中東メディアウオッチ① その後のアルジャジーラ対米政府
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中東メディアウオッチ① その後のアルジャジーラ対米政府 03,12,10
前坂 俊之
① 雑誌「選択」2003 年12月号に「アルジャジーラ、中東衛星メディア」についての注
目すべき分析記事が載っていので紹介する。米政府にとってアルジャジーラや中東メ
ディアの存在はますます目の上のタンコプ、米中東政策遂行の障害となってきてい
る。
「アルジャジーラは米国だけでなく、近隣、兄弟国政府のスキャンダル、タブーにも
次々と挑戦しては、視聴者を楽しませる一方、外交的な摩擦を引き起こしている。
この、国力とはあまりに不釣合いな振る舞いを称して人は「小さな国の大きなラッパ」
と呼ぶ。
しかし、こんなアルジャジーラの存在は、追随する「アルアラビア」(ドバイ)などのライ
バル局の活動も相まって、イラク戦争の帰趨に重大な影響を与えるまでになった。
怒りがおさまらないラムズフェルド米国防長官は、最近もまた「アルジャジーラは、フ
セイン元大統領を支持していた」と発言、「反米的宣伝に対抗するため」米国政府自
身の手でアラビア語の衛星チャンネルを立ち上げたと自慢した。
軍と広報スタッフの総力を挙げて偶像化を図ったジェシカ・リンチ上等兵が、衝撃的な
捏造報道の暴露に及んだことにも懲りず、このネオコンの権化は未だに黒を白と言い
くるめられると考えているようで悲哀すら感じる。
なお、米国の圧力は、爆撃とか非難発言など外から見えるものだけではないようだ。
今年五月には創立以来現場の最高責任者を務めてきたアル・アリ局長が更迭された
が、これが米国の圧力に屈せざるを得ないと判断したカタール首脳の苦渋の決断で
あったことを複数の関係者が証言している。
九月には、ビンラーディン報道で世界の顔となった看板ジャーナリスト、タイシール・ア
ルーニ記者が「アル・カーイダと連絡し、支援を与えた容疑」でスペイン当局に逮捕さ
れた。(後にわずか六千ユーロの保釈金で解放)
さて、今後ますますイラクを中心に中東地域の混迷が予想される中、アルジャジー
ラをはじめとする中束衛星メディアと米国の関係はどう展開していくだろうか。
米国は、そのなりふり構わぬアルジャジーラへの対応が示すように、同国の正当化
できない対中東政策の偏向ぶりと、現場における不当な武力行使の実態が報道され
ることによって、政策実施そのものが非常にやりにくくなっている。
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このことは、これまでユダヤ系ロビイによる米国中東政策の乗っ取りを可能にしてい
た米国主要メディアによる情報支配が困難になってきていることの裏返しである。これ
は、アラブ世界の長年の悲願であった。
よって今後、更なる軋轢や、政府間での圧力が予測される。しかし、今のところカタ
ールの王族はアルジャジーラを「健全な」形で所有していくことにメリットを感じている
ようである。
それは、第一に「田金者」の自尊心を大いにくすぐるものであるし、何より、対米一辺
倒の国防政策を採らざるを得ない同国にとってアラブ・イスラムの同胞向けの化粧と
しては最適だからである」
(「カタールの宝物「アルジャジーラ」―小さな国の大きなラッパ」2003 年12 月号「選択」)
②中東メディアにいらだつ米政府はイラクでアルジャジーラ、アルアラビアの活動に
再三ストップをかけ、独自の衛星放送の立ち上げを検討していると言う。
「イラク統治評議会のタラバ二議長は11月24日、フセイン元大統領とみられる人物
の声を放送し、評議会議員や米兵の殺害などをあおったとして、アラブ首長国連邦の
衛星テレビ「アルアラビア」のイラク国内での活動を当面停止させるとの決定を発表し
た。この直後、イラク警察がバグダッド中心部にある同テレビの支局に立ち入り、機器
の一部を取り外すなどした。
クラバニ議長は記者会見で「これまでも警告してきた。民主主義と扇動は異なること
を理解してもらいたい」と述べた。
統治評議会は九月下旬にも、イラクの分裂や暴力をあおっているとして、アルアラビ
アやアルジャジーラに対し、公式記者会見への出席禁止など二週間の取材制限をし
た」(以上は新聞協会報2003,12,2)
③ また、ラムズフェルド米国防長官は11月21日、国防総省で開かれた米兵らとの
対話集会で、カタールの衛星テレビ、アルジャジーラとアラブ首長国連邦の衛星テレ
ビ、アルアラビアを「旧フセイン政権寄りだ」と厳しく批判。十二月にもイラクの米主導
の連合軍暫定当局(CPA)が独自に衛星放送を開始することを明らかにした。
ラムズフェルド国防長官は、「自由な報道が米国でも乱用されており、イラクで乱用
されているのは不思議ではない」と指摘。また、イラクの新聞が米軍の活動を損なっ
ているかとの質問には「そうだ」と答えた。 (以上も前掲紙)
④ 奥外交官ら2人の殺害は大変悲しいできごとだが、その遺体の写真をめぐって戦
争報道、遺体報道の論争の日本版が起っている。アルジャジーラの遺体報道と同じ
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ケースである。
「イラクで殺害された奥克彦大使(45)と井ノ上正盛一等書記官(30)の凄惨な遺体
写真を8日発売の週刊誌『週刊現代』が掲載したことが波紋を広げている。
外務省の高島肇久外務報道官は同日午前の会見で、川口順子外相が発行元・講談
社に対し厳重抗議し、雑誌の回収を申し入れることを明らかにしたのだ。
同誌には2人の苦痛に歪んだ写真があり、関係者からは「遺族感情を逆なでにするも
の」との批判の声が上がっている。
高島報道官は8日、「日本雑誌協会を通じかねてから雑誌各社に写真を使わないよう
お願いしてきたが、無視された。2人の人権を踏みにじり遺族の気持ちを全く考慮しな
い許し難い行為だ」と強く非難した。
問題の写真は、ティクリートの病院に収容された2人の遺体をロイターテレビとAP通
信がテレビ映像と写真として配信したもの。上半身裸で顔中血だらけになった2人が
並べられている様子が写っている。
同誌は「これでもイラク派兵なのか 『2人の惨殺写真』小泉は見たか」と題した特集
の冒頭にこの写真を掲載。
同誌は《一枚の写真が、百万の言葉より事実を雄弁に物語ることはしばしばある》
《小泉首相を始めとする日本の権力者たちは、派兵を決定する前に、イラク戦争の犠
牲になった2人のこの写真を正視するべき》などと写真を掲載した意図を伝えている」
(夕刊フジ12月8日)
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