前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(739)『大丈夫か安倍ロシア外交の行方は!?』(歴史失敗の復習問題)『プーチン大統領と12/15に首脳会談開催。★『「ロシャに対しては、日本式な同情、理解で 仕事をしたら完全に失敗する。 ロシャは一を得て二を望み、二を得て三を望む国であり、 その飽くところを知らず、このようなものに実力を示さずして 協調することは彼らの思うままにやれと彼らの侵略に 同意するのと同じことだ」 (ロシア駐在日本公使・西徳二郎)』

   

 日本リーダーパワー史(739)

『大丈夫か安倍ロシア外交の行方は!?』

(歴史失敗の復習問題)『プーチン大統領と12/15に首脳会談開催。

  山県・ロマノフ会談でロシャの外交戦略、謀略に『赤子の手を

ひねるようにやられた』原因は!

    前坂俊之(ジャーナリスト)

「ロシャに対しては、日本式な同情、理解で

仕事をしたら完全に失敗する。

ロシャは一を得て二を望み、二を得て三を望む国であり、

その飽くところを知らず、このようなものに実力を示さずして

協調することは彼らの思うままにやれと彼らの侵略に

同意するのと同じことだ」

(当時のロシア駐在日本公使・西徳二郎)

 

 

山県全権の「ノー天気」な腹の中を見て取ったロマノフ外相は、さらに有利な協定にするために踏み込んできた。

「このような原則的な簡単な協約では、これをわざわざ日露議定書として調印するまでもなかろう」と否定して、山県をあわてさせたうえ、

良ければと一言し上で

「朝鮮とロシャが約束して実行した、ロシャ国境(豆満江)から京城(ソウル)に至る間の電信線架設に関する権利(北朝鮮内)を日本も事後承認ではあるが、これを認めたという一項を後に添えてはくれまいか、それだったらロシャとしては議定書に調印してもよい。」(島貫重節『戦略・日露戦争 』原書房 1980年 42-43P)

ただし、この電信仮設承認の調印式は現在多忙なので、今日ここで調印はすることはできないが、日本側が口頭でもみとめていただければありがたい」と一パイ食わせた。

しかし結局は、時間的制約があり、山県全権はせっかく全権の資格を帯びて来て、なにかお土産がないと帰れないという気持ちから、うかうかこのロマノフ提案にのってしまった。

何のことはない、わざわざロシアのニコライ皇帝の大戴冠式に出席して、ロシア側の朝鮮侵略の行動、布石をそっくり認める議定書にサインしたのである。

もともと、ロシアの満州侵略、朝鮮へ併呑を阻止するための山県派遣だったのだが、その交渉下手、弱気のために、一方的にロシアの行為を認める内容となった。

ここにいう弱気の外交、軟弱外交とは『正当な自国の権利を主張せず、相手の主張とたたかわない』ことをいう。

このロマノフ提案に簡単に同意調印してしまったことは、後日批判を受けるはめになった。

結局、この日本側の正当な権利の主張をしない、言葉、態度で示さず、相手ににすぐ迎合する弱腰の態度が、ロシア側のその後の傍若無人の暴走、侵略を一層加速させていく。

ロシャは三国干渉以後、余り急激に日本を怒らせないよう慎重を期していたが、山県全権の軟弱な態度を見て、従来の方針を再確認した。

それは日本を無視して、遠慮なく今後は積極的に施策を進めていくことで、満州問題はロシア・清国の2国間の問題で、日本には関与すべきではないと決定したのである。

日本が旅順を清国に返還する時も、旅順は他のいかなる国にも譲渡をしない約束を清国に迫ったが、『露清密約』、『山県・ロマノフ会談』によってか、ロシアの租借地にされてしまったが、これも山県外交の弱腰にあったのだ。

このようなロシャの外交戦略、謀略に『赤子の手をひねるようにやられた』最大の原因は日本の長期国家戦略の策定とそのためのインテリジェンスが欠如していたためである。

山県こそ陸軍参謀総長、その上の陸軍の最高ポストに座りながら、そのインテリジェンス、外交力は低レベルで、西欧列強にはるかに及ばなかった。

そのための情報と知識がどうしても欠かせないのである。

福島中佐が単騎シベリヤ横断中に露都駐在の日本公使・西徳二郎

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%BE%B3%E4%BA%8C%E9%83%8E

から対ロ戦略(軍事・外交) の奥義をききだした。

西は「ロシャという国に対しては、日本式な同情、理解で仕事をしたら完全に失敗する。ロシャは一を得て二を望み、

二を得て三を望む国であり、その飽くところを知らず、このようなものに実力を示さずして協調することは

彼らの思うままにやれと彼らの侵略に同意するのと同じことだ」

警告していた。

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
速報(89)『日本のメルトダウン』 小出裕章情報2本『玄海原発の圧力容器の脆さ』『放射性物質を「無毒化」できない』

速報(89)『日本のメルトダウン』     ☆『玄 …

no image
日本リーダーパワー史(571)『わずか1週間でGHQが作った憲法草案>『憲法9条(戦争・ 戦力放棄)の)の最初の発案者は一体誰なのか⑤』再録

日本リーダーパワー史(571) 一連の「安全保障法制案」の本格的な 国会論戦が始 …

no image
日本リーダーパワー史(129) 『自滅国家日本の悲劇』ー太平洋戦争開戦でのリーダーシップと比較検証する①

日本リーダーパワー史(129) 迫り来る国家破産と太平洋戦争開戦でのリーダーシッ …

no image
日本リーダーパワー史(84)尾崎行雄の傑作人物評―『西郷隆盛はどこが偉かったのか』(下)

日本リーダーパワー史(84) 尾崎行雄の傑作人物評―『西郷隆盛はどこが偉かったの …

no image
終戦70年・日本敗戦史(96)『大東亜戦争とメディアー『発表報道=客観報道という名の悪しき<現実追認主義>』

      終戦70年・日本敗戦史(96) 『大東亜戦争とメディアー戦争での最初 …

no image
日本メルトダウン(1009)ー『中国空母隊の初太平洋進出と札幌空港での中国人騒動について』●『日清戦争の原因の1つになった長崎水兵事件にそのルーツが見える』

日本メルトダウン(1009)   防衛省によると、中国の空母「遼寧」が …

no image
『各国新聞からみた日中韓150年対立史⑥』『フランスによるベトナム(安南)侵略と琉球問題を論ず』中国紙(申報)

 『各国新聞からみた東アジア日中韓150年対立史⑥』   & …

no image
速報(334) ◎『暴落の予言に抗う日本国債―欧州の格下げ外国人投資家が殺到』◎『世界恐慌の危機―日本の教訓』ほか

速報(334) 『日本のメルトダウン』   ◎『暴落の予言に …

no image
日本の最先端技術「見える化」チャンネル☆「2015国際ロボット展」(12/2ー12/5,東京ビックサイト)②KAWASAKI,FANUC,NACHI,DAIHENのロボット展示ブース

 日本の最先端技術「見える化」チャンネル ☆「2015国際ロボット展」(12/2 …

陸羯南(くがかつなん)の日清戦争論⑥―日清戦争は約1800年前の神功皇后の三韓征伐、秀吉の朝鮮出兵以来の壮挙

陸羯南(くがかつなん)の日清戦争論⑥ 韓国問題が日清、日露戦争の原因―『我東洋問 …