前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『リーダーシップの日本近現代史』(191)記事再録/百歳学入門(76)日本長寿学の先駆者・本邦医学中興の祖・曲直瀬道三(86歳)の長寿養生俳句5訓を実践せよ

   

 

  2013/06/20 / 百歳学入門(76)

日本長寿学の先駆者・曲直瀬道三(86歳)の長寿養生俳句5訓

 

  食はただ よくやわらぎて あたたかに たらわぬ程はくすりにもます

②  酒とても 酔わぬ程にて 愁いさり 心をのべたし 気にかようなり

③  気をおしみ 口と淫事とつつしまば 老彭(ろうほう)ひとしその年のかず

④  のむ薬たのみをかけて何事も つつしまざるはそのかいもなし

⑤   謹みを 耳に聞きいれ心に得て おこなわぬ人はかいなし

 

前坂 俊之

(ジャーナリスト)

 

 

  • 「養生の基本を実践して長命を得た
    本邦医学中興の祖・曲直瀬道三(
    86歳)

 

日本近代医学の祖、漢方や古来の内外医書を研究して医学書『啓廸集(けいてきしゅう)』8巻を集成した曲直瀬 道三(まなせ どうさん、永正4年9月18日(1507年10月23日) – 文禄3年1月4日(1594年2月23日,86歳))は、戦国時代の医者で驚異の長生きである。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B2%E7%9B%B4%E7%80%AC%E9%81%93%E4%B8%89

 

今から500年前の86歳というと、現在のセンテナリアン(100歳人)以上の長寿だが、それは自ら実践した「養生法」の結果であろう。その意味では貝原益軒の「養生訓」の先駆者ともいえよう。

今の日本の浮付いた健康食ブーム、飽食、美食、サプリメント、アンチエジイング、老後の安全、安心の人頼み、医者頼み、介護頼み、西洋医学の翻訳頼み、ヒーリングとか、カイロプラクティックいう横文字をなんでも使う前に、日本にはもつと歴史的な古来からの健康法、養生法、精神修行、禅、茶道、香道とかを研究する必要がある。

道三はそれまでの観念的な医療方法を改め、中国金・元代の李・朱医学に根差した医道を大成し、現代風の自由で実証的な臨床医学の端緒を開いた。今では、医師が患者を診察する際、望診(患者の顔色を分析する)、聞診(患者から具合を聞く)、問診(患者に症状をただす)、切診(脈を測ったり聴診器を当てて症候を診る)を行うのは当たり前だが、500年前にとこれと同じ方法の四知(神・幸・功・巧)を行った。

 

また、療法のかたわら医術の教導に努め、養生書を普及させると同時に、病にかからないための注意、かかっても大事に至らせないための心得などを教えた点が特筆される。いまでいう予防医学であり、生活習慣病の克服である。こうした養生訓の著述を晩年にたくさん書いており、いずれも自己の体験、養生法、長寿法の実践から裏打ちされている、日本人の健康長寿の古典的な実践といえるし、貝原益軒よりも先駆的な業績であろう。

 

曲直瀬の「長寿・健康法」は次のような三ヵ条の戒めを説いている。

 

①    気を尽くし、心を苦しめること。

②    珍しい物の美食や、連続の飽満と夜食。

③    性交を欲しいままにして腎の精を尽くし、体力を消耗すること。

 

ストレスが健康には大敵、無分別に食事や偏食による栄養のアンバランスや消化不良をおこす。過剰なセックスのいましめである。

 

 自作の「養生俳句」を実践していたという。

 

⑥    食はただ よくやわらぎて あたたかに たらわぬ程はくすりにもます

⑦    酒とても 酔わぬ程にて 愁いさり 心をのべたし 気にかようなり

⑧    気をおしみ 口と淫事とつつしまば 老彭(ろうほう)ひとしその年のかず

⑨    のむ薬たのみをかけて何事もっっしまざるはそのかいもなし

⑩    謹みを 耳に聞きいれ心に得て おこなわぬ人はかいなし

 

 

①    は消化しやすい食べ物をほどほどにとること、

②    酒の適量を守ること、

③    臼気力を保って飲食と性交を控える。そうすれ伝説上の長寿者・老彭(ろうほう)のように長生きできる。

④    と薬効を信じて諸事を慎むこと

⑤    いかなる養生知識も実践しなければ意味がない

の意味である。自らの養生法を実践して、長寿を達成したこれが、弾けるというか、生活の日々の暮らし方であったのである。

 

<宮本義己著『戦国武将の健康法』(新人物往来社、1982)や『史伝健康長寿の知恵』を参考にしました>

            

 - 人物研究, 健康長寿, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
107歳のギネスの健康長寿・彫刻家平櫛田中のスローガン長寿の10訓

107歳のギネスの健康長寿・平櫛田中のスローガン10訓   前坂俊之( …

no image
日本メルトダウン脱出法(569)●『消費税10%へデフレ脱却取り組みを、首相指示」●『国際競争力ランキングで日本が6位に」

     日本メルトダウン脱出法(569) &nb …

no image
<日中韓三国志・新聞資料編>『台湾出兵』(1874明治7年)についての英『タイムズ』報道』<尖閣列島問題の参考記事>

<日中韓三国志・新聞資料編>   『台湾出兵』(1874年・明治7年) …

no image
速報(396)『日本のメルトダウン』『21世紀は「情報戦争」「サーバー戦争』の時代ー「サイバーセキュリティ」こそ最重要課題』

速報(396)『日本のメルトダウン』     ●『21世紀の …

no image
太平洋海戦敗戦秘史ー山本五十六、井上成美「反戦大将コンビ」のインテリジェンスー「米軍がレーダーを開発し、海軍の暗号を解読していたことを知らなかった」

太平洋海戦敗戦秘史ー山本五十六、井上成美の  「反戦大将コンビ」のインテリジェン …

『オンライン講座/総理大臣と日銀総裁の決断突破力の比較研究』★『<男子の本懐>と叫んだ浜口雄幸首相は「財政再建、デフレ政策を推進して命が助かった者はいない。自分は死を覚悟してやるので、一緒に死んでくれないか」と井上準之助蔵相を説得した』

 2019/10/23  『リーダーシップの日本近 …

no image
日本リーダーパワー史(522)『「明治の国家参謀・杉山茂丸に学ぶ」⑦「児玉源太郎、桂太郎と 「日露戦争開戦」の秘密結社を作る」

   日本リーダーパワー史(522)   『「明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国 …

no image
速報(148)<小出裕章情報>『5市町村の緊急時避難準備区域の解除への批判 』『「さようなら原発集会」6万人参加は嬉しい 』

速報(148)『日本のメルトダウン』 ★<小出裕章情報> 『5市町村の緊急時避難 …

no image
◎<リバイバル釣り動画記事再録>「鎌倉カヤック釣りバカ日記」(2017/11/10)ーイナダ(35㎝)、シイラ(30-40㎝、30匹)、カワハギ5匹、ソーダカツオ3匹と爆釣

    2017/11/15、記事再録  <201 …

no image
大日本帝国最後の首相・鈴木貫太郎の晩年

政治手腕なき終戦内閣 昭和十一年(一九三六)に起きた二・二六事件 で鈴木貫太郎侍 …