前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(41)☆『沖縄密約文書開示訴訟」原告が、外務省に質問書』

      2015/01/01

 
池田龍夫のマスコミ時評(41)
 
沖縄密約文書開示訴訟」原告が、外務省に質問書

池田龍夫(ジャーナリスト)
 
 9月末の「沖縄返還密約文書開示訴訟」控訴審判決で敗訴した原告は、10月12日、最高裁に上告。11月14日には、奥平康弘、桂敬一、澤地久枝氏ら原告団23人が「情報公開法に照らして、承服できない」として、外務省に公開質問書を提出した。
 
        文書廃棄は証拠隠滅の犯罪行為
 
 この訴訟は1972年の沖縄返還交渉の際、米軍基地の原状回復費など米側負担分を日本側が肩代わりした「密約」文書公開を迫ったもので、一審は国側の文書不存在の主張に疑問を呈し「文書を開示せよ」との判決を下した。
 
しかし、控訴審では「いくら探しても文書が見つからない」として、一審判決が葬られてしまった。ただ、控訴審判決にも、「外務省の担当者が密約文書を取得・保管していたが、廃棄された可能性がある」と記されている。日米が交わした「密約文書」が米国公文書館に存在していることが明らかになっているのに、日本側が文書を廃棄していたなら、証拠隠滅の犯罪行為ではないか。
 
外務省の責任は重大で、原告団が公開質問書を出した意義は極めて大きい。原告団は質問書提出後、記者会見で公表したが、11月15日付朝刊に取り上げたのは沖縄県紙2紙だけ。全国紙に掲載されていないので、質問書の要旨を紹介しておく。
 
① 外務省は、米軍用地の原状回復費用肩代わりなど二つの密約文書を、「交渉の“途中
経過”のメモ」と考えているのか=
 
外務省は、米軍用地の原状回復費用肩代わりとVOA施設移設費用支払いの二つの密約文書開示請求に対して、裁判において、これら文書が、実際には外交交渉の最終合意を記録するものであるにもかかわらず、交渉の “途中経過” のメモに過ぎないと強弁し、外務省内の取得・保管をはぐらかしてきた。
 
しかし、一審・控訴審とも、当該文書の取得・保管の事実を明確に認定した。この食い違いについて、外務省は何ら説明をしていない。
 
② 外務省は、肩代わり費用支払いの合意を「密約」と認めるか=
 
財務省は沖縄財政密約のうち「無利子預金問題」など、ある部分の存在を」認めた。これに対して外務省は、「有識者委員会」の不明確な調査結果を発表しただけで済ませたままだ。同委員会は「狭義の密約」「広義の密約」とする曖昧な方法ではあるが、密約の存在を認めた。特に財政密約については、東京地裁・高裁はそろって存在を認定した。外務省だけが事実認定を回避している理由が全く分からない。
 
③ 訴審が、2001年の情報公開法施行前のタイミングで密約文書廃棄が行われた可能性を指摘したが、
特に廃棄という点に絞った調査はしなかったのか=
 
控訴審判決は「情報公開法施行前に、意図的に廃棄した可能性がある」と指摘した。この意図的な隠蔽には積み重ねがあり、沖縄密約を証す米国側保有文書を米公文書館が相次いで公表、その内容が日本にも報道されていた。
 
2000年前後から、沖縄密約を証す米国保有文書を米公文書館が相次いで公表、その内容が日本にも報道された。2000年前後から情報公開法施行の2001年までの期間は、たかだか10年前のことである。
 
このような疑惑と政治不信を一掃するためにも、外務省はこの際、東京地裁・高裁の密約認定に合致する方向ですべての事実の解明に尽力し、国民の信頼を回復することのできる回答を示すべきではないか。
 
なお、外務省に対するのとほぼ同じ内容の書状と外務大臣宛の公開質問書を、野田佳彦首相にも送りましたことを、申し添えます。
 
 [注]「公開質問書」は、 http://www.news-pj.net/siryou/okinawamitsuyaku/20111215.html」  
を検索ください。

 - IT・マスコミ論 , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
情報家電の巨大市場

情報家電の巨大市場 静岡県立大学国際関係学部教授 前坂 俊之 インターネットで「 …

no image
『 オンライン講座/東京五輪開幕』★『連日、新競技のスケーボー女子で西矢椛(13歳)が日本最年少での金メダル、スケボー男子では堀米雄斗(22歳)も金メダル、柔道の阿部兄妹の金メダルというメダルラッシュに沸いた。』★『2019年の課題」-『平成30年は終わり、老兵は去るのみ、日本の未来は「Z世代」にたくそう、若手スポーツマンの活躍を見ればわかる』

  東京五輪が7月23日に開幕した。 いざフタを開けると開会式が56. …

no image
★『鎌倉釣りバカ人生30年/回想動画記』⑧<湘南海山ぶらぶら日記 > ★<鎌倉野生カヤックフィッシング>『厳冬の鎌倉海のカヤック釣りでヒラメをゲット!?と思いきや、何と大カサゴでしたよ』

   2012/01/21  <鎌倉野生 …

no image
日本メルトダウンの脱出法(552)ー W杯サッカーの完敗はー「死に至る日本病」(ガラパゴス・ジャパンシステム)である

   日本メルトダウンの脱出法(552)   &n …

<F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(205)>『7年ぶりに、懐かしのアメリカを再訪,ニューヨークめぐり(5月GW)③』★『ロウワーマンハッタンのホワイトホール・ターミナルに向かい、ニューヨーク市/スタテン・アイランド行きの無料フェリーに乗船,「自由の女神」を眺めながら、マンハッタンの夜景を楽しむ』』

      <F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(205)> 『7年 …

『Z世代のための<日本政治がなぜダメになったのか、真の民主主義国家になれないのか>の講義⑦★『自民党裏金事件の処分を見れば、これが真の政治家のやることか』★『政治家の本来の仕事とはー政治家(ステイッマン)は高い志を持ち、国益や国民益を考えて行動する人。逆に「政治屋(政治稼業)ーポリティシャン」は「自分の選挙や当選することを主目的に、国民益よりも収入の自益、地盤益、党益、派閥益を優先する人』★『岸田首相は3代にわたる政治屋家業』

    2023/02/10 &nbsp …

『東京モーターショー2017』-『トヨタ車体の宅配業者の働きやすいコンセプトカー』★『ISUZUのブースの出展車両ズラリ』★『ISUZUのデザインコンセプトカー「FD-SV」』

日本最先端技術『見える化』チャンネル  「第45回 東京モーターショー2017」 …

no image
世界/日本リーダーパワー史(893)米朝会談前に米国大波乱、トランプ乱心でティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官らを「お前はクビだ」と解任、そしてベテラン外交官はだれもいなくなった!

 世界/日本リーダーパワー史(893)   「アメリカは民主主義国でル …

no image
日本メルトダウン(920)『南シナ海に迫る「キューバ危機」、試される安保法制 』●『出口が見えない中国との関係 、互いに非難し合うのは愚かな言動 柯 隆』●『仲裁裁判がまく南シナ海の火種』●『中国は戦前の日本と同じ過ちを犯し自滅に向かっている』●『南シナ海の洋上で中国製の原発計画が進行中 19年までに運転開始へ』

  日本メルトダウン(920) 12日に南シナ海問題で国際裁定へ 南シナ海に迫る …

no image
日本メルトダウン(950)『福島原発のアンダーコントロールは「うそ」-小泉元首相が特派員協会で原発批判』(動画)●『東日本大震災 福島第1原発 凍土壁2カ所、溶けた状態に』●『財政再建へ独立機関設置を、IMF、日本に提言』●『小池知事、報酬半減案を提出へ9月議会に』●『日本人アスリート初! 本田圭佑、マサチューセッツ工科大の特別研究員に就任』

   日本メルトダウン(950)   アンダーコントロールは「うそ」- …