日本国家の独立と国際的な地位の確立する目指すという内容である。
今読み返しても、なかなか先駆的な文面である。
この時、明治維新政府には、幕府以来の懸案の外交問題が3つあった。
第一は條約改正問題、第二は辺彊画定(国境画定)問題、第三は韓国問題がそれである。
條約改正問題は幕府の結んだ通商航海條約改正であり、辺彊画定問題は小笠原島問題、琉球、台湾問題、樺太、千島問題等で極めて複雑であった。
清国に従属していた朝鮮はロシアが不凍港をもとめて虎視眈々の狙っており、国家緊急の問題だったのである。 朝鮮半島は日本列島の横腹に突きつけられたヒ首のような存在で、朝鮮半島の危機は直ちに日本の危機につながる。
この地政学的な条件と戦略的価値は昔も今も変わらないからだ。
「朝鮮半島の帰属をめぐって、明治維新後から現在までの150年間で、日清戦争、日露戦争がおこり、日本の敗戦(1945)後は、パワーバランスが一転し、朝鮮戦争の勃発、ベルリンの壁の崩壊後(1989)、ドイツ統一後も、韓国北朝鮮の分裂国家は東西冷戦の落とし子として70年近く対立を続けて、今日の米・北朝鮮の第2次朝鮮戦争の危機を迎えているのである。
話を、朝鮮との修好問題に移すと
徳川幕府はそれまで朝鮮との通商は対馬藩に一任しており、1868年(明治元)三月に同藩主の宗氏が家臣の大差使・樋口銀四郎、副差使・菰田多記を朝鮮に派遣して、国書の写本を韓廷に示した。
http://www.waseda.jp/folaw/icl/assets/uploads/2014/05/A04408055-00-004020039.pdf
その内容はつぎのようなもの。読みやすく、漢文にフリガナをふった。
『我邦皇祖連綿一系相承(う)く。太政を総攬(そうらん)する。ここに二千有余歳なり。然れども中世以降、兵馬の権を挙げて武将に任せ、外国交際並び之を管す。爾後、昇平の久しき、流弊無き能(あた)はず。而して貴国の交誼業に既に久し。宜しく益々懇欵(こんかん)を結び、万世渝(かわ)らざるべし。是れ我皇上の盛意なり。乃ち使を馳せて旧好を修む。冀(ねがわ)くば此旨を諒せよ。』
同時に、宗氏の韓廷に送った書翰にも、
本邦頃(このご)ろ時勢一変し、政権一に皇室に帰す。貴国と隣誼(りんぎ)ある固(もと)より厚し。豈に欣然(きんぜん)たらざらんや。別使を遣差し且つ顛末を陳ぶれば茲(ここ)に贅(ぜい)せず。不佞(ふねい・無能)嚮(さき)に勅を奉じて京師に朝す。
朝廷旧勲を褒(ほう)し、爵を加し官を左近衛少将に進む。更に交隣職を命じ、永く不朽に伝う。又澄明印記を賜う。要するに両国交際益々厚く、誠信永遠渝(かわ)るなし。叡慮在るところ感佩(かんぱい・感謝)曷ぞ極へん。今般差別使書翰、新印を押し以て朝廷の誠意を表す。貴国亦宜しく領可すべし……。云々」
しかし、朝鮮側は文中に「皇」「奉勅」(天皇の命令のこと)」などの文字が入っていたのに驚愕し、国書を突き返した。「皇」は宗主国の清国皇帝へしか使われず、天皇が朝鮮国王の上に立つことを意味すると誤解し、朝鮮侵略への野望があると判断したのである。そして、その後も日本の国交の要求を拒否し続けた。
これが現在まで延々と続く「日中韓北朝鮮の150年の対立、戦争」の発端である。相互のパーセプションギャップ(認識ギャップ、思い違い)、コミュニケーションギャップ、その中心のエスノセントイズム(自民族、自文化優先主義)は2重3重にねじれて、もつれて、解きほぐすことが出来なくなってくる。
つづく
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